PR一体型最上位機と弩級セパレート機を試す
マランツAVアンプ「CINEMA40」「AV10/AMP10」比較試聴! 評論家が自宅試聴で感じた魅力とは?
傾向としては、温かみを持った音質で、高域及び低域に適度なメリハリを持たせた心地よいサウンドを楽しませてくれる。これは、マランツのコンポーネントに通ずるラグジュアリーな音質だ。
例えばビル・チャーラップ・トリオ「Notes from The New York」を再生すると、ピアノの中音域や高音域の音色は、しっとりとした滑らかさを伴い浮かび上がる明瞭さに加え、同じくピアノの低弦側やウッドベースのボトムスは量感豊かに、なおかつ弾みある描写で描かれる。メリハリがあり、音楽を楽しく再現する魅力があるのだ。
ボーカルソースとしてKeiko Lee「Fragile」を再生してみると、ボーカルのリバーブの長さがふわりと余韻長く広がるような幻想的な音がある。口当たり滑らかで温かみある歌声が快く、霧のような細かい粒子感で広がっていくリバーブの余韻はとても長く幻想的だ。それでいて、ボーカルや伴奏のピアノの音像は、明瞭な輪郭がありディティールも伝わる。
CINEMA 40の「AVアンプならではの楽しみ方」
また、AVアンプならではの楽しみ方である、ステレオ音源の3Dサラウンドへのアップミックスを試してみる。出力は、フロントをプリアウト出力し、6.0.4ch再生で実施した(トップレイヤーは、パラダイム製天井埋め込みスピーカー「CI Elite E80-R v2」を使用した)。
「Neural:X」 によるアップミックスを試してみると、自然な広がりや包まれ感を楽しむことができた。とりわけポップスなどのスタジオ録音されたソースとの相性が抜群で、例えば楽曲内のハンドクラップのみが後方から聴こえてきたりと、違和感なくクリエイティブな包まれ感を楽しむことができた。
ジャズは、ジャズクラブのステージと客席とに音が展開するような臨場感あふれる音の響きが楽しめた。このような電気的なDSP処理は得てして不自然さが耳についてしまう場合もあり筆者自身苦手としていたのだが、そんな私でも気にならず、むしろ、包まれ感が心地よく、多くのステレオソースをこれで楽しみたいとさえ感じた。
全体的な音質としては、やはり、温かみがある滑らかな質感で、まさに「Modern Musical Luxury 」というコンセプトを体現する快適で心地良いラグジュアリーなサウンドが堪能できる。
特に、豊かな低域によるふくよかなボトムの下支えによって、どこにも棘がなくビロードのような手触りと肉厚な密度を感じさせる。厚みがありながらも低域は重たくならず、なおかつ、適度に音と音が混じり合うような有機的な融合感があり、まさに上質という言葉がぴったりのサウンドなのだ。
特筆したいのは、これらの質感は、非常にストライクゾーンが広いユニバーサルなサウンドと感じること。このあたりの采配は、グローバルでも高いシェアを築くマランツならではの普遍性と推察する。
「AV10」「AMP10」は「間違いなく筆者がこれまで聴いてきたなかで最高峰の音」
続いて、セパレートアンプ「AV10」と「AMP10」の試聴に移る。詳細スペックはここでは割愛するが、特徴としては 、AV10は17.4chのプリアウト出力を備える15.4ch AVプリアンプで、プリアンプ回路に、同社独自の高速アンプモジュール「HDAM-SA3」をチャンネル毎に独立基板で採用するほか、新開発のD/A変換およびマスタークロック回路も独立した専用基板に搭載するなどの贅沢な構成となっている点が注目ポイントだ。