PR音楽的な魅力をPolk Audioで堪能
“音質も最高”の「グラミー賞2024」受賞曲、人気のPolk Audioスピーカー3機種で聴き倒す!
しっかりとしたディテールで高い完成度、エントリー「Monitor XT」を試す
まずは、エントリーラインとなるMonitor XTシリーズに属す「MXT20」を利用した。外形寸法は191W×330H×280Dmm、重量は5.5kgの小型の2ウェイ・ブックシェルフスピーカーだ。価格はなんとペアで38,500円(税込)。
ドライバーは2.5センチのテレリン・ドーム・トゥイーターと、16.5センチのバイラミネートコンポジットウーファーで構成され、周波数特性は38Hz - 40kHzと高域限界も広い。コストを大きく左右するキャビネットの表面仕上げは良い意味で簡素化されているが、マットブラックの仕上げはある意味視覚的な迫力もある。
音質を含めた総合的なコストパフォーマンスは、圧倒的だと言わざるをえない。絶対的な情報量や質感表現は上位2モデルには敵わないが、高音域から低音域のディテールがしっかりして質感が統一されていること、低域の量感も不足しておらず、プアな音という印象は全くない。完成度の高いスピーカーだ。
試聴した3つのソフトとその聴きどころ
マイリー・サイラス「フラワーズ」
主要4部門の1つ「レコード・オブ・ザ・イヤー」を受賞したのが、アメリカ合衆国出身の女性シンガーソングライター、マイリー・サイラスの 「フラワーズ」。ミディアムテンポの楽曲で、イントロのボーカルは極端なオンマイクでも過度なリバーブもかからない、バランスの良い声質だ。
ベースは現代の楽曲なので若干強力だが、とはいっても、ビルボードチャートに上がるようなヒップ・ホップほど低域過多ではなく、ソースに対してアキュレイトな帯域バランスで音階もリアルで印象が良い。バックのコーラスとボーカルの質感も描き分けている。
ココ・ジョーンズ「ICU」
R&B(ソウル)部門のR&B歌唱賞を受賞したのは、アメリカの歌手、シンガーソングライター、ココ・ジョーンズのシングル「ICU」。まず気がつくのはサウンドステージの広さで、イントロから逆位相成分のコーラスが眼前に幅広く展開し透明感がある。ベースなど低域の立体感も表現されている。
本楽曲はココ・ジョーンズのボーカルが、メローで伸びやか、つまり雰囲気が抜群だ。それをよく伝えてくれるし、音像はピンポイントに提示されている。分解能を強調するようなことはなく、フラットな音色、安価なスピーカーだが必要十分な表現力を持っている。
ビリー・チャイルズ 「ウィンズ・オブ・チェンジ」
ジャズ部門/ジャズ楽器アルバム賞は、アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれのベテランジャズピアニスト、ビリー・チャイルズの「ウィンズ・オブ・チェンジ」が受賞した。表題曲を試聴したが、本楽曲はシンプルな編成で、現代ジャズの音質チェックにも最適だ。
まず気に入ったのはピアノの音色の良さ、そしてブライアン・ブレイドとスコット・コリーによる、リズムセクション。また、アンブローズ・アキンムシーレのワンホーントランペットにも、それぞれ適度な音色と、空間へしっかりとした定位を感じる。左右方向に加えて前後の定位感も良質に表現し、独特の緊張感を表現している。
2:16くらいからテンポが上がって本楽曲の魅力が出てくるのだが、スピーカーがもつ音楽表現としてメロディアスであり、音楽的な盛り上がりもしっかり感じ取ることができた。
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