PRヨーロッパとアメリカでサウンドに個性
DALI vs Polk Audio。スピーカーの“大人気”入門機、注目4モデルを比較テスト!
■ヨーロッパとアメリカでどう違う? ブックシェルフ型を比較
まさに “箱庭の美” 、DALI「OBERON1」を試聴
まずエントリーゾーンのブックシェルフ型から。DALIは、OBERONシリーズ最小の「OBERON1」。130mmウッド・ファイバーコーンと29mmソフトドーム、バスレフエンクロージャーのコンベンショナルな2ウェイ。価格は74,800円(税込/ペア)。耳障りな音、汚い音を出さない。背後に静寂を感じさせるふくらみのあるデリカシー豊かな音だ。
交響曲は弦楽に歪みが少なくなめらかできめこまやか、試聴室の空気を北方の森に変える。箱庭的だが密度感があって端正なバランス。ボーカルがしっかり前に出るのはDALIの特徴だ。声の質感を出す反面、凄味、あく、こぶしといった情念の表現が薄い。透明感があり色付きがなく金管等の音色が自然に出る一方、低域の支えが物足りず、浮遊感を感じさせる音場である。
“伝える” 能力が光る、Polk Audio「R100」を試聴
Polk AudioはReserve(リザーブ)シリーズのブックシェルフ下位「R100」を選んだ。高域ユニットに29mmピナクルリングラジエーター、低域ユニットにコンピュータ解析から生まれた5.25インチ(130mm)タービンコーン、背面に開口のXポートテクノロジーでバスレフポートとエンクロージャーの不要共振を排除するなど、小なりとも同社のテクノロジーを凝縮。価格は77,000円(税込/ペア)。しっかり音が前に出るし、コンパクトながら中低音の量感豊かだ。
CD交響曲はDALIに比べ弦楽合奏に粗さがあるが、音が前に出てオケのパートの分離が鮮明。音場が前面に形成され奥行きはやや不足。ボブ・ジェームス・トリオはバスドラが跫音のようにひたひた鳴る。ビッグバンドジャズは高解像度のリングトゥイーターがブラスを輝かせる。ドラムス打撃の音場への浸透力はサイズを疑わせる。特筆すべきはボーカルのディクション(口跡)の鮮明さ。英語、日本語歌詞が明瞭そのもの。血筋は争えない。
箱庭の美のOBERON1に対し、伝えるエキスパートのDNAがみなぎるR100と対照できよう。
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