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ソニー「BRAVIA Theatre Quad(HT-A9M2)」徹底レビュー。 “本格”立体音響ホームシアターを“手軽に”実現!

公開日 2024/06/03 06:30 鴻池賢三
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入力できるサラウンドサウンドフォーマットは従前モデル同様、Dolby AtmosとDTS:Xにも対応するほか、ファントムスピーカー(仮想スピーカー)を生成して緻密な音場の創出を狙う「360 Spatial Sound Mapping」技術の搭載は同じだが、新モデルでは2chコンテンツを立体音響化するソニー独自のアップミキサー機能を高度化。YouTube、テレビ番組、配信音楽など、日常のソースもより臨場感を高めることができれば、大きなユーザーベネフィットとなり得るだろう。

コントロールボックスの背面端子部

他、スマホで専用アプリ「BRAVIA Connect」を利用しての音場最適化機能も新しく搭載。スマホのマイクを利用して視聴者の位置を特定し、その位置で最高のサラウンド効果が得られるよう最適化される。

また、部屋の音響特性を解析しての最適化にも新たに対応。実際の住環境では、部屋の大きさ、家具やカーテンによって、部屋の音響特性は異なり、ユーザー毎に大きく異なる可能性があることはご理解頂けるはず。アプリを活用したさらなるクオリティーアップを狙う機能として注目に値する。

無線伝送の安定性も強化。音途切れの心配なくコンテンツを楽しめる



ほか、目立たない部分だが、無線伝送の安定性も強化。アンテナを2本に増やし、また、電波干渉を検知すると空チャンネルに自動で移行するチャンネルホッピング機能も追加。

本製品はワイヤレス伝送のスピーカーが4つあり、無線伝送の安定性は地味ながらも肝と言える部分で、距離の長さ、混雑による混信、反射などの影響を少なく、従来よりも信頼性のアップが期待できる。音途切れの無い再生は、ストレス低減の観点からも重要だ。

壁掛けもできる設置性の良さも魅力。初期設定も簡単



では実際に製品に触れて行こう。スピーカーはコンパクトかつ薄型な直方体で、従来のスピーカーの概念を覆す佇まい。前モデルHT-A9もインパクトがあったが、円筒型でグリルにパンチングメタルを採用しているという点では、スピーカーの定石に収まるものだった。新モデルは奇を衒わずとも型破りの発想と言える。

スピーカーには最初から、フロント右、フロント左、リア右、リア左のマーキングがあり、その通りに配置する。設置後にユーザーがアサインするという発想もあるが、本機では一般的なユーザーを想定して分かり易さを重視したようだ。

デザイン変更によって壁掛け使用時もかなりスマートな印象に

フロントスピーカーはテレビ脇に置くスタイルが想定されるが、工夫を感じるのは、このスタンドが壁掛けブラケットとしても使えることだ。近年はテレビを壁掛け設置するケースも多いそうで、リアだけでなく、フロントも必要に応じてテレビ脇の壁などに固定できるのは面白い。スピーカーが薄型に仕立てられているのも、そうした状況を想定しての事だ。

また、ブラケットはスピーカーの下方付近、すなわち振動が比較的大きいウーファー付近で固定する構造で、スピーカーが揺り戻しを受けないよう考慮されているのも感心。スピーカーがべったりと壁面にくっつかず空間を確保することで、壁面に振動が伝わり難く、またその反射がスピーカーに戻って影響を及ぼす心配も少なく、実に巧い設計と言える。

初期設定で迷いがちなコントロールボックスの配線も、ユーザー目線での改善が見られる。アプリを用いると、アニメーションで確認でき、従来のイラストのみの取説と比べると格段に分かり易い。少なくとも、苦手なユーザーの心理的ハードルを下げてくれるだろう。

もちろん、本機のスピーカーはワイヤレスタイプで、ペアリング設定なども不要。導入の敷居は非常に低く、また部屋の模様替えや引っ越しの際なども重宝するだろう。

スマホアプリは初期設定や音場調整、サウンドモード切り替えなど様々な操作が可能

ほか、スマホと専用アプリ(BRAVIA Connect)を用いて音場補正も実行可能。部屋の音響特性に応じた最適化を行うこともできる。さらに視聴位置を検知してより高精度な音場の最適化も行える。これらもユーザーはアプリの指示に従っていくつかのステップをこなすだけなので簡単。AV機器やオーディオが苦手という方々も、家電的に使いこなせるはずだ。

HT-A9M2レビュー:「音離れが良くスピーカーの存在を感じさせない」



まず「素」の音質を確認するため、2chで視聴した。見た目が従来のスピーカーの佇まいと異なり、特に薄型であることが気になっていたが、実際に音が出ると良い方向に裏切られた。

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