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PRベース機「WA-V1」との違いをチェック!

“ピッドホン” シリーズ史上最高のトータルバランス!AVIOT「WA-V1-PNK」レビュー

公開日 2024/09/13 06:30 高橋 敦
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■試聴インプレッション。ベース機「WA-V1」とのサウンドの違いは?



さて、それではWA-V1-PNKの気になるサウンドの印象について紹介していこう。WA-V1-PNKの音作りにおいて中野氏は、「これまでのピッドホン以上にドラムの鳴り方を徹底追及した」とのこと。まずバスドラムの音にこだわり、それを土台にスネアやシンバルの帯域の音を調整。そうすることでドラムだけではなくすべての楽器やボーカル、楽曲全体の魅力を表現できるサウンドを実現したという。

たしかにドラムは、繊細なタッチから爆音の迫力までのダイナミクス、多数のパーツによる音色や帯域の幅広さを特徴とする楽器。ならば再生においても「ドラムのかっこよさを表現できるヘッドホンは楽曲全体の表現力にも優れる」は道理かもしれない。

それを踏まえて、まず最初にドラムのかっこいい曲から聴いてみようと、軽々しくX JAPAN「DAHLIA」を聴き始める否や、冒頭イントロでぶっ飛ばされた。ツーバスの迫力がすごい!単純なドコドコドコではなく、止め跳ねを効かせたツーバスが鍵となるこの曲の、そのバスドラの太さと圧を絶妙にブーストする。

バスドラの太さと圧を絶妙にブーストする

バスドラの例の穴から放出される空気砲的な「ドフッ!」という衝撃をも再現しながら、過剰なブーストで音を飽和させて止め跳ねのキレを損なってしまうこともない。むしろ1打1打の粒立ちのクッキリ感も高まっている。ラジカセから「DAHLIA」を部屋に響かせた、あの頃の原体験を思い出させてくれる音。それをヘッドホンから聴けるとは。

そのようにバスドラを押し出しつつ、ドラム全体のバランスが崩れることもない。スネアやシンバルのハードヒットの炸裂感は当然、ツーバスと並びこの曲のドラムプレイの主役である、ハイハットシンバルの強弱や開閉、打点などの繊細なコントロールも見事に届けてくれる。ダイナミクスや音色の幅広さへの対応力もたしかに見事だ。そしてギターにおいてはエッジ感がザクッと美味しく、ベースにおいてはアタック感がゴリッと気持ちよくと、楽曲のどこに耳を向けてもその聴きどころが引き出されている。

楽曲を「整える」のが上手いベース機、楽曲を「際立たせる」のが上手いPNK機というサウンド傾向

同曲をベース機のWA-V1でも聴いてみると、こちらは楽曲全体をよりフラットに捉えて、ドラムの鳴り方も力みなく素直な印象だ。比べてPNKは、楽曲や楽器のダイナミクスや音色の凹凸をあえて少し強め、それらをより明快にしてリスナーに届けてくれる。楽曲を「整える」のが上手いベース機、楽曲を「際立たせる」のが上手いPNK機といったところか。

星街すいせいさん「ビビデバ」にてボーカル表現を確認すると、その印象はさらに深まった。こちらでも、星街さんの声の魅力を色付けなく届けるナチュラル志向のWA-V1に対して、PNKは声の鋭さや歪みを使った荒っぽい歌唱表現など、「ここ!」という聴かせどころを的確にプッシュ。記録された音をそのまま再生するにとどまらず、楽曲や演奏の表現意図を汲み取り、それをリスナーに伝える。このピッドホンに施されたチューニングの醍醐味はそこと言えるだろう。

◇◇◇



ワイヤレスヘッドホンの新基準となる機能性に、さらに踏み込んだ積極的なチューニング、それでいて価格はミドルレンジの枠内という驚き。ピッドホンシリーズの中でも「トータルバランス最高なモデル」は、間違いなくこの「WA-V1-PNK」だ。より多くのヘッドホンファン、音楽ファンを満足させてくれるモデルに仕上がっているといえるだろう。

(提供 : プレシードジャパン)

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