腹の底まで響く低音を実現
「AirPods 4」のノイキャンや音質、装着感を現地で試した!「想像を超える」消音効果
アップルが本社のApple Parkで開催した新製品発表会で、AirPodsシリーズの“原点”とも呼べるオープン型のAirPodsを刷新した。「AirPods 4」と名付けられたこの新商品は、ANC搭載の有無で2つのモデルが用意されている。この注目の2モデルのファーストインプレッションをお届けするとともに、AirPods Maxについても、カラバリ変更のほかにわかった情報をレポートしよう。
AirPods 4はオープン型ハウジングを採用するシリーズのスタンダードモデル。ANCを搭載する29,800円(税込)の上位モデルと、ANCを省いた21,800円(税込)の2種類を展開する。
AirPods 4の発売に伴って、2016年12月に発売した初代AirPodsの原型を守り続けた「AirPods(第2世代)」と、第3世代のAirPodsは販売を終了する。シリーズを構成するのはANCの有無が異なるAirPods 4、AirPods Pro 2、AirPods Maxという内訳になった。
イベント会場のハンズオンコーナーで、ANCを搭載したAirPods 4を試聴した。筆者はオープン型でANCを搭載したワイヤレスイヤホンも数多く試してきたが、AirPods 4は消音効果が高く、なおかつ鼓膜を突くような不自然なリスニング感がない。消音効果は筆者が最初に想像していたレベルを越えてきた。
あえて例えるならば、消音効果が大きく強化されたAirPods Pro 2の前、つまり初代のAirPods Proぐらいの効果が得られる。
にぎやかなイベント会場を満たす喧噪の中、ANCをオンにすると静けさのベールがすっと降りる。そして音楽を再生すると、肉厚な低音がズシンと響いて、一気に音楽の世界に引き込まれた。シリコン製のイヤーチップを装着せずに使えることをメリットと感じる方であれば、オープン型でこれほどの消音効果が得られるワイヤレスイヤホンは他にないかもしれない。
装着感についても、第3世代AirPodsより優れていると、筆者は耳に着けてみて感じた。第3世代のAirPodsはイヤホンのハウジング部分が少し大きめなので、私の周りでも「耳に収まりにくい」という声が挙がっていた。加えてイヤーチップによる耳栓効果も慣れないという方などで、AirPods(第2世代)を使い続けている方は少なくないはずだ。
AirPods 4はアップルが長年に渡り集めて解析してきた、数千を超える耳型のデータを元にイヤホンのデザインを起こした。イヤーチップを装着していないのに、耳にすっと入って、ピタッと固定される。練り上げられたフィット感の高さに驚く。スリムなスティック部の形状と合わせて、AirPods(第2世代)の後継機を渇望していた方に最適な選択になると思う。
Apple Parkのイベント会場で、短時間ながらAirPods 4の音質を聴いた。Apple Musicで配信されているTOTOの『Africa』を聴くと、冒頭のドラム、パーカッション、ベースの低音が鋭く腹の底に響く。
高音の抜け味は前世代のモデルも良かったが、AirPods 4はボーカルやエレキのメロディなど中音域が太く、鮮やかさを増している。シンセサイザーのハモりも美しい。楽曲のサビのところでボーカルとバンドのサウンドが重なり合う演奏は、ひとつひとつ楽器の音がほぐれ、立体的に浮かび上がる旋律を追いかけながら聴ける。空間オーディオの楽曲を再生すると、AirPods Pro 2で聴くサウンドより音場の見晴らしが良く、細かい音の動きも耳で追える。
サウンドチューニングは従来のAirPodsシリーズと同様に、ニュートラルであることを重んじている。フラットでクセがない。モバイル端末と組み合わせ、ハンズフリー通話に使用することもメイン用途のひとつとしているアップルのイヤホンらしいサウンドだ。
充電ケースはAirPodsシリーズの過去モデルの中で最小サイズを実現した。ケース正面のLEDはフタを開けた時に点灯し、初めてその位置がわかるように隠して配置した。
ANC機能を持たないAirPods 4との機能面の差分は、充電ケースに搭載するスピーカーの有無だ。ANC機能を持たないAirPods 4は「探す」アプリによる遠隔操作に対応していないため、スピーカーが省かれている。またケースはワイヤレス充電に対応していない。
ケースはペアリングボタンが省かれているが、これは充電ケースの前面パネルをダブルタップするとペアリングモードに入る仕様とし、ケースのデザインをシンプルにまとめることに注力した格好だ。
イヤホンはスティック部に感圧センサー式の操作部を搭載している。対応するのはクリック操作だけで、AirPods Pro 2のように上下スワイプによる音量のアップダウンはできない。
多彩な機能を惜しみなく盛り込んだAirPods Proは、シリーズのワイヤレスイヤホンとして一線を画す存在だ。AirPods Proには近くソフトウェアアップデートにより、Siriと連携し、ヘッドジェスチャー操作でハンズフリー通話の応答・拒否などができるリモコン操作機能も加わる。
また秋以降にはソフトウェアアップデートにより、ユーザーの耳のきこえ方をチェックし、難聴の傾向が疑われる場合は通知を知らせる機能などが追加される。AirPods Proが内蔵するマイクで周囲の音を集め、音の聞こえに難がある方々がイヤホンで増幅した音を聞けるヒアリング補助機能も加わる。
筆者もイベント会場でAirPods Proによるヒアリング補助機能を試した。iOS側のAirPods Proの設定画面からアンビエントノイズを下げたり、周囲で話す人の声に狙いを定めて会話音声をブーストする機能が微調整できる。
同様の集音機能を搭載したオーディオブランドのワイヤレスイヤホンに音質は肩を並べるところに近く、シンプルに扱えるソフトウェアの練度だけを比べれば、AirPods Proの方が勝っているとも感じた。広く普及しているAirPods Proであれば、耳の聞こえに少し自信のない方も気軽に試せるだろう。
アップルは独自にソフトウェアによって実現するユーザーのヒアリング補助機能は、AirPods Proを医療機器にすることが狙いではない。言い方を変えるなら、このヒアリング補助機能が加わることでAirPods Proが補聴器になるわけではない。
ヒアリングチェックもユーザーが自分自身で行うための機能であり、医師や耳の健康に関わる専門家がユーザーを直接的に支援する仕組みもない。
だがこの機能が広く認知されれば、耳の聞こえ方に自信がない方々が世代や性別を超えて、AirPods Proを身に着けながら安心して豊かな生活を送れるようになる。提供後の反響にも注目したい。
最後にAirPods Maxの有線オーディオリスニングについて確認しておこう。
カラバリが変更されたAirPods Maxは、サウンドチューニングや基本的なスペックを、同社が2020年12月に発売した最初のAirPods Maxから変更していない。ただしデジタル端子はLightningからUSB-Cに変更された。今回発表したAirPods Maxに「USB-C充電」機能が載ると説明しているが、USB-CケーブルでMacやiPhoneにつないでオーディオリスニングができるかについては何も触れられていない。
最初のAirPods Maxは、別売のLightning-3.5mmオーディオケーブルを接続すると、3.5mmオーディオジャックを搭載したプレーヤー機器との有線リスニングが行える。
アップルは新しいAirPods Maxについても、将来提供するソフトウェアアップデートにより、同様の使い方を実現することを考えているようだ。その際にロスレス再生もできるようになるのかについては、まだ情報が得られなかった。新製品の発売後も引き続き調査を進めたいと思う。
AirPods 4はオープン型ハウジングを採用するシリーズのスタンダードモデル。ANCを搭載する29,800円(税込)の上位モデルと、ANCを省いた21,800円(税込)の2種類を展開する。
AirPods 4の発売に伴って、2016年12月に発売した初代AirPodsの原型を守り続けた「AirPods(第2世代)」と、第3世代のAirPodsは販売を終了する。シリーズを構成するのはANCの有無が異なるAirPods 4、AirPods Pro 2、AirPods Maxという内訳になった。
AirPods 4のノイキャン効果は「想像を超える」レベル
イベント会場のハンズオンコーナーで、ANCを搭載したAirPods 4を試聴した。筆者はオープン型でANCを搭載したワイヤレスイヤホンも数多く試してきたが、AirPods 4は消音効果が高く、なおかつ鼓膜を突くような不自然なリスニング感がない。消音効果は筆者が最初に想像していたレベルを越えてきた。
あえて例えるならば、消音効果が大きく強化されたAirPods Pro 2の前、つまり初代のAirPods Proぐらいの効果が得られる。
にぎやかなイベント会場を満たす喧噪の中、ANCをオンにすると静けさのベールがすっと降りる。そして音楽を再生すると、肉厚な低音がズシンと響いて、一気に音楽の世界に引き込まれた。シリコン製のイヤーチップを装着せずに使えることをメリットと感じる方であれば、オープン型でこれほどの消音効果が得られるワイヤレスイヤホンは他にないかもしれない。
AirPods 4は装着感も第3世代モデルより上。スッと入ってピタッと固定
装着感についても、第3世代AirPodsより優れていると、筆者は耳に着けてみて感じた。第3世代のAirPodsはイヤホンのハウジング部分が少し大きめなので、私の周りでも「耳に収まりにくい」という声が挙がっていた。加えてイヤーチップによる耳栓効果も慣れないという方などで、AirPods(第2世代)を使い続けている方は少なくないはずだ。
AirPods 4はアップルが長年に渡り集めて解析してきた、数千を超える耳型のデータを元にイヤホンのデザインを起こした。イヤーチップを装着していないのに、耳にすっと入って、ピタッと固定される。練り上げられたフィット感の高さに驚く。スリムなスティック部の形状と合わせて、AirPods(第2世代)の後継機を渇望していた方に最適な選択になると思う。
オープン型ながら腹の底まで響く低音。全体的にクセのないサウンド
Apple Parkのイベント会場で、短時間ながらAirPods 4の音質を聴いた。Apple Musicで配信されているTOTOの『Africa』を聴くと、冒頭のドラム、パーカッション、ベースの低音が鋭く腹の底に響く。
高音の抜け味は前世代のモデルも良かったが、AirPods 4はボーカルやエレキのメロディなど中音域が太く、鮮やかさを増している。シンセサイザーのハモりも美しい。楽曲のサビのところでボーカルとバンドのサウンドが重なり合う演奏は、ひとつひとつ楽器の音がほぐれ、立体的に浮かび上がる旋律を追いかけながら聴ける。空間オーディオの楽曲を再生すると、AirPods Pro 2で聴くサウンドより音場の見晴らしが良く、細かい音の動きも耳で追える。
サウンドチューニングは従来のAirPodsシリーズと同様に、ニュートラルであることを重んじている。フラットでクセがない。モバイル端末と組み合わせ、ハンズフリー通話に使用することもメイン用途のひとつとしているアップルのイヤホンらしいサウンドだ。
ケースは小型化。イヤホンの軸部分で音量アップダウンはできない
充電ケースはAirPodsシリーズの過去モデルの中で最小サイズを実現した。ケース正面のLEDはフタを開けた時に点灯し、初めてその位置がわかるように隠して配置した。
ANC機能を持たないAirPods 4との機能面の差分は、充電ケースに搭載するスピーカーの有無だ。ANC機能を持たないAirPods 4は「探す」アプリによる遠隔操作に対応していないため、スピーカーが省かれている。またケースはワイヤレス充電に対応していない。
ケースはペアリングボタンが省かれているが、これは充電ケースの前面パネルをダブルタップするとペアリングモードに入る仕様とし、ケースのデザインをシンプルにまとめることに注力した格好だ。
イヤホンはスティック部に感圧センサー式の操作部を搭載している。対応するのはクリック操作だけで、AirPods Pro 2のように上下スワイプによる音量のアップダウンはできない。
AirPods Proの聴覚保護機能・ヒアリング補助機能も試した
多彩な機能を惜しみなく盛り込んだAirPods Proは、シリーズのワイヤレスイヤホンとして一線を画す存在だ。AirPods Proには近くソフトウェアアップデートにより、Siriと連携し、ヘッドジェスチャー操作でハンズフリー通話の応答・拒否などができるリモコン操作機能も加わる。
また秋以降にはソフトウェアアップデートにより、ユーザーの耳のきこえ方をチェックし、難聴の傾向が疑われる場合は通知を知らせる機能などが追加される。AirPods Proが内蔵するマイクで周囲の音を集め、音の聞こえに難がある方々がイヤホンで増幅した音を聞けるヒアリング補助機能も加わる。
筆者もイベント会場でAirPods Proによるヒアリング補助機能を試した。iOS側のAirPods Proの設定画面からアンビエントノイズを下げたり、周囲で話す人の声に狙いを定めて会話音声をブーストする機能が微調整できる。
同様の集音機能を搭載したオーディオブランドのワイヤレスイヤホンに音質は肩を並べるところに近く、シンプルに扱えるソフトウェアの練度だけを比べれば、AirPods Proの方が勝っているとも感じた。広く普及しているAirPods Proであれば、耳の聞こえに少し自信のない方も気軽に試せるだろう。
アップルは独自にソフトウェアによって実現するユーザーのヒアリング補助機能は、AirPods Proを医療機器にすることが狙いではない。言い方を変えるなら、このヒアリング補助機能が加わることでAirPods Proが補聴器になるわけではない。
ヒアリングチェックもユーザーが自分自身で行うための機能であり、医師や耳の健康に関わる専門家がユーザーを直接的に支援する仕組みもない。
だがこの機能が広く認知されれば、耳の聞こえ方に自信がない方々が世代や性別を超えて、AirPods Proを身に着けながら安心して豊かな生活を送れるようになる。提供後の反響にも注目したい。
AirPods MaxはUSB-C接続で有線リスニングが可能になるかも?
最後にAirPods Maxの有線オーディオリスニングについて確認しておこう。
カラバリが変更されたAirPods Maxは、サウンドチューニングや基本的なスペックを、同社が2020年12月に発売した最初のAirPods Maxから変更していない。ただしデジタル端子はLightningからUSB-Cに変更された。今回発表したAirPods Maxに「USB-C充電」機能が載ると説明しているが、USB-CケーブルでMacやiPhoneにつないでオーディオリスニングができるかについては何も触れられていない。
最初のAirPods Maxは、別売のLightning-3.5mmオーディオケーブルを接続すると、3.5mmオーディオジャックを搭載したプレーヤー機器との有線リスニングが行える。
アップルは新しいAirPods Maxについても、将来提供するソフトウェアアップデートにより、同様の使い方を実現することを考えているようだ。その際にロスレス再生もできるようになるのかについては、まだ情報が得られなかった。新製品の発売後も引き続き調査を進めたいと思う。