“大きい方のHomePod” の進化した点とは?
第2世代「HomePod」レビュー!新旧モデルを比較試聴してみた
今回の第2世代HomePodにひとつ注文をつけるとすれば、Bluetoothオーディオ再生にも対応してほしかったと思う。そしてHomePodはiPhone、またはiPadが手元にないと初期設定ができない。HomePodは他のスマートスピーカーを圧倒するほど高音質なので、Androidデバイスしか持っていない音楽ファンも使えるよう、アプリなどの解決策も用意してもらいたいところだ。
なお、初期設定さえ済ませればAndroidデバイスに「AirMusic」アプリを導入して、本体に保存した音楽ファイルや配信サービスをHomePodにストリーミングして楽しむという方法もある。
実際に筆者が自宅で試したところ、Google Pixel 7からは問題なくHomePodにストリーミングができたものの、Android搭載DAPではアプリからHomePodに接続ができなかった。音楽アーカイブの母艦として、ポータブルオーディオプレーヤーを活用している方が手軽にHomePodの高音質を楽しめるよう、今後何らかの活路が提供されることを期待したい。
■クールで開放的な立体的サウンド!空間オーディオ再生もチェック
それでは、気になる音質面でのインプレッション。今回はHomePodの新旧モデルを用意して、Apple Musicの楽曲を聴き比べてみた。
中低音域をタイトに引き締めた初代HomePodの肉付きの良いサウンドに対して、第2世代HomePodは音の分離感が向上。音場の見晴らしがとてもクリアで広々とした印象を受ける。ドルビーアトモスによる空間オーディオで制作されていないステレオ音源も、「空間オーディオっぽい」豊かな広がりを感じる。
Perfumeのアルバム『GAME』から「Baby cruising Love」を聴くと、新旧モデルのサウンドキャラクターが大きく違うことがよくわかる。初代HomePodは、音楽のエネルギーを束ねてズドンとぶつけてくるのに対して、第2世代HomePodのサウンドはクールかつ開放的で、立体感に満ちている。中高域がより煌びやかに感じられる分、やや音の線が細くなった印象もあるが、低音は重心が低く安定しているので、軽快なビートが浮き足立つ感覚はない。
第2世代HomePodは細やかな音の粒立ちも鮮明だ。上原ひろみの『Silver Lining Suite』から「Fortitude」では、ピアノの繊細なニュアンスを巧みに引き立てる。鮮やかで活き活きとしたメロディラインがとても魅力的だ。弦楽器の音色も艶っぽい。輪郭線の濃淡をしなやかに描き分ける。ピアノ、チェロの低音は音の立ち上がりが鋭く、インパクトが充実している。
Apple Musicの空間オーディオ対応コンテンツは、ビートルズのアルバム『1』から「Let It Be」を聴いた。ボーカルとピアノをセンターに浮かび上がらせ、周囲に広がるバンドの演奏が雄大に広がる。高さ方向に限界を感じさせないほど、音場の立体感が充実している。レコーディングスタジオの情景が目の前に浮かぶようで、リアルな演奏に深くのめり込める。
初代HomePodと比較しながら聴くと、空間オーディオ再生は第2世代HomePodの方がわずかに中高域の味付けが濃いめに感じられる。鮮やかな包囲感が得られるように解像度を高めて、なおかつ音の印象も明るく華やかに引き立たせるチューニングに仕上げたようだ。長く聴いていても疲れないが、ステレオ再生による立体感を基準にして築き上げたような初代HomePodのナチュラルな没入感に対して、第2世代HomePodの「空間オーディオらしさ」はハッキリとしてわかりやすかった。
チューニングの方向性では、それぞれのユニークな違いが感じられた。まるで別モノとまでは言わないが、初代HomePodを愛用している方も、第2世代HomePodのサウンドキャラクターに触れてみる価値は大いにある。
もし購入を検討されているのであればぜひ、買い換えではなく「買い増し」して聴き比べを楽しんでみてほしい。