PRリビングを良い音で満たす工夫・技術が結集
老舗デノンが打ち出す「新しいHi-Fiのカタチ」。HDMI搭載小型プリメイン「DENON HOME AMP」を聴く
■Hi-Fi的でありながら心地よく没入できるサウンド。テレビでも大活躍
試聴はスピーカー「DALI OPTICON 1 Mk2」を組み合わせて実施した。
まずは、本機の最大本分であろう、サブスクリプションサービスの利用。Amazon Musicで各種楽曲を再生した。Amazon Music Unlimitedに加入して楽曲が対応していれば、HD(CD相当・44.1kHz/16bit)やUltra HD(44.1kHz/24bit以上)クオリティのデータを受け取って再生することができる。
操作はスマホアプリ「HEOS」の使用が前提。前述の通り本体にはボタンが少なく、リモコンは付属しない。この点は選曲の利便性を考えると妥当な割り切りと言える。アプリ「HEOS」では、入力切替えや各種設定のほか、ネットラジオやサブスククリプションサービスにアクセスが可能。デフォルト状態でAmazon Musicが呼び出せるようになっていて、多くのユーザーは迷わずに利用できるだろう。情報を参照すると、「HD」や「Ultra HD」も識別できる。
Billy Joelの「Piano MAN」(FLAC/96kHz/24bit)は、S/Nの高さが実にHi-Fi的だ。背景が静かに整い、歌声は厚みを湛えつつ空間に縛られない伸びやかさが印象的。サビでのもう一段の伸びも天井を超えて広がるかのように開放的な様が美しい。
エネルギー面で余裕たっぷりの高域は楽器の音色も表情をより豊かに再現。同曲ではフォルティッシモの力強さ、モハーモニカの情緒感が共存する。ハイレゾの情報量を引き出しつつ、歪感を抑えて巧みに鳴らしこなし、心地よく没入できるサウンドは、まさにデノンが掲げる「Vivid & Spacious」を踏襲するもの。一日中部屋を音楽で満たす使い方は、サブスクリプションサービスとも好相性に感じる。
ハイレゾだけではなく、HDもCD以上と思えるほどのパフォーマンスで楽しめる。耳触りの良い滑らかさと心地よい厚みに加え、緻密でワイドな空間表現が秀逸。ポップスも違った一面を発見できるだろう。
「New Jeans」の「Supernatural」はミュートのキレが良く、コントラストの高さがノリの良さを際立たせる。特に低域の立ち上りの鋭さとパワー感が印象的で、そして制動の鋭さは上質なHi-Fiそのもの。粘り強く深みと豊かさを湛える低域は、コンパクトなデジタルアンプとしては驚くべきもので、技術の進歩や、愚直な電源強化の恩恵を感じずにはいられない。
HDMI接続を利用し、テレビからの音声も確認した。テレビが受信する放送番組だけでなく、YouTubeやNETFLIXといった配信コンテンツ、テレビに接続したレコーダーやゲーム機の音声も、本機を通して音を聞くことができるので、活躍の場面は多そうだ。
HDMI経由の音質はテレビ側の処理に大きく左右されるが、今回パナソニック「ビエラ」と組み合わせた音質は非常に優秀。放送番組でさえも高S/Nでダイナミックな表現は新鮮な体験。映画やドラマのセリフ、ニュース番組のアナウンスも明瞭で、小音量でも聞き取り易い。早朝から深夜まで「使える」サウンドは実用的でもある。
■電源ボタン無し、リビングを「良い音」で満たす工夫にあふれた新時代のオーディオ
ハンドリング時に電源ボタンも無いことに気づいて気になったが、実際に測定しても、スリープ(待機)状態で約12W、ディープスリープ時は0.2W程度で省電力設計されていることが分かった。ユーザーは特に操作しなくても、無信号状態の継続時間に応じて自動的にスリープ、そしてディープスリープに移行するので、電源操作が不要という訳である。ちなみに、電源のオン/オフをしたい場合は、本体のPLAY/PAUSEボタンを長押しすることで操作可能だ。
ネットワーク再生やHDMI連動時代に活きる便利機能で、快適性の向上と言える。外観や機能と共に、Hi-Fiプリメインアンプの新時代を実感した。
音質面ではデノンのHi-Fiサウンドを継承する本格派で、利便性を訴求して登場した新興メーカーとの格の違いを感じた。サブスクリプションサービスが充実し、ハイレゾ音源へアクセスするハードルが格段に低くなった今、そうした音源を気軽に高音質で楽しみたいなら、本機はまさにピッタリの存在と言える。
HDMI対応でテレビとの相性も良く、リビングを「良い音」で満たせば、日々の生活に華を添えてくれることだろう。「DENON HOME AMP」は、先進的なオーディオファンをさらに一歩前へと導いてくれる存在だ。
(協力:ディーアンドエムホールディングス)