本誌試聴室レファレンス・ブランドの一つであるモニター・オーディオ各シリーズを展望する。第3回目はスペースファクターとクオリティを両立させたコンパクトシステム「Radius」の視聴レポートをお届けする。

Radius Seriesの概要

モニター・オーディオの名をわが国で決定的にしたのが、このRadiusシリーズである。まずコンパクトな2ウェイのRadius 90が発売され、爆発的なヒットを呼ぶ。これにサブウーファーRadius 360を組み合わせた2+1システムも高い評価を得た。次いでフロア型のRadius 270とプラズマTV対応型のRadius 225、さらに超小型のRadius 45が紹介されて人気と評価を不動のものとした。

いずれも上級モデルと同様のC-CAMトゥイーターを採用。ウーファーはMMP2の101mm(45のみ80mm)でキャビネットはごくスリムだ。お洒落なコンパクトスピーカーに、上級機譲りの本格的な音質を持ち込んだコンセプトがあまりに新鮮で、それが人気に直結したといえる。本物指向の現代的ライフスタイルにぴったりとはまったシリーズである。

[Radius 270/\141,750(ペア・税込)] 
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●ユニット:101mmウーファー×2、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:50Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:120W×900H×140Dmm・約10.0kg
[Radius 225/\123,900(ペア・税込)] 
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●ユニット:101mmウーファー×2、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:55Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:120W×610H×105Dmm・約5.0kg
[Radius 90/¥60,900(ペア・税込)] 
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●ユニット:101mmウーファー×1、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性:85Hz 〜25kHz ●外形寸法・質量:120W×190H×140Dmm・約2.0kg
[Radius45/¥17,850(1本・税込)] 
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●ユニット:80mmウーファー×1、20mmトゥイーター×1 ●周波数特性:120Hz〜22kHz ●外形寸法・質量:95W ×95H×95Dmm・0.95kg
[Radius 180/¥35,700(1本・税込)] 
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●ユニット:101mmウーファー×1、25mmトゥイーター×1 ●周波数特性::60Hz〜25kHz ●外形寸法・質量:120W×350H×95Dmm・約2.3kg
[Radius 360/¥89,250(1本・税込)] 
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●ユニット:203mmウーファー×1 ●周波数特性:27Hz〜180Hz ●外形寸法・質量:225W×367H×320Dmm・約15.0kg
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Radius270/90/180
2chでも5.1chでも適用可能な高汎用システム

Radiusシリーズには色々なシステム構成が考えられるが、ここでは代表として3つの例を聴いてみることにしたい。まず最も一般的な組み合わせとして、フロントに270、リアに90、センターに180を使用し、サブウーファーを組み合わせたシステムである。5.1チャンネルだが、2チャンネルにもそのまま適用することができ、汎用性の高い構成ということができる。

シリーズ共通の C-CAM Gold Domeトゥイーター(写真はRadius270)

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その2チャンネルはこのスリムなスタイルからは意外なほど豊かな音調が得られる。焦点がよく合って楽器や声の存在感が高い。モニター・オーディオらしい明晰な再現力が、ここでもしっかりと確保されている。本来このスリムなスタイルは平面型ディスプレイとのシステムアップを想定したものといえる。それだけに5.1チャンネルはぴったりの組み合わせということになる。

映画の音には色々な楽しみ方があると思うが、ここで聴かれるのは誇張のないナチュラルな音調である。それが鋭敏な瞬発力とレンジの広いレスポンスで鮮明に描かれる。『HERO』の戦場の場面を見てみると、例えば騎馬や兵士の足音がざくざくという明瞭な靴の音とともに、砂を踏む細かな音が高度に解きほぐされて聴こえてくるのがわかる。また『マスター・アンド・コマンダー』では船の周囲の風や波の音が、小さいがはっきりと描かれる。こうした細かな音まで取り出して適確に再現してみせる力は、モニター・オーディオの最も大きな特質である。

 

Radius225システム
焦点がより鮮明に、そして先鋭的になる225システム

フロントを225にすることもできる。これが二番目のシステムだが、この225は壁掛け使用を想定したもので、もし平面テレビを壁にぴったり付けて設置するようなときにはこの使用法がぴったりだ。また225だけを5本使ったシステムも可能で、バリエーションが多彩である。

Radius225の背面端子部。リア部でも洗練された美しいデザイン

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先ほどとはフロントだけの違いということになるが、フォーカスという点ではむしろこちらの方がより先鋭的だ。2チャンネルだといっそうよくわかるが、楽器の位置がぴたっと決まって存在感がリアルに出てくる。サブウーファーを加えた2+1にすると、低域の充実感が加わって音楽がさらに緻密である。

映画は、この再現性を5.1チャンネルに拡張したものという印象である。フロント側の遠近感が鋭い。『HERO』では戦場の空間が奥行深く描かれ、『マスター・アンド・コマンダー』では船上の人の声や鐘の音など、静寂な中に確かな位置感が現れる。『ロード・オブ・ザ・リング〜王の帰還』も、薄気味の悪い情景の広さと深さが手に取れるようだ。


Radius45システム
スペースファクターを高めたワンパッケージシステム

Radius45の背面部。トゥイーターが背部にあるのが面白い

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最後にコンパクトなRadius45によるパッケージ・システムを紹介しておきたい。45を5本とサブウーファーという組み合わせだが、90を5本という構成ももちろん可能だ。ただ45はトゥイーターを背面に設けて壁際での設置を想定しているため、さらにスペースファクターが高い。

明快な音調は上級機に劣らずくっきりとして音場感に優れ、『HERO』の戦場の雑踏や強弓の音をシャープに描き出す。『マスター・アンド・コマンダー』もセリフの多彩な表情や船内の近接音などが明瞭で、変化に富んだ表現が可能だ。

※5.1chの視聴ソフト「dts SURROUND・9−DEMONSTRATION DVD」

取材・文/井上千岳(Chitake Inoue)

PROFILE:慶應大学法学部・大学院修了。神奈川県葉山町に構える自宅視聴室でのシビアな評論活動を展開、ハイエンドオーディオはもちろん高級オーディオケーブルなどの評価も定評がある。海外のオーディオショウ・イベントへも毎年精力的に足を運びながら、海外ブランドのキーパーソンへのインタビューも数多くこなす国際派。ワールドワイドなハイエンドオーディオ事情にも精通する。

Monitor Audio製品に関する問い合わせ:
 (株)ハイ・ファイ・ジャパン http://www.hifijapan.co.jp/
 Mail/mail@hifijapan.co.jp
 TEL/03-3288-5231 FAX/03-3288-5233

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