◆最先端の技術をあますところなく投入
プラズマディスプレイで重要なのは、プラズマパネルそのものの基本性能、そして、その性能を100%活かすための信号処理回路、すなわちビデオプロセッサーである。富士通ゼネラルの最新のプラズマビジョンWは、その両方に最先端の技術を投入した力作で、高レベルの画質が得られる優秀モデルである。
富士通ゼネラルがこの製品で採用するプラズマパネルは、独自のALISと呼ばれる駆動方式を採用しており、1024×1024画素の高解像度が得られる(解像度とはディテールを表現する能力)。同社のビデオプロセッサーはAVMと呼ばれるもので、入力部からプラズマパネルにあわせた信号処理までの全てをデジタルで行うLSIだ。P42HHS10に搭載されているのは、ビデオデコーダーの特性を改善し、DVI-D接続に対応させた「AVM Plus(アドバンスド・ビデオ・ムーブメント・プラス)」である。DVI-Dは、すでに北米で実施している映像のデジタル配信に対応した接続方法であり、DVI-D端子付きDVDプレーヤーとデジタル接続ができるなど、将来を見据えた機能である。
2002年、富士通ゼネラルのプラズマディスプレイ開発の技術的成果に対して、テレビ技術の賞として最も権威のあるエミー賞(放送開発部門)が与えられたことは、記憶に新しいが、その栄誉に恥じぬ先進の内容を持つのが本機なのである。
◆映画画質を意識したその映像世界
本機が搭載する「プロセッティング」機能 |
「ルミナンス」調整機能 |
ファインモードの明るさを13段階で細かく設定できる |
「黒レベル」調整機能 |
映画ソースに多い「暗いシーン」の輝度だけを31段階で設定可能 |
「色温度」調整機能 |
色温度を500k°きざみで15段階に設定できる |
「映像メモリ」機能 |
設定した調整値を8パターンまで記憶できる |
本機が再生する映像は、緻密で色乗りがいいのが特徴だ。細かい部分まで色がしっかりと付き、暗い部分でも色乗りがよく、非常に明るい部分でも色が抜けることがない。いわゆる偽輪郭が目に付かず、輪郭の表現が素直にできることも好ましい性格だ。本機には5つの画質モードを持っているが、その中でお薦めするのが「ファイン」と「エレガンス」。「ファイン」は暗部の再現能力が高いフィルムライクなモードで、取扱説明書の記述を越えた微細な調整〜ルミナンス、黒レベル、色温度(RGB別)までできるマニア向けのモードだ。色の濃さや階調、色あいなどを非常に細かく調整できるので、是非挑戦してほしい。「エレガンス」は、ごく自然な階調(明暗差の度合い)や色彩表現が得られるモードで、放送やビデオ収録のソフトの再生に向いている。
DVDで再生した映画、『シェルタリング・スカイ』の映像は、撮影時に、意図的にカラーフィルターを使用した効果が、はっきりとつかめた。作品全体を一貫する赤と青の対比が、自然にくっきりと表出されたのが印象的だった。砂漠のフルショットでの距離感、近景での立体感がくっきりと出ている。映画『パニック・ルーム』のタイトルは、ニューヨークの実景に、CGの文字を看板に見立てた洒落た映像だが、文字の浮きあがり方の度合いが素晴らしい。『アザーズ』では、霧の闇というシビアな映像の微妙な明暗差を好ましく表現できた。
店頭では、はっきりくっきりの『ダイナミック』モードで展示されることが多いが、「ファイン」と「エレガンス」の好ましい映像も是非見ていただきたいと思う。
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