コンパクトボディに様々な機能を搭載
磨きをかけた小型モデル、オーディオテクニカ「ATH-CKS30TW+」は重低音完全ワイヤレスの強力な選択肢だ
■エッジを立てず、音色や響きを際出させる「普遍的な心地よさ」
最後に実機で体験したサウンドの印象について。本機を選ぶユーザーの場合はノイキャンオンでの使用が基本となるであろうから、その状態でチェックした。
重低音イヤホンというとゴツゴツとした骨太さやジャキジャキッとした鋭さを打ち出した派手な音が想像されるかもしれないが、本機はそれとは別タイプの重低音サウンドを聴かせてくれる。ウォーム&ナチュラルな重低音サウンド。それがATH-CKS30TW+の持ち味だ。
例えば星街すいせいさん「ビビデバ」のドラムスは、ヒップホップ的なキレキレ感よりも、バンドサウンドの生ドラムのように素直な音色や響きの方を際立たせる感触で描き出される。
強引なパワフルさではなく、しなやかなドライブ感によってリズムが推進されるのが心地よい。ベースも、アタック感やクリアさを強調するバキッとした音色ではなく、アンサンブルへの馴染みのよい音色に。中間部でボーカルがローファイ処理されるところでのその汚し成分にもアナログ的な柔らかさがあり、全体を通してのボーカルもそういったニュアンスだ。おかげで声が耳から心へと自然と入ってくる。
ベースにおいては、この楽曲でも他の楽曲でも、大柄な音像を躍動させて迫力を出しつつ、その音像が崩れたり膨らみすぎたりはしないようにまとめられていることもポイント。ローミッドに適度な膨らみを持たせつつサブベースはあえて響かせすぎないことで、重低音トータルのボリュームが飽和しないように調整されている。
最新ポップスの重低音に対応しつつ普遍的な心地よさも与えてくれるサウンドだ。なので例えば1960年代から70年代のロックの生々しい迫力の表現も得意だったりと、重低音という括りを超えたオールマイティーさも備えている。試聴時はイコライザーオフを基本としたが、それも使いこなせば万能さはさらに広がるだろう。例えば重低音イヤホンとしてのポテンシャルをさらに引き出して堪能したいのであれば、超低域をさらにプッシュする<Bass Boost-Deep>プリセットが活躍してくれるはずだ。
結局のところATH-CKS30TW+の魅力としては、コンパクトさを筆頭とした使い勝手の良さとSOLID BASSサウンドだ。
コンパクトなデザインはそのままに、カラーバリエーション、使い勝手に磨きを掛け、音質へのこだわりも妥協はない。型番が示すよう、優秀なベースモデルにさらなる要素を「+」したATH-CKS30TW+。SOLID BASS完全ワイヤレスイヤホンを手に取るユーザーへ、新たな選択肢が追加されることを素直に喜びたい。
(提供:オーディオテクニカ)