HOME > レビュー > プロの信頼を勝ち得た120V技術投入のDAC/プリ、SPL「Diamond」をオーディオファンに推奨したい

価格以上のパフォーマンスはプロ機のなかでも随一

プロの信頼を勝ち得た120V技術投入のDAC/プリ、SPL「Diamond」をオーディオファンに推奨したい

公開日 2023/05/25 06:30 生形三郎
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■モニター思想が活きるも神経質ではない、聴き心地の良いフラットサウンド



そのサウンドは、一聴して色付け無く客観的で、プロ向けモニターシステムを手掛けるブランドならではの仕上がりだ。音数の多さや立体的な楽器や空間表現力も過不足無く、音の質感も十二分で、本機よりもさらに高い価格帯のハイエンドDACに比類する実力を持っていることがよく分かる。なお、このSPL製品の価格を超えるパフォーマンスというのは、実はプロ機ジャンルにおける競合他社との比較でも、筆者が度々感じていたことである。

ホームオーディオにおいても遺憾なく性能を発揮する

サウンドで印象的なのは、S/N感が大変良く、一つ一つの音の陰影が見やすいこと。そして、モニター的でフラットなバランスながらも、質感の良さが十全である。これらはまさに、先述した120VテクノロジーやDLP120アナログローパスフィルターの恩恵なのだろう。それでいてホームオーディオ機器にありがちなキャラクター的な質感は一切存在しないので、まさに聴き心地の良いフラットサウンドを求める方にピッタリの音質だといえる。

ジャズのピアノトリオでは、3人の楽器同士の間合いが明解で、音楽が立体的に浮かび上がる。そしてやはりS/N感が良いので、スタジオのアンビエンスやピアノのサスティンなどがよく見えてくることが快い。ピアノの左手音域やウッドベース、そしてバスドラムの低域は、ローエンドまでしっかり再生しながらも、膨らみや重たさが皆無で爽やか。まさにモニター思想が活きていると感じる。だが、描写の方向性としては、立体感やS/N感に富みながらも鋭く神経質な描き方にならず、それが美点と言える。

バロックオーケストラの再生では、やはりホールへの音の広がりがしっかりと再現され、余韻の滞空時間の長さが明瞭に浮かび上げる点が実に爽快だ。また、ストレートな描写で、歌声や楽器の姿や音楽の和声が、ナチュラルに表出するさまが印象的だ。

先述のようにプロ機譲りの機能性や音質を備えながらも、いたってシンプルな操作感を実現していることが素晴らしい。また、SPLではDAC機能内蔵ヘッドホンアンプもラインナップしているが、愛用のヘッドホンアンプを活用するという点において単体DACである本機がジャストマッチと言えるだろう。

DAC/プリアンプとして、ヘッドホンアンプやアクティブスピーカーなどとの組み合わせにも活用できる

以上のように、本機「Diamond」は、プロの現場でも厚い信頼と評価を得ているSPLならではの確かな音質が実現された高性能DACである。ニュートラルで客観的なバランスながらも、同社の独自技術が生かされた透明感豊かな描写力と良質な聴き心地を備えており、高音質を追求するホームオーディオファンに推奨できる実力を持ったハイパフォーマンスDACであるとレポートしたい。

(協力:A&Mグループ株式会社)

前へ 1 2

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: