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VGP 2024 Summer金賞/テレビシアター大賞の理由とは?

ピュアにこだわり続けたサウンドバーの集大成。デノン「DHT-S218」のスゴさをVGP審査員3名が語る

公開日 2024/08/13 06:45 鴻池賢三/岩井喬/野村ケンジ
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DSPによる調整こそ、音づくりの要

筆者:VGP審査員 野村ケンジ


オーディオ製品において、筐体設計やスピーカーユニットの厳選など物質的なファクターが重要なのは誰もが知ることですが、DSPによる調整が当たり前となった昨今、音質をどうやって纏め上げるかも重要なポイントです。それを強く実感させられたのがDHT-S218です。

サウンドバーの製品サイクルはHi-Fi機器よりも早く、1〜2年でモデルチェンジが行われるものも多いそう。そこでDHT-S218ではユニットなどは完成度が高い前機種から引き継ぎ、開発期間のすべてを使い4つあるサウンドモードを、サウンドマスターの山内慎一氏が徹底的に見直しました。

実際に前作と比較試聴することで両者の違いがとてもよくわかりました。まず、S200シリーズ最大の魅力といえる「Pure」モードは、前機種に対してより素直なリアル志向の表現になりました。そのため汎用性も高く、人の声も楽器の音もリアル。アクション映画を観ても充分な迫力を持ち合わせています。この「Pure」モードさえあれば充分なのでは、と思える質の高さでした。

夜の映画視聴など低音の量を気にするシチュエーションは多いですが、DHT-S218はリモコンでかんたんに調節できます

他の3モード、「Movie」「Night」「Music」もそれぞれ魅力あるサウンドでした。たとえば「Movie」は、『トップガン・マーヴェリック』などのアクション映画が迫力満点で楽しめます。低域は量感だけでなくフォーカス感も良好です。

いっぽう、「Music」モードは少し特徴的な音づくりです。キレがよく、メリハリがハッキリしています。アコースティック楽器の音色がいちだんとリアルに感じられるようになり、ボーカルも弦楽器も活き活きとした表現になります。オーケストラなどクラシック演奏にお薦めなモードです。

また「Night」モードは低域の量感を抑えますが、帯域バランスが崩れることもなく聴き心地がよいです。それぞれ、絶妙なチューニングを実現。まさにS200シリーズの完成形といえる製品です。

ここがポイント

サウンドモードなどの処理をバイパスする「Pureモード」


デノンのサウンドバーだけに搭載される「Pureモード」。これはDSP内で行われるサウンドモードの調整やバーチャル処理を通さず、音声信号をデジタルアンプまでダイレクトに繋ぐモードです。デジタル処理がかからないぶん、クセのないストレートなサウンドが楽しめるのが特長です。S200シリーズのデビュー作となるDHT-S216から搭載されているモードで、今回はこの音質モードの音もゼロからチューニングされています。

個性豊かな2つのモード



今回2つのモードも調整し直しています。「Movie」はやや低域をプッシュしたバランスになります。暗騒音をより感じられるようになり映画らしく楽しめます。「Music」はドンシャリ感が強まる印象で、メリハリが強調されるので弦楽器などがより艶っぽく聴こえます。

バーチャルで立体的になる


スピーカー自体は2.2ch構成ですが、バーチャルサラウンド技術を使うことでDolby Atmosなどのイマーシブサウンドも高さ方向まで広がり、立体的なサラウンドを楽しむことができます。ステレオを含むどんなコンテンツでも立体化されて臨場感豊かに楽しめます。



<Specification>
●スピーカー構成:2.2ch ●ユニット25mmトゥイーター×2、90×45mmミッドレンジ×2、75mmサブウーファー×2 ●接続端子:HDMI入力×1、HDMI出力(eARC対応)×1、光デジタル音声入力×1、アナログ音声(ステレオミニ)入力×1、サブウーファー出力×1 ほか ●外形寸法:890W×67H×120Dmm ●質量:3.6kg
(協力:ディーアンドエムホールディングス)

本記事は『VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年夏版』からの転載です。

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