40〜50万円台のハイグレードクラスから5モデルを横並び比較
トップクラスの音質で3Dオーディオを鳴らしきる!ハイエンド・AVアンプを徹底比較レビュー
40万円を超えるカテゴリーは、各社のハイエンド・AVアンプ、またはフラグシップ機が並ぶ価格帯である。9ch〜13chアンプを内蔵したモデルが並び、AVアンプ単体で7.2.4chなどのシステム構成が可能だったり、またDolby AtmosやDTS:Xはもちろん、AURO-3DやIMAX Enhancedまでの3Dオーディオフォーマットに対応するのも特徴だ。また、最新の自動音場補正「Dirac Live」も採用するモデルが登場している点も注目である。
今回、ハイエンドクラスとして全5モデルを比較試聴したが、音質はどのモデルも大変優れており、ディスクメディアの映画から音楽のファイル再生まで、家庭で楽しめるコンテンツを一手に担う高い完成度を持つ。その先の各社が掲げるサウンドフィロソフィーの違いを、高次元のサウンドで体感できるのがハイエンドクラスならではの魅力と言える。往年のオーディオ・ビジュアルファンを納得させつつ、各社が長年培ってきたノウハウがどのように新世代のサウンドに結びついているのか、ぜひ本稿で楽しんでもらいたい。
リスタートを切ったオンキヨーから登場した、11ch搭載の最上位機種。アナログ構成のアンプ部は、東芝製バイポーラトランジスタを使用してり、高い瞬時電流供給能力を持つ。「ハイカレント3段インバーテッドダーリントン回路」をはじめ、「低NFB回路」「アナログ波形発生回路VLSC」など、同社自慢のアンプ技術を搭載しており、待ち侘びたファンの期待を裏切らない技術が盛り沢山。
自動音場補正技術には、独自開発の「AccuEQ」を搭載するだけでなく、オーディオ・ビジュアルファンの中で話題を呼んでいる「Dirac Live」を標準搭載し、有料オプションで「Dirac Live Bass Control」にも対応する。
明るく雄大なスケールに高い解像感が加わる
からりと明るくスケール雄大なオンキヨー・サウンドに新しい魅力が加わった。それは打てば響くレスポンスだ。映画はSEと劇伴、セリフのバランスが美しく立体的で、同社AVアンプの新境地といえるだろう。以前のオンキヨーのAVアンプは重々しい低域が特徴だったが、本機は例えばアクションシーンの爆発音で響きの解像感を前面に出す。
音場が常に解れていて広がりを感じさせるのも特徴で、DSPの動作も精度が高く、音場内のオブジェクトに質量が伴い、くっきりした動線でなめらかに動く。空間表現に重点を置いた、新世代のオンキョーアンプである。鮮鋭感が豊かな音質は、俳優の口跡が明瞭でボリュームを上げなくてもセリフが聴き取れる。音楽のステレオ再生では、ニュアンスや音場がやや平板になる傾向があるが、明美なサウンドを個性として持つ。
パイオニアの長年提唱してきたサウンドコンセプトを「Multi Channel Stereophonic Philosophy」を着実に継承した最上位モデル。ESS社製のDAC「SABRE 32 UltraDAC ES9026Pro」を11chの全チャンネルに使用、ルビコン社との共同開発にコンデンサー「PML MUコンデンサー」や高いS/Nを実現させるための「低ESRコンデンサー」など、選定した高品位パーツを搭載し、パイオニアチューンに仕立てられている。
同社の大きな魅力であった自動音場補正技術「MCACC PRO」も継いでおり、各スピーカー間に止まらず、スピーカーのユニット間の位相ずれまで補正し、一糸乱れぬ音場を創生する。また、コンテンツ内に存在するLFEの遅れを補正する「Auto Phase Control Plus」も搭載する。また、本機も「Dirac Live」を実装しているため、MCACCとの使い分けができるのもユーザー・ベネフィットだ。
一音一音の表現が堅実で密度感も高いサウンド
音楽ライブは誇張や色付けのない素直な音調だ。楽器の音色が自然でリアリティがあり、S/Nの良さと相まって、小音量でも品位が高い。アクション映画は、重厚さより鮮鋭感や解像感を前面に出し、レベルの大きい効果音が重畳するシーンでも聴き分けられる。DSPの動作が優れており、爆発シーンではは風圧が試聴室を吹き抜けていくが、スピードと質感が備わっていることで、どんよりとした音塊にならない。
同社がランナップしていた、かつての同価格帯のクラスDアンプとどうしても比較されがちだが、「LC-SCシリーズ」を彷彿させるようなエネルギー感を持ち合わせている。アナログ方式で最良を実現した印象だ。一音一音の表現が堅実で、その上で密度感の高いサウンドだからこそ成せる音である。
マルチチャンネル・一体型のAVアンプを創案し、多チャンネル一体型AVアンプを創案し、「CINE DSP」(当時の国内呼称)で音場創成に先駆けたヤマハは、現在も熱心なファンを持つ。同社AVアンプのハイグレードシリーズである「AVENTAGE(アベンタージュ)」のフラグシップモデルが「RX-A8A」。11ch搭載で、剛体設計のシャーシで制振性能を追求し、回路設計においても一新されたモデル。
ヤマハ独自の自動音場補正技術「YPAO」は、64bit演算のイコライジング処理を採用。オリジナルのサラウンド機能「SURROUND:AI」では、視聴中の映像コンテンツの音の要素を分析し、シーン毎に最適な音場効果を付加する。また3次元立体音場創生「シネマDSP HD3」は、Dolby AtomsやDTS:Xとの掛け合わせが可能だ。本機からAURO-3D対応も果たした。
爆発シーンの瞬発力が抜群でスケールも広大
音楽ライブは音影が濃く、音場に密度感がある。楽器の音色への迫り方が一枚上で、響きの個性と音色の多彩を引き出してくれる。ピアノをはじめ、音色に艶があり演奏に一体感と呼吸がある。ステレオ再生の音楽のピアノコンチェルトは、オケとピアノの響き、弱音の確かな存在感、息づくような音楽の膨らみと強弱を鮮明に描く。
映像コンテンツでは、効果音や劇伴の音色が自然で遠巻きの音場も美しく、セリフも鮮明で自然だ。SOURROUND AIをオンにすると、アクション描写の量感と迫力が増す。オブジェクトの移動等の客観性は、オフ時のほうが高い。動線が滑らかで量感を兼備しており、爆発シーンの瞬発力は群を抜く。スピード、音圧、浸透力とも豊かで、スケールも圧倒的に広大。邦画は俳優の肉声の地肌、力の抑揚がマイク越しに聴いているかのように生々しい。アナログ部のS/Nの高さ、パワーアンプの地力の良さが表れる。
今回、ハイエンドクラスとして全5モデルを比較試聴したが、音質はどのモデルも大変優れており、ディスクメディアの映画から音楽のファイル再生まで、家庭で楽しめるコンテンツを一手に担う高い完成度を持つ。その先の各社が掲げるサウンドフィロソフィーの違いを、高次元のサウンドで体感できるのがハイエンドクラスならではの魅力と言える。往年のオーディオ・ビジュアルファンを納得させつつ、各社が長年培ってきたノウハウがどのように新世代のサウンドに結びついているのか、ぜひ本稿で楽しんでもらいたい。
ONKYO「TX-RZ70」
リスタートを切ったオンキヨーから登場した、11ch搭載の最上位機種。アナログ構成のアンプ部は、東芝製バイポーラトランジスタを使用してり、高い瞬時電流供給能力を持つ。「ハイカレント3段インバーテッドダーリントン回路」をはじめ、「低NFB回路」「アナログ波形発生回路VLSC」など、同社自慢のアンプ技術を搭載しており、待ち侘びたファンの期待を裏切らない技術が盛り沢山。
自動音場補正技術には、独自開発の「AccuEQ」を搭載するだけでなく、オーディオ・ビジュアルファンの中で話題を呼んでいる「Dirac Live」を標準搭載し、有料オプションで「Dirac Live Bass Control」にも対応する。
明るく雄大なスケールに高い解像感が加わる
からりと明るくスケール雄大なオンキヨー・サウンドに新しい魅力が加わった。それは打てば響くレスポンスだ。映画はSEと劇伴、セリフのバランスが美しく立体的で、同社AVアンプの新境地といえるだろう。以前のオンキヨーのAVアンプは重々しい低域が特徴だったが、本機は例えばアクションシーンの爆発音で響きの解像感を前面に出す。
音場が常に解れていて広がりを感じさせるのも特徴で、DSPの動作も精度が高く、音場内のオブジェクトに質量が伴い、くっきりした動線でなめらかに動く。空間表現に重点を置いた、新世代のオンキョーアンプである。鮮鋭感が豊かな音質は、俳優の口跡が明瞭でボリュームを上げなくてもセリフが聴き取れる。音楽のステレオ再生では、ニュアンスや音場がやや平板になる傾向があるが、明美なサウンドを個性として持つ。
PIONEER「VSA-LX805」
パイオニアの長年提唱してきたサウンドコンセプトを「Multi Channel Stereophonic Philosophy」を着実に継承した最上位モデル。ESS社製のDAC「SABRE 32 UltraDAC ES9026Pro」を11chの全チャンネルに使用、ルビコン社との共同開発にコンデンサー「PML MUコンデンサー」や高いS/Nを実現させるための「低ESRコンデンサー」など、選定した高品位パーツを搭載し、パイオニアチューンに仕立てられている。
同社の大きな魅力であった自動音場補正技術「MCACC PRO」も継いでおり、各スピーカー間に止まらず、スピーカーのユニット間の位相ずれまで補正し、一糸乱れぬ音場を創生する。また、コンテンツ内に存在するLFEの遅れを補正する「Auto Phase Control Plus」も搭載する。また、本機も「Dirac Live」を実装しているため、MCACCとの使い分けができるのもユーザー・ベネフィットだ。
一音一音の表現が堅実で密度感も高いサウンド
音楽ライブは誇張や色付けのない素直な音調だ。楽器の音色が自然でリアリティがあり、S/Nの良さと相まって、小音量でも品位が高い。アクション映画は、重厚さより鮮鋭感や解像感を前面に出し、レベルの大きい効果音が重畳するシーンでも聴き分けられる。DSPの動作が優れており、爆発シーンではは風圧が試聴室を吹き抜けていくが、スピードと質感が備わっていることで、どんよりとした音塊にならない。
同社がランナップしていた、かつての同価格帯のクラスDアンプとどうしても比較されがちだが、「LC-SCシリーズ」を彷彿させるようなエネルギー感を持ち合わせている。アナログ方式で最良を実現した印象だ。一音一音の表現が堅実で、その上で密度感の高いサウンドだからこそ成せる音である。
YAMAHA「RX-A8A」
マルチチャンネル・一体型のAVアンプを創案し、多チャンネル一体型AVアンプを創案し、「CINE DSP」(当時の国内呼称)で音場創成に先駆けたヤマハは、現在も熱心なファンを持つ。同社AVアンプのハイグレードシリーズである「AVENTAGE(アベンタージュ)」のフラグシップモデルが「RX-A8A」。11ch搭載で、剛体設計のシャーシで制振性能を追求し、回路設計においても一新されたモデル。
ヤマハ独自の自動音場補正技術「YPAO」は、64bit演算のイコライジング処理を採用。オリジナルのサラウンド機能「SURROUND:AI」では、視聴中の映像コンテンツの音の要素を分析し、シーン毎に最適な音場効果を付加する。また3次元立体音場創生「シネマDSP HD3」は、Dolby AtomsやDTS:Xとの掛け合わせが可能だ。本機からAURO-3D対応も果たした。
爆発シーンの瞬発力が抜群でスケールも広大
音楽ライブは音影が濃く、音場に密度感がある。楽器の音色への迫り方が一枚上で、響きの個性と音色の多彩を引き出してくれる。ピアノをはじめ、音色に艶があり演奏に一体感と呼吸がある。ステレオ再生の音楽のピアノコンチェルトは、オケとピアノの響き、弱音の確かな存在感、息づくような音楽の膨らみと強弱を鮮明に描く。
映像コンテンツでは、効果音や劇伴の音色が自然で遠巻きの音場も美しく、セリフも鮮明で自然だ。SOURROUND AIをオンにすると、アクション描写の量感と迫力が増す。オブジェクトの移動等の客観性は、オフ時のほうが高い。動線が滑らかで量感を兼備しており、爆発シーンの瞬発力は群を抜く。スピード、音圧、浸透力とも豊かで、スケールも圧倒的に広大。邦画は俳優の肉声の地肌、力の抑揚がマイク越しに聴いているかのように生々しい。アナログ部のS/Nの高さ、パワーアンプの地力の良さが表れる。