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ティアックの戦略プリメイン「AI-303」徹底研究!【Part1】ヘッドホン&スピーカーでデスクトップオーディオを遊び倒す!
ヘッドホンでもチェック。4極グランドセパレート接続の優位性も感じられる
ヘッドホン再生はソニー「MDR-M1ST」と組み合わせてチェック。Brise Audioのリケーブルと変換ケーブルを用い、「3.5mm/4極グランドセパレート接続」の環境を整えた。
基本的な音調についてはスピーカー再生と同じく、組み合わせるヘッドホンの個性が素直に引き出される。出力コンデンサーを廃した「CCL回路」の採用に象徴される、色付けをなくす方向性での設計が反映されているわけだ。
その上で例えば、MDR-M1ST側の「弾みのよい低音」という持ち味に対して本機のアンプが十分な力を送り込むことで生まれる、ベースやバスドラムのグイグイ進む推進力はこの組み合わせならではのものと言えるだろう。様々なヘッドホンやイヤホンとの組み合わせそれぞれで美味しいコンビネーションを発揮してくれそうだ。
ケーブルを一般的な3.5mm/3極に戻した状態との比較では、メーカーが挙げている「チャンネルセパレーションの向上」「クリアで見通しの良いサウンドステージ」のほか、高域側でのカッチリとやや硬質な精密感も好印象。総じて確かに4極グランドセパレート接続の優位を感じられる。
また順序前後したが「クロスフィード」機能はこちらヘッドホン再生での活用が本職。ノブ9時未満では効果がわかりにくく、12時超ではモノラル再生に近い感触になるので、ノブ9時から12時あたりでの調整がおすすめだ。そのあたりでは、いかにもヘッドホン的な左右のセパレーションを適度に抑えた、自然な効果を得られる。
そして小音量再生時でも音量調整しやすく左右音量のズレも目立たない「高精度アナログボリューム」は、ヘッドホン&イヤホン再生においても大きな強み。最小音量付近での使いやすさのおかげで、高感度イヤーモニター等との組み合わせでの実用性も確保されている。
DACのフィルター方式とアップコンバート倍数での音質調整
さて、本機はイコライザーのようにわかりやすい音質調整機能は備えないが、実はよりマニアックに音を追い込むことのできる音質調整機能を備えている。DACのデジタルフィルター方式FIR/RDOTの選択と、RDOTフィルターと組み合わせるアップコンバーターのOFF/2倍/4倍/8倍の選択だ。「RDOTフィルターでアップコンバーターをオフにするとNOS(ノンオーバーサンプリング)動作」というのもマニア筋は見逃せないポイントか。
実際に試してみたところ、FIRとRDOT×アップサンプリングOFFのNOSを比べたときに音の違いが特にわかりやすかった。FIRフィルター使用時は音像本体だけでなく、その周囲の響きや気配感といった成分の存在感も強め。対してRDOT×OFFのNOS動作では音像本体のバシッとした明確さが際立ち、そちらの存在感が強い。そこからアップコンバート=オーバーサンプリングの倍数を上げていくと音像と周囲のなじみが増していく印象だ。
であるので設定の際には、
1)まずFIRとRDOT×OFFを聴き比べる
2A)FIRの方が好印象だったらFIR→RDOT×8倍→4倍と試していく
2B)RDOT×OFFの方が好印象だったらRDOT×OFF→2倍→4倍と試していく
という流れで追い込んでいくと、自分の好みに合う組み合わせをより手早く見つけられるかと思う。
なおリモコンに専用ボタン「FILTER」「UPCONVERT」が用意されているので設定操作も簡単。現在の設定は本体の各LEDを流用して表示される。当初はマニュアルを参照しながらでないとわかりにくいが、慣れれば問題なさそうだ。
Bluetoothのコーデックによる違いをLEDで表示
前述のように試聴は主にUSB接続で行ったが、Bluetooth接続も当然テストした。Apple Musicでのハイレゾ再生時のUSB接続との音質差は、LDACが使用可能なスマホ等との組み合わせでは特に、サブスクをBGM的にかけ流しておくような場面ではほとんど気にならないであろうほど小さい。
とはいえ高域の伸び方や鋭利さなどに違いがあるのも事実。普段はBluetooth接続で手軽に身軽に楽しみつつ、本気で聴き込む! というときにはUSB接続を使うなど、適切に使い分ければよいだろう。なお細かなところでは、接続コーデックが本体LEDで常に明示されるのもありがたい。
従来機で好評を得ていた特徴はそのままに、USB-C&LDACへの対応、3.5mm/4極グランドセパレート接続対応、好みや環境に合わせて調整できるクロスフィード機能の追加など、まさに万全のアップデートが施されている。
HDMI搭載という新機軸が目立つのはもちろんだが、それを必要としないデスクトップオーディオなどでも、本機は従来モデルをさらに超える適正を発揮してくれることだろう。
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(提供:ティアック)