【特別企画】NCFを採用する新設計モデル
フルテックのスピーカーケーブル端末プラグ、その最高峰モデルの音を新旧比較で検証
フルテックのスピーカーケーブル端末プラグの最高峰モデルが、独自の特殊素材NCFを調合して新設計された。非磁性ロジウムメッキの優れた品位と信頼性に加え、強力な制振効果と静電気対策を獲得したその音質と使用感を福田氏がレポートする。
フルテックから、純銅ロジウムメッキ・ワンピース構造による現行の最高級Yラグ/バナナプラグ「CF-201(R)」と「CF-202(R)」に、新しい上位モデルとして、「CF-201 NCF(R)」「CF-202 NCF(R)」が登場した(2023年9月)。
基本構造は継承しながら、ハウジングデザインがシルバーメッシュ仕上げになったほか、大きな特徴としては、主に制振と静電効果を高めるNCF固定リングを採用したことにある。ここでは、その音質性能の違いについて調べた。
●従来モデルを聴く(バナナプラグ)
初めに、現行モデルの音の確認から行う。「CF-202(R)」を装着してあるスピーカーケーブルは筆者がレファレンスに使っていたもので、ケーブルにはクリプトンのSC-HR1500を使用。スピーカー側にバナナプラグ「CF-202(R)」を装着してある。解像度が高く、極めて信頼性の高い性能が得られていることが、レファレンスとして起用した理由である。
今回、フルテックの新しいバナナプラグ「CF-202 NCF(R)」、Yラグ「CF-201 NCF(R)」の試聴もこのケーブルを使うので、もう少し詳しく説明しておくと、導体はPC-TripleCの0.33mmφ7本の束を6本採用。この太い素線構成が、電流による振動を抑え、混濁の少ない高い解像度を発揮している。
フルテックのこれまでの最高級バナナプラグを装着した状態の音はどのようなものだったのか。スピーカー、B&W800D3に接続して改めて試聴した。
音はピュアに澄みきり広帯域で、歪み感がなく、高SN比で研ぎ澄まされる。克明にして美しく、中低域は引き締まり躍動する。コントラストが強力である。このバナナプラグはNCFなしの製品だが、もう十分に魅力を引き出していて特に文句のない状態である。バナナプラグには音質面で不利なこともあるため注意してはいるが、この音を聴いて最先端のサウンドが得られる性能であることが分かった。
●NCF新モデルを聴く(バナナプラグ)
次に同じケーブルで、バナナプラグの新製品「CF-202 NCF(R)」へとつけ替える。まず、表現力の変化は中低域の厚みに現れた。この帯域のコントラストも高める作用があるため、立体感が増している。低音の躍動は深くストロークを出しており、これも立体感を高める効果があるのだろう。
中低音域で朗々と歌うテネシー・アニーフォードのヴォーカルも、リアリティは10 %ぐらい高く、また質感密度が増していることに気づく。B&W800D3のサウンドは、これが本物ではないか。厚い躍動と奥行きのあるヴォーカルに圧倒された。
キャラクターはニュートラルで、クセは感じられない。バナナプラグという“わずかこんな部分”で、なんてことだ。オーディオはこれだから怖い。しかし高域側には多少デッドな印象もある。幅広い音楽ジャンルを聴く身にとっては、完璧にオールマイティとは言えないところもあるが、聴く音楽の傾向を選ぶと強力な効果が得られる。
●NCF新モデルを聴く(Yラグ)
今度は、同じケーブルに新製品のYラグ、「CF-201 NCF(R)」を装着する。Yラグの音は、バナナプラグの「CF-202NCF(R)」とはまったく違い、高純度でフラットな帯域特性を備え、洗練された内容である。音の情報を全て浮き彫りにしてくるようなリアリティで、とてつもなく高解像度である。
中高域はトランジェントに優れ、ギターの旋律は急峻に立つ。輪郭がはっきりしている。音色の透明感も高い。キャロル・キッドの「ホエン・アイ・ドリーム」は透明でコントラストが高く、とてつもなく明確である。低音は強力に引き締まる。
これは、バナナプラグ「CF-202(R)」を装着した時の延長線上になり、さらに精度やコントラストを高めた印象である。余韻の持続していく様子がきれいで、SN比も高い。クラシック系の音楽では、主題の旋律と余韻が織りなす音楽情景の聴こえ方が変化し、魅力を高める。
オーディオの楽しみが、このような部分でも左右されていることを改めて実感した。どんなパーツも、信号経路に含まれる部分は無視できない。
NCFシリーズはシルバーデザインが採用されて、外観がさらに美しくなっている。また実際にスピーカーケーブルを接続して組み立ててみると、精度の高い作りと構造にも感心する。付属している六角レンチ1本で作業することができた。
【CF-201 NCF(R)/CF-202 NCF(R)共通】●固定リング:NCF制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●エンドハウジング:絶縁リングつきローレット加工●本体:α(アルファ)非磁性ステンレス●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●最大ケーブル直径:5.5mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4×4)×2個セット
【CF-201 NCF(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー大全2024〜2025』からの転載です。
NCF採用の新たな上位モデル、新旧での音の違いを比較試聴
フルテックから、純銅ロジウムメッキ・ワンピース構造による現行の最高級Yラグ/バナナプラグ「CF-201(R)」と「CF-202(R)」に、新しい上位モデルとして、「CF-201 NCF(R)」「CF-202 NCF(R)」が登場した(2023年9月)。
基本構造は継承しながら、ハウジングデザインがシルバーメッシュ仕上げになったほか、大きな特徴としては、主に制振と静電効果を高めるNCF固定リングを採用したことにある。ここでは、その音質性能の違いについて調べた。
●従来モデルを聴く(バナナプラグ)
高SN比で研ぎ澄まされ、十分な魅力を持つことを確認
初めに、現行モデルの音の確認から行う。「CF-202(R)」を装着してあるスピーカーケーブルは筆者がレファレンスに使っていたもので、ケーブルにはクリプトンのSC-HR1500を使用。スピーカー側にバナナプラグ「CF-202(R)」を装着してある。解像度が高く、極めて信頼性の高い性能が得られていることが、レファレンスとして起用した理由である。
今回、フルテックの新しいバナナプラグ「CF-202 NCF(R)」、Yラグ「CF-201 NCF(R)」の試聴もこのケーブルを使うので、もう少し詳しく説明しておくと、導体はPC-TripleCの0.33mmφ7本の束を6本採用。この太い素線構成が、電流による振動を抑え、混濁の少ない高い解像度を発揮している。
フルテックのこれまでの最高級バナナプラグを装着した状態の音はどのようなものだったのか。スピーカー、B&W800D3に接続して改めて試聴した。
音はピュアに澄みきり広帯域で、歪み感がなく、高SN比で研ぎ澄まされる。克明にして美しく、中低域は引き締まり躍動する。コントラストが強力である。このバナナプラグはNCFなしの製品だが、もう十分に魅力を引き出していて特に文句のない状態である。バナナプラグには音質面で不利なこともあるため注意してはいるが、この音を聴いて最先端のサウンドが得られる性能であることが分かった。
●NCF新モデルを聴く(バナナプラグ)
中低域の厚みや立体感を増し、クセなく厚い躍動で圧倒される
次に同じケーブルで、バナナプラグの新製品「CF-202 NCF(R)」へとつけ替える。まず、表現力の変化は中低域の厚みに現れた。この帯域のコントラストも高める作用があるため、立体感が増している。低音の躍動は深くストロークを出しており、これも立体感を高める効果があるのだろう。
中低音域で朗々と歌うテネシー・アニーフォードのヴォーカルも、リアリティは10 %ぐらい高く、また質感密度が増していることに気づく。B&W800D3のサウンドは、これが本物ではないか。厚い躍動と奥行きのあるヴォーカルに圧倒された。
キャラクターはニュートラルで、クセは感じられない。バナナプラグという“わずかこんな部分”で、なんてことだ。オーディオはこれだから怖い。しかし高域側には多少デッドな印象もある。幅広い音楽ジャンルを聴く身にとっては、完璧にオールマイティとは言えないところもあるが、聴く音楽の傾向を選ぶと強力な効果が得られる。
●NCF新モデルを聴く(Yラグ)
フラットで高い純度と解像度、情報を全て浮き彫りにする
今度は、同じケーブルに新製品のYラグ、「CF-201 NCF(R)」を装着する。Yラグの音は、バナナプラグの「CF-202NCF(R)」とはまったく違い、高純度でフラットな帯域特性を備え、洗練された内容である。音の情報を全て浮き彫りにしてくるようなリアリティで、とてつもなく高解像度である。
中高域はトランジェントに優れ、ギターの旋律は急峻に立つ。輪郭がはっきりしている。音色の透明感も高い。キャロル・キッドの「ホエン・アイ・ドリーム」は透明でコントラストが高く、とてつもなく明確である。低音は強力に引き締まる。
これは、バナナプラグ「CF-202(R)」を装着した時の延長線上になり、さらに精度やコントラストを高めた印象である。余韻の持続していく様子がきれいで、SN比も高い。クラシック系の音楽では、主題の旋律と余韻が織りなす音楽情景の聴こえ方が変化し、魅力を高める。
オーディオの楽しみが、このような部分でも左右されていることを改めて実感した。どんなパーツも、信号経路に含まれる部分は無視できない。
NCFシリーズはシルバーデザインが採用されて、外観がさらに美しくなっている。また実際にスピーカーケーブルを接続して組み立ててみると、精度の高い作りと構造にも感心する。付属している六角レンチ1本で作業することができた。
【CF-201 NCF(R)/CF-202 NCF(R)共通】●固定リング:NCF制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●エンドハウジング:絶縁リングつきローレット加工●本体:α(アルファ)非磁性ステンレス●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●最大ケーブル直径:5.5mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4×4)×2個セット
【CF-201 NCF(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー大全2024〜2025』からの転載です。