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【特別企画】静電気と音質向上の有効策

アナログ再生に威力を発揮、スリムタイプIEC端子の最上級NCF電源ケーブルを体験

公開日 2023/08/29 06:30 角田郁雄
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世界中のプロからアマチュアまで、優れた性能が広く支持されているフルテックの特殊素材、NCF。ラインナップ拡充が進むなか、新開発のスリムタイプコネクターを採用し、使える範囲を拡大した最高峰電源ケーブルが登場。ここではアナログ再生での効果を、角田氏が自宅の愛機でレポートする。

スリムタイプIECコネクター採用のフルテック最高峰電源ケーブル、「Powerflux-C15 NCF-18」(338,800円、1.8m、税込)

NCFが威力を発揮する静電気と振動の低減効果


フルテックは、静電気と振動の低減に効果を発揮する特殊素材NCFを研究開発し、現在その製品数を拡張中だ。今般はNCF効果をフルに投入した最新ハイエンド電源ケーブル、「Powerflux-C15 NCF-18」を登場させた。そのNCFについて、私個人のアナログ再生での実体験を最初に紹介しておこう。

読者もご存知のように、レコード再生に静電気は大敵と言える。スクラッチノイズを発生するからだ。静電気はレコードへの帯電だけではなく、プレーヤーやフォノイコライザーに帯電することもある。

その解決策として、私はトーンアームケーブルを「NCF Booster-Signal-L」で支え、付属のバンドで密着固定した。プレーヤーのキャビネットからの静電気も、アームからケーブルへと伝わると推察したからだ。

トーンアームケーブルをフルテックのケーブル/プラグホルダー「NCF Booster-Signal-L」(17,908円、税込)で支え、付属のバンドで密着固定

実際の使用では、ケーブルをクレイドルに乗せただけでも効果を感じたが、どうしてもクレイドルと点接触になるのでバンドで密着固定した。その結果、最大限の効果を実感した。現在では他の再生機器においても、エッセンシャルなアイテムとなっている。

一方、電源ケーブルでは静電気低減効果は必要ないのではと思い、従来から愛用のケーブルを使ってきた。しかし本製品を実際に使い、考えを改めた。特に私のプレーヤーの一つは、ドイツのトランスローター社のRONDINO(別筐体ドライブユニットによるプラッター非接触磁気ドライブ方式:TMD)で、キャビネットはアクリル製なので帯電する。ゆえに前述のNCFの効果は大きく、手で触ってもバチッという衝撃を受けなくなった。

トランスローターのアナログプレーヤー「RONDINO」とその電源ユニット

では、別筐体の強力なリニア電源ユニットに本製品「Powerflux-C15 NCF-18」を接続するとどうなったか。ドラスティックに聴感上のS/Nが向上し、ノイズフロアに埋もれていた微細音が浮き上がった印象を受けた。解像度とダイナミックレンジが拡張された感覚になったのだ。

おそらくは愛用の電源ケーブルは樹脂製の外被で、両端端子も樹脂ボディであるから帯電していたと推察された。結果としてより滑らかな回転が実現したようで、プラッターの慣性力が高まった印象も受ける。

プレーヤーとフォノEQともにアップグレード効果を発揮


本製品「Powerflux-C15 NCF-18」の仕様は別記のとおりだが、ノイズ低減ユニットも搭載され、高純度銅線と厳重なシールド構造により、電源ケーブル内部のノイズ低減にとどまらず、外部への輻射も低減しているから、これだけの効果が得られるのであろう。しかも端子はNCF採用で、アースジャンパーにより、アースからの静電気も低減させている。

「Powerflux-C15 NCF-18」ケーブル部の仕様と構造図

こうなってくると、愛用のフェーズメーションの管球式モノラルフォノイコライザー、EA-1200でも効果は大きいだろうと推察し、もう一本「Powerflux-C15 NCF-18」を追加接続した。その結果さらに解像度が高まり、空間にリアルな演奏のさまが描写された。

新開発のハイエンド パフォーマンス IECコネクター「CF-C15 NCF(R)」の構造図(単売は未定)。従来の丸形端子が挿せなかった機器も、本品なら使用可能に

特にシンバルは研ぎ澄まされた鮮烈な響きとなり、高域が拡張されたような印象を受けた。ベースやドラムスの響きもクリアになり、私の望むリアルな響きとなった。さらには音の滑らかさや豊潤な倍音が聴け、EA-1200の本当のMCバランス伝送の良さと音質の良さが発揮されたように思えた。

その後、プレーヤーの設置やカートリッジの取り付けなどを点検し再び再生。すると、とてもレコードとは思えない静寂感や、テープレコーダーに迫る滑らかな立体空間が再現された。

フルテック「Powerflux-C15 NCF-18」をプレーヤーの電源とフォノイコライザーの両方の電源供給に使うと、さらに効果が顕著に!

NCFの登場以来、私は静電気の低減に気を配ってきた。そして、レコード自体の除電だけでは不十分だと理解した。アナログ再生においては、特にプレーヤーとフォノイコライザー周辺の静電気低減が重要だ。本製品「Powerflux-C15 NCF-18」はコンパクトな直方体IECコネクターの採用で使いやすさも増した。システムをアップグレードしたい読者は、ぜひ一度試して欲しい。


【Powerflux-C15 NCF-18】●接続部端子部:プラグ(カーボンファイバーNCF仕様)→FI-50M NCF(R)、IECコネクター(スリムタイプのカーボンファイバーNCF仕様)→CF-C15 NCF(R) ※単独販売未定●特殊素材「NCF」をプラグボディ部に調合。ナノ単位のセラミックパウダー、カーボンパウダーによるこれまでの強力な制振効果に加え、静電効果を向上●端子接点:非磁性ロジウムメッキ●ケーブル素材:α-導体(OCC素材)の高密度導体●絶縁材:カーボンパウダー調合の高機能PVCを用いた2重シース構造(振動と外部からのノイズを遮断するとともに柔軟性を合わせ持つ)●ケーブル直径:約 17.5mm●定格:15A 125V〜(日本/米国/カナダ等)、10A 250V〜(欧州連合地区)
(協力:フルテック)


本記事は『アナログ vol.80』からの転載です。

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