PR美しく、長く使えるイヤホン/ヘッドホンを追求
Meze Audio創設者が語る「デザインの源流」。美しさ/性能を両立するタイムレスな製品、そのための“3つの軸”とは
美しさの先に「機能性」が隠れている
―― 平面磁界駆動型ヘッドホンの「EMPYREAN」や「ELITE」もアイコニックなデザインですが、音響技術との融合は難しかったのではないでしょうか。当時を振り返って苦労話をお伺いできますか?
アントニオ氏: EMPYREANの最初のデザインパターンは、実は数時間で用意できました。それはまるで熱にうなされたかのような体験でしたね。これ以上ない音楽体験を感じさせるヘッドホンにしたいと考え、形状とプロポーションをまず私が描き出し、デザインチームのPaul Stetとメールでスケッチのやり取りを始めました。
最終のデザインになるには2年もの月日がかかりましたが、それは音響技術を含めてひとつひとつ丹念に検討をしていたから。実際、ドライバーはRinaro社が開発した平面磁界駆動型ドライバーを採用しましたが、それ以外はすべてMeze Audioのオリジナルです。
EMPYREANは発売以降、皆さんから高い評価をいただき、その後EMPYREANでできた「基準」をさらに押し上げるべく「ELITE」を開発しました。EMPYREANで評価された「快適な装着性」「高い耐久性「藝術と呼べる美しさ」といったよい点は継承しつつ、オーディオファイルの皆さんが最高峰と思えるサウンドシグネチャーを生み出すことができました。
―― ELITEは繊細さと力強さを持ち、全帯域にわたり滑らかでナチュラルなサウンドと感じました。デザイン面でも幾何学模様のハウジングがとても美しいですね!
アントニオ氏: そのイヤーカップに展開されているエッチングですが、これは先程ブランドコンセプトに掲げた「Purposeful (目的、定義)」にあたるポイントです。
おっしゃる通りにまず美しさに目を奪われたと思いますが、その構造はエアーフローの流れを改善させて低域のレスポンスを強化するために採用した模様なのです。そこには美を超えた「目的」が隠れています。
この点においては、オープンエアー型ヘッドホン「109PRO」も同様です。109 PROのイヤーカップには放射状に広がるスパイダー構造を採用していますが、実はこれもエアーフローを鑑みた形状なのです。またヘッドホンを装飾するためにウッド素材を使っていますが、ここには廃材になったアメリカン・ウォールナット材を使っています。
−− 109 PROのヘッドバンドの素材はビーガンレザーですし、99 Classics同様にすべてのパーツは交換可能な点も含めて地球環境に配慮したデザインですね。
■Meze Audio オープンエアー・平面磁界駆動型ヘッドホン「Elite Tungsten」 |
【SPEC ●型式:オープンエアー・平面磁界駆動型 ●ドライバー口径:非公開(有効面積4,650mm²) ●再生周波数帯域:3Hz - 112kHz ●インピーダンス:32Ω ● 感度:101dB(1kHz/1mW) ● ケーブルの長さ:2.4m (6.3mm) ●質量:430g(ケーブル含まず) ●付属品:イヤーパッド2種、超剛性ABSスーツケース】 |
「イヤーパッドも刷新された新ELITE」Rinaro社製のカスタムドライバーを採用する平面磁界型ヘッドホン「ELITE」。2種のボイスコイルを配置Rinaro社製カスタム平面磁界駆動型ドライバー「MZ3SE」を搭載する。極薄の半結晶ポリマーフィルムを加工して、剛性と安定性を備えた振動板内に音域の異なる2種のボイスコイルを配置した特殊な仕様だ。 写真はELITEのニューカラー。シルバーの粒子が散りばめられたダークグレーの仕上げにより一層精悍な顔つきになった。また本機の発売より新開発の「NEW ANGLED ALCANTARAイヤーパッド」が同梱されるように。装着性の改善で遮音性が高まり、従来モデルよりより歪みの少ないクリアな低域再生を実現したという。 |