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“キャリアブルヘッドホンアンプ” がさらに奥深く進化!Astell&Kern「ACRO CA1000T」レビュー

公開日 2023/03/10 06:30 高橋 敦
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■「明瞭さ」と「質感」、好みの音色を追求できる奥深いパワフルサウンド



それでは音質をチェック。TAGO STUDIOのモニターヘッドホン「T3-01」と組み合わせ、OP-AMPモードでのシングルエンド駆動、アンプゲインは最大のSuperというセッティングから聴いてみよう。

宇多田ヒカル「BADモード」を聴きはじめると、早速そのサウンドに大満足した。ギターとピアノのカチッとした感触。エレクトリックピアノの透明感と揺らぎ。バスドラムとベースの引き締まった太さと抜け。ボーカルはややさっぱり傾向な手触り感で、いずれも好印象だ。

続いてホセ・ジェイムズ「Bag Lady」では、ドラムスの “スカンッ” と硬質な抜け感が際立つ。ここはヒップホップらしさを表現する重要ポイント。試しにゲインをLowに下げるとそこがやや鈍るので、この再現性はアンプパワーの余裕あってこそなのだろう。

すでに大満足なのだが、本機の醍醐味はここから。次はTUBE-AMPモードを試してみる。アンプとゲインの設定画面に移るにはタッチもスワイプも不要。天面のAMPボタンから呼び出せて、リスニング中の切り替えも気軽にさっと行える。

天面の右端にある「AMP」ボタンを押すことで、すぐさまモード/ゲイン設定画面が表示される

OP-AMP/TUBE-AMP/5段階のHYBRID-AMPモード、4段階のゲインを切り替え可能だ

OP-AMPモードと比べてまず実感したのは、質感が絶妙に強調されたこと。例えばヒップホップ的なドラムスだったら、当時のサンプリング機材のビット数の低さ等からくる “粗さ” に注目。これをTUBE-AMPモードはよい具合に強めてくれる。

アタック感も変化。“ドンッ” ではなく、軽くコンプレッションされて “ドゥンッ” と抑揚をつけて音が立ち上がってくるイメージだ。結果、「Bag Lady」でいうと、OP-AMPは前述の抜け感で縦のリズムが立つのに対して、TUBEではモッチリと横に粘るグルーヴ感が強まる。どちらを選ぶかはお好み次第だ。

OP-AMPモードは明瞭さ、TUBEモードは質感が際立つ。その2種類の音色をHYBRIDモードで掛け合わせることができ、さらにアンバランス/バランスでも変化するなど、サウンドは非常に奥深い

加えて、そこにバランス駆動との兼ね合いも絡んでくる。T3-01のケーブルをバランスケーブルに替えて聴いたところ、OP-AMP×バランス駆動はアタックが硬くなりすぎる印象だったのだが、TUBE×バランス駆動にしてみると、TUBE由来のモッチリ感とバランス駆動由来のスピード感がよい具合に補完し合い、ちょうどよい感じになる。

その上で本機はさらに、OP-AMPとTUBEの両アンプ回路の音を数段階でミックスできるHYBRID-AMPモードも用意している。OP-AMPとTUBEを聴き比べて気に入った方を始点に、OP-AMP寄りのHYBRIDとTUBE寄りのHYBRIDも試してみる、というセッティング手順がおすすめだ。

最後にイヤホン、qdc「Anole V14-S」でもチェック。こちらはOP-AMPモードとTUBE-AMPモードの違いがより大きい。TUBE-AMPモードでは「Bag Lady」の5弦ベースの5弦Low-Cの音像が明らかに膨らむ。対してOP-AMPモードはその膨らみを抑え、音の沈み込みを際立たせてくれるのが美点。だがこれもバランス駆動との組み合わせになれば話が変わってくる。本機のセッティングは本当に幅広く奥深い。

qdc「Anole V14-S」で聴くと、アンプモードの違いが浮き彫りに。組み合わせるイヤホン/ヘッドホンごとの違いまで奥深い



ACRO CA1000Tは、やはりまず「DAP機能搭載キャリアブルヘッドホンアンプ」というコンセプトが強烈である。だがそれ以上に、このコンセプトや提案性に説得力を与えているのが、ヘッドホンアンプとしての “クオリティの強烈さ” である。新しいオーディオスタイルを求める方にも、シンプルに音質を求める方にも、ぜひ注目してほしいアイテムだ。


(企画協力:株式会社アユート)

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