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ゼンハイザー「HD620S」音質徹底レビュー!人気シリーズに登場した貴重な密閉型機の実力は?
さらに、柔らかい触感の人工皮革製イヤーパッドには、内側に通気のための小さな穴が配されており、頭頂部のヘッドバンドクッションと合わせて、快適な装着感も持ち合わせている。
着脱式ケーブルは片側(左側)出しの2.5mm 4極コネクターを採用。基本的に両側出し2pinタイプ・コネクターを採用するHD600シリーズとは異なっているが、使い勝手は悪くない。また、オプション(別売)として4.4mmバランスケーブルも用意されているので、音質面での更なるグレードアップも期待できる。
「HD620S」音質レビュー:「密閉型と開放型の良さを巧みに両立」
ゼンハイザーブランドの有線ヘッドホンとしていちばん気になるのは、その音質や音色傾向だろう。ということで、筆者の手元にある「HD600」や「HD650」といったシリーズ歴代モデルと比較しつつ、そのサウンドをチェックさせてもらった。
まずはHD620S付属の6.3mm標準プラグで試聴してみる。ヘッドホンアンプにはHIFIMANの「GoldenWave SERENADE」を使用した。
端的にいえば、密閉型ならではのメリットをのよさを活かしつつ、音色や歪み感などで開放型に近い素性のよさを巧みに両立した印象をもった。ボーカルやメイン楽器などセンター定位はかなり近く、ディテールはしっかり伝わってくるのだが、そこから左右や奥行き方向へ自然な音の広がりを持っていて、密閉型ならではのぎゅっと詰まった(エネルギー感は高いが長時間は聴き疲れしそうな)音場とは異なる自然さを覚える。
音色的にも聴きやすさが光る。低域はたっぷりとした量感をもち、ピークの作り方などに密閉型ならではの特徴が垣間見られるが、低域の解像度の低下は感じられず、中高域との繋がりも自然。密閉型ではバスレフ効果などを利用して低域の量感を稼ぐ必要があるため、低域と中高域で解像感が変わってしまう傾向があるのだが、HD620Sは全帯域で歪み感のない素直な音色なので、とても聴きやすい。
定位や位相、女性ヴォーカルの歌声の特徴などを冒頭30秒でチェックできるため重宝しているアニソン「五等分の気持ち」が見事な定位感で再生された。さらに、5人全員の声が得意不得意なく魅力を伝えてくれたことにも驚かされた。ゼンハイザーらしいパワー感やキレのよさはしっかり保ちつつ、質感のよいサウンドを聴かせてくれた。
別売の4.4mmバランスケーブルでさらにクオリティアップ
ケーブルを別売の4.4mmバランスケーブルに変更すると、さらにクオリティがアップ。低域はさらにフォーカス感が高まり、中高域もキレが向上。なによりも音場的なフォーカス感が高まってくれ、歌声がハッキリとして、各楽器の分離もよくなった。
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