■良い予感を裏切らなかった 素晴らしい再生音に感服
シルバー・リファレンス(RS)シリーズの出来からして期待はしていたが、まさかこれほどの仕上がりになっているとは予想していなかった。素晴らしいという一語に尽きる。それは最初にGS10が鳴った瞬間に明らかだった。
とにかくスカッと鳴る。6.5インチ・ウーファーの2ウェイ・ブックシェルフにしては異例ともいえるほど豊かな低音に支えられて、悠々とレンジの伸びたレスポンスには少しも濁りがなく透明そのものだが、引っかかりというものがどこにも感じられない。どこまでもスムーズだ。ジャズ・トリオのバスドラムがドスドスと飛んでくるし、シンバルもいいようにパシパシとしているが、不思議に耳を刺すものがない。ピアノも音数が多く、表情がいつもの倍ぐらいに感じられる。それにベースの弾みのいいこと、そしてその明快なこと。どの音にも実在感が濃く、ものすごく細かなニュアンスを伴っていながら、それをあっさりと描き尽くしてしまう。ボーイソプラノもピアノ・ソロもオーケストラも、ブックシェルフという感触は全くない。マーカス・ミラーのベースにいたっては、こんな強靭ではっきりした低音を出し得た小型スピーカーは過去に例がないのではないかとさえ思えるのだ。
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43kHzまでのレスポンスを獲得したシリーズ共通のトゥイーター |
GS10の背面端子部。バイワイヤリングに対応 |
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どこにも無理がかからず、伸び伸びとして思うがままに鳴っている。動きが速く位相はぴったりだ。このGS10にウーファーを追加し、2.5ウェイとしたのがGR20である。やや小振りのフロア型。音もちょうどGS10を下の方へ掘り下げた印象である。
このウーファーがまた速い。バスドラムを聴くと、その低い音が一回り太く鋭くなっているのを感じる。また高域にも緻密さが増して、音全体が濃密になっている。ボーイソプラノのシャープなハイトーンが硬さを抑えながらもきりっとした質感を保ち、余韻の伸びやかさがいっそう鮮やかだ。ピアノのソロもタッチの響きが空間全体と溶け合って、目の前にステージが現れたような感触である。GS10がそのサイズの中で破綻なくまとまっているのに対し、GS20ではもっと再現性の厳しさを追及した趣がある。それだけ精密であり、また微妙なバランスの上に成り立っているのがわかる。 |