10万回書き換え可能なメディア、録画はVRモードのみ対応
DVD−RAMは、DVDフォーラムで規格された書き換え型メディアだが、他のDVDとは構造と生い立ちが異なっている。主にパソコン用途で発展してきたメディアで、フロッピー的に約10万回もの書き換えが可能だ。録画はVRモードのみで、1コマ単位の高度なビデオ編集やプレイリストの作成が可能。CPRM(著作権保護機能)対応ディスクでは、コピーワンス(一回限り録画が許された)番組の録画もできる。メディアの値段が比較的高いが、ケース入りのディスクでは、傷つく心配が少なく、耐久性も優れているため、長期保存に適している。
当初は2倍速記録だったが、規格が改訂され、現在は3倍速対応のメディアとパソコン用ドライブも市販されている。3倍速に対応したDVDレコーダーの登場も期待できそうだ。
他のメディアへも簡単に無劣化ダビングできる
フロッピー感覚で使え、ファイル移動の自由度が高い点もメリットだ。DVD−Rは、一度録画すると他のメディアに無劣化ダビング(ファイルコピー)しにくいが、DVD−RAMは、他のメディアに簡単に無劣化ダビングが可能だ。
ハードディスクを搭載したハイブリッド型DVDレコーダーの場合、映像などの編集はハードディスク上で行うのが基本になるが、DVD−RAM←→ハードディスク間は、双方向で何度でも無劣化ダビングが可能なモデルが多い。このため、ハードディスクで編集したタイトルを一旦DVD−RAMにダビングし、後でハードディスクに書き戻して再編集する、といったデータの使い回しが可能だ。これは「一応編集したけれど、後でもう少し手を加えたい」といった時に重宝する。DVD−Rが一発勝負でキマリ!の豪快派?なら、DVD−RAMは何度でも手が加えられる慎重派といえそうだ。
他のメディアに簡単に無劣化ダビングできるので、メディアの乗り換えも簡単だ。つまりDVD−RAMは”引っ越しのしやすいメディア”と言え、メディアがダメになる前に、簡単に新しいメディアに引っ越せる。この点でも長期保存向きと言えるだろう。さらに、うまくいけば、次世代メディアへの無劣化ダビングも可能になる?と予想できる。この特徴からすると「数多くのライブラリーを十数年以上保存したい」人に勧められる。
DVD−RAMを再生できるDVDプレーヤーは限られる
その反面で、再生互換性の低さがデメリットといえる。ディスク構造の違いから、再生できるDVDプレーヤーはごく一部に限られてしまうのだ。このためDVD−RAMは自分専用のプライベートディスク、つまり自分のレコーダーで録って、自分のレコーダーだけで再生するメディアと割り切って使う必要がある。他のプレーヤーで使い回すことは難しいし、友人などへの配布用にもお勧めできない。
こうした再生互換性の低さから「将来性が心配」という意見も聞かれる。しかし、DVD-RAMはパナソニックや東芝などのDVDレコーダーが採用し、書き換え型DVDとしては最も普及しているメディアなので、それほど心配することはないだろう。万が一衰退するとしても”ファイル移動の互換性”は最も高いので、廃れる前に他のメディアにデータを引っ越してセーフ! という技も使えそうだ。
犬が歳をとるように急激に進化するデジタルメディアの世界では、どんなメジャーなディスクでも数年で次世代に席を譲らざるを得ないだろう。つまり”メディアはデータの仮の住まい”なのだ。そう考えると”引っ越し上手”のDVD−RAMのメリットが見えてくるはずだ。
DVD-RAMディスクはカートリッジタイプあり/なしのタイプがある。カートリッジ付きのものでも、ディスク本体を取り出して使用することができる。
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