PR創業50周年を迎えた老舗ブランドの新挑戦
モニターオーディオ「プラチナムシリーズ」の進化を検証。「無色透明で正確、スピーカーの理想を追求」
モニターオーディオのプラチナムシリーズが、第3世代へと進化を遂げた。トゥイーターや低中域用のドライバーユニット、磁気回路を中心に再検討を行い、50年に渡るスピーカー開発で培ってきた技術が惜しみなく投入されている。その3G世代のサウンドを井上千岳氏がレポートする。
Platinum(プラチナム)はモニター・オーディオのフラグシップとして、2007年に登場した。このときはトゥイーターにC-CAMリボンを新規開発したが、2016年のシリーズIIで早くも変更となり現行のMPDドライバーが採用されている。そして2022年には創立50周年を迎え、プラチナムもリニューアルされてシリーズIIIに進化したのである。
今回の改良はシリーズIIのときのようにドラスティックなものではなく、基本的な構成には手を加えず細部を磨き上げたリファインが主体となっている。それによる完成度の向上が注目のポイントである。
トゥイーターは新たに磁気回路を設計し耐入力と能率を改善。専用にカスタマイズされたウェーブガイドも導入し、指向特性の均一化を実現している。
ウーファー/ミッドレンジの振動板は、RDT IIIコーンへとアップデートされた。ノーメックス・コアを挟んだC-CAMとカーボンファイバーによるサンドイッチ構造。そのカーボンファイバーを今回は2層とし、強度を高めてパワーハンドリングの向上を図っている。また特許ダイナミック・カップリング・フィルターも踏襲された。
そしてさらに着目したいのが、ドライバーのマウントだ。取り付け自体はボルト1本によるテンションロッド方式だが、ドライバーとバッフルの間にアルミ製のドライバーフレーム・ホルダーが新たに挿入された。これによって2層の振動絶縁層が形成され、キャビネットの振動をドライバーから強力に隔離する。ユニット間の干渉も低減され、ドライバーの性能をさらに正確に引き出すことが可能である。
キャビネットは入念なブレーシングが施され、底面の台座を新規に設計。ここにネットワークを乗せ、アウトリガーフィートも形状が更新された。
ラインアップはフロア型2機種とブックシェルフ型1機種、それにセンター用が1機種で構成されている。ここではそのうちの2つを聴いてみる。
「Platinum 100 3G」は150mmミッド/ウーファー搭載の2ウェイである。前のシリーズに比べてもますます特徴がなくなって、スピーカー自体の音、自己主張といったものがまるで感じられない。音を出すための道具としてそこにあるだけの、純然たるトランスデューサーという印象である。
こういう特質がスピーカーにとってひとつの理想であることは、あらためて言うまでもない。それ自体が色や性格を持ってはいけないのだ。その理想に大きく近づいたのが、この6年間での進化というものであろう。
バロックは一見あまりにも何もないので、本当にこれでいいのかとさえ思ってしまうほどだ。無色透明、完全に自分の姿を消してしまっている。ヴァイオリンもリュートやチェンバロも、そこにあるがままの感覚でひとりでに鳴っている。どう聴いてもそこで音楽だけが勝手に鳴っているようにしか思えないのだ。
ピアノはステージがそっくりそのままそこにあるイメージで、出方はいたって自然。逆に言えばその自然さを邪魔するものが何もないのである。万全の出方であることがそれだけでもわかる。表情が多彩で豊かなのがその証拠である。
コーラスの実在感は付帯音がないこととピントがぴったり揃っていることの現れで、空間全体が見えてくるような余韻の乗り方が大変印象的だ。その周囲をホールの壁が取り囲んでいる。
アナログでも事情は変わらないが、さらにソース自体の味わいがもっと深まっているのを感じる。音数も豊富だが、それらの関係がこれまでになく正確だ。バロックは低音弦やチェンバロのアンサンブルが精密で音楽が立体的に見えてくるし、ピアノはさらにリアルで焦点が目の前の楽器にぴたりと結ばれて生のような感触が浮かび上がる。
オーケストラはレコード自体の底力を見るような思いで、重厚な低音と鮮烈な金管、粘りのある弦楽器など同じ録音から新たな魅力が引き出されたように思う。
「Platinum 300 3G」はフロア型だが出方は100とほとんど相似形と言ってよく、低域の出方には若干の違いはあるもののトランスデューサーとしての正確さという点では変わるところがない。
バロックは立ち上がりの速さが際立ち、ディテールのごく細かなところまで鮮明に冴えている。トゥイーターから3基のウーファーまでスピードがぴったり揃っているためピントが非常にはっきりしているのだ。
ピアノも隅々まで丁寧に拾い上げた密度が高い。タッチが澄み切って、ことに高域の透明な余韻は繊細なニュアンスに満ちてこのうえなく美しい。またコーラスはどこもかしこも瑞々しく、きめ細かな余韻がどの音にも乗って生の感触そのままだ。
オーケストラは目の前を多彩な音色が飛び交うようなイメージがあって、鮮やかさが極限的に発揮されているかのようにも思える。汚れや混じりっ気のひとつもない純度そのもののような世界である。
アナログは100よりも一回りスケールが大きく、音楽がさらに実在的に感じられる。ピアノの解像度の高さ、オーケストラの厚手な輝かしさなど緻密に描いて余すところがない。万全の態勢を整えた完成度と言っても過言ではなさそうである。
2016年に初採用されたPlatinum Series II、Gold-5Gを経て、第三世代へ進化したMPDトランスデューサー(ハイル・ドライバー型)を採用した50周年のアニバーサリーモデルがこのPlatinum Series IIIです。放射パターンの見直し、Silver/Bronzeシリーズで成果を挙げたウェーブガイドなど新たな設計により、ナチュラルな特性にさらに磨きをかけました。どこまでも伸び、歪がなく、スピーカーの存在を感じさせない無色透明なサウンドは、Monitor Audioが誇るMPDトランスデューサーの一つの到達点です。また、ブレーシングに加え、ドライバー/キャビネット間のアルミニウム・フレーム・ホルダーなどドライバーのパフォーマンスを最大限発揮する細部の設計も光ります。生まれ変わったPlatinum Seriesを是非お試しください。
(提供:ナスペック)
本記事は『季刊・アナログ vol.79』からの転載です。
会社の創立50周年を記念し、フラグシップシリーズの細部をリファイン
Platinum(プラチナム)はモニター・オーディオのフラグシップとして、2007年に登場した。このときはトゥイーターにC-CAMリボンを新規開発したが、2016年のシリーズIIで早くも変更となり現行のMPDドライバーが採用されている。そして2022年には創立50周年を迎え、プラチナムもリニューアルされてシリーズIIIに進化したのである。
今回の改良はシリーズIIのときのようにドラスティックなものではなく、基本的な構成には手を加えず細部を磨き上げたリファインが主体となっている。それによる完成度の向上が注目のポイントである。
トゥイーターは新たに磁気回路を設計し耐入力と能率を改善。専用にカスタマイズされたウェーブガイドも導入し、指向特性の均一化を実現している。
ウーファー/ミッドレンジの振動板は、RDT IIIコーンへとアップデートされた。ノーメックス・コアを挟んだC-CAMとカーボンファイバーによるサンドイッチ構造。そのカーボンファイバーを今回は2層とし、強度を高めてパワーハンドリングの向上を図っている。また特許ダイナミック・カップリング・フィルターも踏襲された。
そしてさらに着目したいのが、ドライバーのマウントだ。取り付け自体はボルト1本によるテンションロッド方式だが、ドライバーとバッフルの間にアルミ製のドライバーフレーム・ホルダーが新たに挿入された。これによって2層の振動絶縁層が形成され、キャビネットの振動をドライバーから強力に隔離する。ユニット間の干渉も低減され、ドライバーの性能をさらに正確に引き出すことが可能である。
キャビネットは入念なブレーシングが施され、底面の台座を新規に設計。ここにネットワークを乗せ、アウトリガーフィートも形状が更新された。
「Platinum 100 3G」 -無色透明で正確、スピーカーの理想を実現-
ラインアップはフロア型2機種とブックシェルフ型1機種、それにセンター用が1機種で構成されている。ここではそのうちの2つを聴いてみる。
「Platinum 100 3G」は150mmミッド/ウーファー搭載の2ウェイである。前のシリーズに比べてもますます特徴がなくなって、スピーカー自体の音、自己主張といったものがまるで感じられない。音を出すための道具としてそこにあるだけの、純然たるトランスデューサーという印象である。
こういう特質がスピーカーにとってひとつの理想であることは、あらためて言うまでもない。それ自体が色や性格を持ってはいけないのだ。その理想に大きく近づいたのが、この6年間での進化というものであろう。
バロックは一見あまりにも何もないので、本当にこれでいいのかとさえ思ってしまうほどだ。無色透明、完全に自分の姿を消してしまっている。ヴァイオリンもリュートやチェンバロも、そこにあるがままの感覚でひとりでに鳴っている。どう聴いてもそこで音楽だけが勝手に鳴っているようにしか思えないのだ。
ピアノはステージがそっくりそのままそこにあるイメージで、出方はいたって自然。逆に言えばその自然さを邪魔するものが何もないのである。万全の出方であることがそれだけでもわかる。表情が多彩で豊かなのがその証拠である。
コーラスの実在感は付帯音がないこととピントがぴったり揃っていることの現れで、空間全体が見えてくるような余韻の乗り方が大変印象的だ。その周囲をホールの壁が取り囲んでいる。
アナログでも事情は変わらないが、さらにソース自体の味わいがもっと深まっているのを感じる。音数も豊富だが、それらの関係がこれまでになく正確だ。バロックは低音弦やチェンバロのアンサンブルが精密で音楽が立体的に見えてくるし、ピアノはさらにリアルで焦点が目の前の楽器にぴたりと結ばれて生のような感触が浮かび上がる。
オーケストラはレコード自体の底力を見るような思いで、重厚な低音と鮮烈な金管、粘りのある弦楽器など同じ録音から新たな魅力が引き出されたように思う。
「Platinum 300 3G」 -スピードがぴったり揃ってピントがはっきりする-
「Platinum 300 3G」はフロア型だが出方は100とほとんど相似形と言ってよく、低域の出方には若干の違いはあるもののトランスデューサーとしての正確さという点では変わるところがない。
バロックは立ち上がりの速さが際立ち、ディテールのごく細かなところまで鮮明に冴えている。トゥイーターから3基のウーファーまでスピードがぴったり揃っているためピントが非常にはっきりしているのだ。
ピアノも隅々まで丁寧に拾い上げた密度が高い。タッチが澄み切って、ことに高域の透明な余韻は繊細なニュアンスに満ちてこのうえなく美しい。またコーラスはどこもかしこも瑞々しく、きめ細かな余韻がどの音にも乗って生の感触そのままだ。
オーケストラは目の前を多彩な音色が飛び交うようなイメージがあって、鮮やかさが極限的に発揮されているかのようにも思える。汚れや混じりっ気のひとつもない純度そのもののような世界である。
アナログは100よりも一回りスケールが大きく、音楽がさらに実在的に感じられる。ピアノの解像度の高さ、オーケストラの厚手な輝かしさなど緻密に描いて余すところがない。万全の態勢を整えた完成度と言っても過言ではなさそうである。
輸入元から -(株)ナスペック 営業部広報マーケティング課 中川富宜夫氏
2016年に初採用されたPlatinum Series II、Gold-5Gを経て、第三世代へ進化したMPDトランスデューサー(ハイル・ドライバー型)を採用した50周年のアニバーサリーモデルがこのPlatinum Series IIIです。放射パターンの見直し、Silver/Bronzeシリーズで成果を挙げたウェーブガイドなど新たな設計により、ナチュラルな特性にさらに磨きをかけました。どこまでも伸び、歪がなく、スピーカーの存在を感じさせない無色透明なサウンドは、Monitor Audioが誇るMPDトランスデューサーの一つの到達点です。また、ブレーシングに加え、ドライバー/キャビネット間のアルミニウム・フレーム・ホルダーなどドライバーのパフォーマンスを最大限発揮する細部の設計も光ります。生まれ変わったPlatinum Seriesを是非お試しください。
(提供:ナスペック)
本記事は『季刊・アナログ vol.79』からの転載です。