PRヨーロッパとアメリカでサウンドに個性
DALI vs Polk Audio。スピーカーの“大人気”入門機、注目4モデルを比較テスト!
■フロア型をテスト。ビッグバンドやボーカルはどう変わる?
大きなスケールと華やかさ、DALI「OBERON5」を試聴
次にエントリーゾーンのフロアスタンディング型として、DALI「OBERON5」を聴いた。ドライバーは1と共通のまま、ウーファー2基のパラレル駆動としたトールボーイタイプ。価格は165,000円(税込/ペア)。交響曲は響きがみずみずしくスケール感豊か、ティンパニ打撃が深々と響く。弦楽が明るいのはDALIの特徴といえる。
ヨーロッパ産の中でDALIは、比較的音場が前方に形成されるが、エンクロージャーの余裕で音場に奥行きがありあくまで立体的。ビッグバンドジャズはOBERON1から進境しており、ボーカルがしっかり前に出て声がたくましく、歌い手の肉体が感じられる。ブラスにエネルギーが満ちドラムソロは音場一杯にロールしシンバルが散乱。ビッグバンドらしいスケールと華やかさがある。
また八代亜紀のブルースは、身長162cmのリアルな八代が目の前で歌っている(これまでは中空から聴こえた)。バンドの音色が増えゴージャス。きらびやかさがないと哀しみは生まれない。ボブ・ジェームス・トリオは透明感豊かな音色がベースの胴鳴りにふくらみと味わいを生み、ドラムソロはバスドラ、スネア、タムの音域と響きの違いが鮮明でライブを見つめている錯覚である。
端までセリフが浸透、Polk Audio「R500」を試聴
Polk Audioからは「R500」を試聴。ユニットは5.25インチタービンコーン2基をパラレル駆動している。価格は154,000円(税込/ペア)。ボーカルソースで本領発揮。八代亜紀のブルースはドラムスとベースの太くくっきりしたセンターラインが音場を貫く前方に息がかかるような近さで歌声が現れる。バンドの全楽器の音色が出揃い本来のバランスでアンサンブルを奏でる。音に色、熱、匂いがある。
リングラジエーターの広指向性が発揮され、ビッグバンドジャズはリスニングルームすみずみへ浸透力が豊か。さきの映画館主の言が思い出される。交響曲はホールトーンがみずみずしく金管に渋いくぐもった艶が乗る。アメリカ産らしく前方に音場が形成されるが、高さと大きさ、デプス(奥行き)に不足なく、平板な音場にならない新境地だ。
DALIもPolk Audioも、今や全世界をマーケットにしたインターナショナルなスピーカーである。それでも欧州とアメリカの確かなDNAが音色に感じられる。OBERON5とR500、調和のとれた美しい音色のDALIに対し、聴き手に力強く訴え雄渾な音楽を描き出すPolk Audio、と表現できよう。
今回はステレオでの試聴だったが、DALIもPolk Audioも特筆すべきは機種間でエンクロージャー形式を異にしても、使用ドライバーの口径等で共通化が計られていることだ。これにより、ホームシアターのメイン、サテライトとして完璧に音色の統一が取れている。しかもシアターの多数個使いにより、リーズナブルなプライスがさらなる威力を発揮する。ヨーロッパのDALIとアメリカのPolk Audio。ナンバーワン争いは当分続きそうだ。
(提供:ディーアンドエムホールディングス)