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生成AI時代のワイヤレスイヤホン

Google「Pixel Buds Pro 2」実機レビュー!どこが変わった? ライバルAirPodsとの違いは?

公開日 2024/10/08 06:30 山本 敦
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グーグルがPixelシリーズのワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds Pro 2」を発売した。グーグルによる生成AIサービス「Gemini」のスムーズな利用も可能にする最新モデルは、Google Pixelシリーズのスマホと唯一無二の好相性なコンパニオンデバイスなのか。実機で検証した。

グーグルの最新ワイヤレスイヤホン「Google Pixel Buds Pro 2」のGemini連携機能などを試した

■ノイキャンと音質に進化の手応えあり



グーグルは2022年の夏にアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能を搭載する初代のフラグシップモデル「Google Pixel Buds Pro」を発売した。あれから約2年を経て登場する第2世代の新製品は、イヤホン本体のデザインを大きく変えて装着感を高めている。

左側が初代の「Google Pixel Buds Pro」。右側の新モデルと並べて比べると、本体のサイズが大きく変わったことがわかる

初代のPixel Buds ProもANCの効果は高かったが、新しいPixel Buds Pro 2はグーグルが独自に設計する「Tensor A1」を積み、これをANC専用のチップとして機能させる。イヤホンに内蔵するマイクと連携しながら、コンテンツのサウンドをより引き立たせる自然な消音効果が特徴だ。

初代のPixel Buds Proは比較するとイヤホン本体のサイズが大きかったため、耳に装着すると若干の圧迫感があった。Pixel Buds Pro 2はイヤホンがコンパクトになり、さらにフィン形状の「固定用アーチ」で耳穴にフタをするような装着スタイルとした。

耳に適したサイズのイヤーピースを併用すると、かなり高いパッシブな遮音効果も得られる。本機を試用する際にはイヤーピースを耳に挿入後、本体を軽く回して固定用アーチによる装着感を調整する所作を忘れず行いたい。

Google Pixel Buds Pro 2に新設された「固定用アーチ」。イヤーピースを挿入してから本体を回転させると、固定用アーチによる安定したフィット感が得られる

Pixel Buds Pro 2はコンパクトな本体に11ミリ口径の振動板を採用するダイナミック型ドライバーを搭載する。初代のモデルに比べるとサウンドの起伏が豊かさを増して、より音楽的なサウンドになった。特に中低音域の立体感が豊かなので、音楽だけでなく映画も含めてコンテンツのリアルなサウンドに深くのめり込める。

■AndroidユーザーはPixel Budsを選ぶ意味がある



Pixel Buds Pro 2は、ANC機能を搭載するイヤホンの基本的な評価軸である「消音効果」と「音質」が前世代のモデルからともに向上した。その魅力を、今度はライバルと比較してさらに浮き彫りにしてみようと思う。アップルのAirPodsシリーズだ。

AirPodsシリーズは、同じアップルが手がけるiPhoneと組み合わせた時に最も多くの機能が使えるように設計されたコンパニオンデバイスだ。

AirPodsシリーズはiPhoneとの連携機能が驚くほどに充実するコンパニオンデバイスだ

この組み合わせに限定した独自の機能を例を挙げるならば「パーソナライズされた空間オーディオ」「ダイナミックヘッドトラッキング」などの機能に、簡単・快速な機器どうしのペアリング、そして今後AirPods Pro 2に追加が予定されている、臨床レベルで処方箋不要のヒアリング補助機能などがある。

Pixelシリーズの端末と組み合わせた時にだけ開放される、Pixel Buds Pro 2の機能もあるのだろうか。その前に、Pixel Buds Pro 2の技術仕様を確認しておこう。まず本機は、Bluetooth 4.0以降に対応するAndroid、iOSデバイスやその他のPCやポータブルオーディオ機器で使える。

ただし、Pixel Buds Pro 2の「すべての機能を利用するための要件」は別にある。最も大事な点がAndroid 6.0以降を搭載するデバイスであること。例えばワンタッチペアリングの機能であるGoogle Fast Pair、Pixel Budsアプリを介したイヤホンの詳細設定へのアクセスがiPhoneユーザーにはまだ開放されていない。

Android 6.0以降を搭載するスマホであれば、例えばユーザーの聴覚の健康を守ることを目的とした音量チェッカーの「ヒアリング ウェルネス」機能が使える。スマホなどAndroid搭載のモバイル端末にアプリをインストールできれば「Google Gemini」もイヤホンから音声で起動・操作ができる。

再生中のオーディオの音量をリアルタイムにチェックできる「ヒアリングウェルネス」の中の「聴覚の健康維持」機能

Geminiについては、おそらく端末やAndroid OSの新旧によって使い勝手が変わる。あいにく筆者は今回、Pixel 9世代とPixel 8世代の端末でしかGeminiを試していないが、Pixel Buds Pro 2による音声操作はとてもスムーズ。音声入力の感度も良好だった。

iPhoneでもGoogleアプリを介してGeminiが利用できる。ただ、これをワイヤレスイヤホンのようなコンパニオンデバイスを介して使うことができない。当面の間は、Geminiの音声操作を体験したいのであれば「Androidスマホを選ぶべき」だと言える。

最初は英語のみになるが「Gemini Live」が使えるのもGoogle Pixelシリーズの魅力。Pixel Buds Pro 2を装着してスムーズな音声コミュニケーションを楽しむこともできた

■Google Pixelどうしにしかできない機能



Pixel Buds Pro 2とGoogle Pixelシリーズの組み合わせだけで使える機能は、大きく2つありそうだ。ひとつが、Bluetooth経由によるハンズフリー音声通話の際に、バックグラウンドノイズを低減する「クリア音声通話」。こちらはPixel 7以上のモデルが対象だ。

もうひとつが空間オーディオで、Aシリーズ以外のPixel 6/Pixel 6 Pro以上のモデルから楽しめる。ただし、空間オーディオはNetflixやYouTube、Disney+などに公開されている一部のコンテンツのみが対応する限定的な機能だ。iPhoneの場合はAirPodsをペアリングした時に、ステレオ音源をイマーシブに再生する「ステレオを空間化」する機能が使えるので、より空間オーディオ体験が身近に感じられる強みもある。

クリア音声通話、空間オーディオとヘッドトラッキングはPixelシリーズのスマホと連携する時だけに使える機能。イコライザーが充実しているところはAirPodsシリーズとの違いになる

グーグルの新しいPixel Buds Pro 2は、Pixelシリーズのスマホに密着した「唯一無二のコンパニオンデバイス」であるかと聞かれたら、筆者は「今はそこまで深い関係ではない」と答える。なぜならば、良くも悪くもPixel Buds Pro 2は、グーグル以外のメーカーも手がける多くのAndroidデバイスと親和性の高いワイヤレスイヤホンだからだ。

走り出したばかりの「Gemini対応」についても、グーグルは今後もライバルによる生成AIサービスとの競争を勝ち抜くための武器として、Androidデバイスによる利用を優先するはず。それならば、グーグルはGoogle Pixelシリーズのデバイスどうしを組み合わせれば、Geminiが「さらにもっと便利」になる環境も用意すべきだ。

例えば今、Geminiに音声で質問をすると、回答の内容によってはとても長い答えが返ってくる。パソコンやスマホの画面でGeminiの長い回答を読むことにさほどの苦労はない。ところが、体験してみるとすぐにわかるのだが、イヤホンを介してGeminiによる長い回答を聞くと、内容がなかなか頭に入ってこないのだ。必然、ワイヤレスイヤホンの「Gemini対応」がそれほど便利に感じられなくなる。

Geminiの長い回答はテキストで読むと要所をピックアップしてすぐに得たい答えにたどり着けるが、これを音声で聴き続けるとまどろっこしく感じられてしまう。Geminiに「音声専用UI」をつくりこむことが肝要だと思う

例えばGoogle Pixel Budsシリーズどうしであれば回答を「要約」してから読み上げてくれたり、あるいはPixel Watchの画面にテキストの回答を表示することができれば、Google Pixelシリーズのスマホの価値も伴って向上しそうだ。

ANCと音質が向上したPixel Buds Pro 2は、オーディオリスニング用のイヤホンとしてとても完成度の高い製品だ

新しいGoogle Pixel Buds Pro 2を試した筆者の体験から感想を総括する。このイヤホンは音楽や映画のサウンドなどを楽しむためのポータブルオーディオ機器としては高い完成度に到達していた。安価な商品ではないが、クオリティと多彩な機能が搭載されていることを考えればコストパフォーマンスは悪くないと思う。

今後もグーグルにはアップデートなどによりPixelシリーズどうしの連携をさらに深めてほしい。グーグルが “真の生成AI対応ワイヤレスイヤホン” を作れるのか楽しみだ。

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