PR評論家・土方久明氏がチェック
音質も機能も評論家が太鼓判!マランツ「CD 50n」「MODEL 50」レビュー
基盤上のレイアウトは左右チャンネルの等長、平行配置が徹底され、LRのチャンネル間におけるクロストークとギャングエラーを極小化したボリュームコントロールICを搭載する。ボリュームICは、一般的な使用時の音量範囲内ではプリアンプでの増幅を行わずパワーアンプのみで増幅する、いわゆる可変ゲイン構成となっていて、一般的なボリュームで使用される可変抵抗体が存在しないため、経年劣化に伴う音質変化も起こらない。
パワーアンプ部は、HDAM-SA3を用いたフルディスクリート構成による電流帰還型増幅回路を採用。クラス最大級の大容量トロイダルトランスとパラレル・プッシュプル構成の出力段により、スピーカー駆動力を向上させた。また、上位モデルに搭載される銅箔を用いた高音質フィルムコンデンサーなどもスライド投入され、こちらも尾形好宣氏が徹底的に音質を突き詰めている。
ここでひとつの要素に気が付かれないだろうか? MODEL 50にはD/Aコンバーターやストリーマーなどのデジタル回路を伴う機能が搭載されない、「純粋な」アナログアンプなのだ。
つまりCDを含む多数のソースは先ほど紹介したCD 50nに任せて、アンプ側ではひたすらストイックに音質を求めたように僕は感じ取った。多数のラインナップを持つマランツ、そしてミドルクラスならではの贅沢かもしれない。
試聴レビュー:クラシックは「聴感上のSN比が高く、音に透明感がある」
ここからはCD 50nとMODEL 50をペアにして試聴に入ろう。カッシーナのアルミラックの上に設置された2モデルは、カーテン越しの外光を浴びて抜群の雰囲気を醸し出しており、音楽を聴く気持ちを高めてくれる。
なお、シャーシカラーを2色から選べるのもポイントが高い。オーディオが置かれた風景をソリッドかつクールに見せたければブラック、暖かい風景にしたければシルバーゴールドのカラーを選べば良いと思う。両モデルともデザインが優れており、インテリアと良質にマッチングできるので、リビングにおいても家族に邪魔者扱いされることはないだろう。
スピーカーにJBL社の中型モデル「L100 Classic 75」と組み合わせて試聴開始。まずはCD 50nのディスクトレイにCDを載せた。
(1)クラシック/オーケストラ
久石譲『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』 (UMCK-7191)
聴感上のSN比が高く、音に透明感がある。音色はフラット基調を軸にしているが高音域に少し煌びやかなアクセントがあり、トランペットやヴァイオリンの音色が気持ち良い。オーケストラを構成する多数の楽器が明瞭で情報量を感じるし、抑揚表現では全部の音が出るトッティで壮大さを表現する。30センチウーファーをしっかりと駆動しておりアンプの支配力の高さを印象付ける。サウンドステージは広く、ノイズレベルが低いため、奥方向までしっかりと見渡せる。
(2)女性ボーカル
MAYA 『Billie』
今年開催された東京インターナショナルオーディオショーや名古屋オーディオセッションなどのイベントでもよく使用した、日本人ジャズアーティストのボーカル作品。本作ではあえて真空管マイクやアナログのテープレコーダーを使用することで暖かい音を狙っているのだが、そのコンセプトがよく聞き取れる。声に弾力感がある上、音像の輪郭がボケずに、立体的な音像が出現する。JBLとの音色的なマッチングも思いの外良くて、重量感と弾力のあるベース表現により音楽的なグルーブが高い音だ。
サブスク配信やアナログ再生も試す。「予想以上の音質だった」
続いてHEOSを使い、定額制ストリーミングサービスのAmazon Music Unlimitedから1曲再生した。iPadを手に取りHEOSアプリを立ち上げ楽曲を選択する。
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