中国イヤホンブランドの重鎮、DUNU。製品のこだわりと高品質の源泉を探る
DUNUの名が日本で広く知られるきっかけとなったのは、2基のBA型ドライバーと1基のダイナミック型ドライバーを組み合わせたハイブリッド型イヤホン「DN-1000」(2013年)と、その上級機「DN-2000」(2014年)であろう。ハイブリッド構成のイヤホンがまだハイエンドモデルしかなかった時代、アジアのメーカーとしても初の試みであったことに加え、2万円台という破格のプライスはとても衝撃的であった。


その後コスパの良い低価格モデルだけでなく、独自技術を用いた上級モデルも次々に投入する。2021年に発売された「ZEN(禅)」は、1.8テスラという超高磁束密度を実現した完全オリジナル技術である「ECLIPSEドライバー」を搭載。DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)振動板の剛性制御技術と相まって、精緻で完成度の高いサウンドを実現。高域の繊細さ、低域の制動性を両立し、材料科学と音響工学の融合が生み出した傑作として人気を博した。そして現在、20万円弱というフラグシップモデル「GLACIER」も登場し、ハイエンド市場においても存在感が高まっている。

多彩な製品ラインナップは、3つのラインで分かりやすく展開
幅広い製品群を有するDUNUであるが、それらはサウンドやデザインなどのスタイルに応じてグループ化され、大きく分けて3つのラインに整理されている。
まずDUNUの伝統的なノウハウが詰まったベーシックな製品で構成する「Delicate」ライン。次いでカスタムIEMをイメージしたボディとBA型ドライバーを基本とした、ニュートラルでモニター的な方向性の「Studio」ライン。最後は、これまでにない最先端技術や最新素材を用い、ブランドの個性と美学の追求に挑戦する「Hyper」ラインである。
「Delicate」ラインは、直近のヒット作「DaVinci」や、「KIMA2」「TITAN S2」「HAYABUSA ULTRA」などのモデルが該当。Delicateは “精巧で素晴らしい” を意味し、音質と価格のバランスが取れた、精巧な仕上がりの製品を様々な価格帯で取り揃えるDUNUの主力シリーズだ。多種多様な外観とサウンド性を用意することで、幅広いユーザー層のニーズに応える製品群であるという。

「Studio」ラインは「SA6MK2」や「SA6 EST」が該当し、プロフェッショナルな音響性能と独創的な外観を融合させた、マルチドライバー構成の製品群だ。
そして最後の「Hyper」ラインは、フラグシップイヤホンGLACIERをはじめ、「ZEN PRO」「DK3001BD」といったモデルが該当する。Hyperには “高揚と情熱” の意味を込めており、DUNUのサウンドおよびデザイン哲学を、最先端の技術と優れた素材によって反映。美学に富んだデザインコンセプトを取り入れることで “音と形の融合” を実現する、ブランドの魂とでもいうべきラインナップなのだそうだ。

今回、現在のDUNU製品を代表するモデルとして、Delicateラインから「KIMA2」、Hyperラインから「DK3001BD」を取り上げてみたい。
