公式サイトには載っていない新“ブルーレイDIGA"の進化点
■ブルーレイDIGAとして初めてHDMI 2系統出力を装備
音質についても見ていこう。
まず大きな特長として、BWT3000/2000の2機種は、HDMI出力端子を「MAIN」「SUB」の2系統装備したことが挙げられる。SUBは音声専用出力に設定することも可能で、この場合、映像データは黒の信号が送られる。AVアンプやシアターシステムには音声専用出力、ディスプレイやテレビには映像出力を送ることができ、音質のさらなる向上が期待できる。
HDMI出力端子を2系統とするメリットをかんたんにまとめておこう。音声専用出力とは言っても、HDMIの規格上、映像信号を送ることは必須となっているので、前述の通り、映像信号として黒を送信するものが多い。一部では、映像信号が黒になることでデータ転送量が少なくなり、その結果音質が良くなるという理解もあるようだが、これは完全に正しいとは言えない。
黒の映像とは言っても、HDMIではHDCPによってデータがランダムに暗号化されるので、伝送するデータ量が少なくなったり、データのランダム性が低減することはない。黒であろうが通常の映像であろうが、同じ解像度であれば、基本的には同程度にランダムなデータが転送される。
「黒映像を送ることで音質が向上するのは、HDMIで送られたデータをAVレシーバーで受信したあとの影響が大きいと考えている。黒の映像の方が、AVレシーバー内部でデコードした後、音声データとの信号の干渉が起きにくくなるからだ」と同社技術者は説明する。
なお、黒信号の解像度を抑える事により、伝送するクロック信号の周波数が下がってRX-LSIの動作が安定するなどの理由から、音質が良くなるということは考えられる。BWT3000/2000では、音声専用の黒映像は1080i(DeepColorオフ)とする事で、伝送クロック周波数を下げる工夫も同時に行っている。同じ黒映像を送るBD再生機器でも、中には解像度を1080pのまま送っている機器も多いので注意したい。
ちなみに、HDMI 2系統出力を備えたブルーレイDIGAでは、SUBを音声専用にすると、MAINは映像専用となり、オーディオパケットは伝送されない。また、SUB端子を抜いてSUB系のHDMI認証が外れると、自動的にMAINにも音声が出力される。
■クロックのジッターを低減する工夫も継承
そのほか3D対応のBWTシリーズ3機種は、「HDMI低クロックジッタシステム」もBW970から引き続き搭載した。
HDMIでは、再生機器側でピクセルクロックを元にしたTMDSクロックを生成し、オーディオ・ビデオ信号を伝送する。オーディオクロックは直接伝送されず、その代わりに、ピクセルクロックとオーディオクロックの周波数比を表す2種類のパラメータ「N」と「CTS」が同時に伝送される。AVアンプなどの受信側では、TMDSクロックからN/CTSパラメーターを使ってオーディオクロックを再生成するという流れになる。
この際、通常の伝送ではCTSの数値が大きく変動するためジッターが大きくなるが、BWT3000/2000/1000では「オーディオクロックスタビライザー」によりCTSの変動を低減。さらにクロック自体の低ジッター化を図るため、BWT3000にはオーディオ専用のクロック生成回路が搭載されている。
■BWT3000のみに採用された数々の高音質パーツ
BWT3000はこのほか、BW970でAVファンを驚かせた「シアターモード」も継承。BD/DVD/CDなどディスク再生時にHDDやチューナーを停止し、不要な機能をカット。なおかつ放熱ファンの回転も低速にし、振動やノイズ対策を図っている。
さらにBWT3000には、数々の高音質パーツが採用されている。巻き線にOFCを使用したOFC電源トランスをデジタルチューナー搭載のBDレコーダーとして初めて採用したほか、192kHz/32bit対応のAKM製DACやピュアオーディオ用コンデンサー、ローノイズオペアンプ、OFC電源ケーブルなどの高音質パーツを各所に用いている。さらに本体に伝わる振動を大きく軽減するため、セラミックインシュレーターの搭載や内蔵HDDのフローティング構造、ドライブの制振・吸音カバーも採用している。
なお同社では、BWT3000に搭載された高画質化・高音質化機能のほぼすべてを搭載し、なおかつ7.1chアナログ音声出力端子も備えたBlu-ray 3D対応BDプレーヤー「DMP-BDT900」(関連ニュース)も用意しており、購入を検討しているAVファンは、どちらを買うべきか、悩ましい選択を迫られそうだ。
見てきたように、新“ブルーレイDIGA”は、3D対応やAVC 2番組同時録画といった機能面の進化だけでなく、画質・音質を高める様々な工夫を行っている。BDだけでなく、DVDなどSD画質のソースについても高画質化を図るなど、隙のない進化を遂げたという印象だ。実際のクオリティについては、追って詳細なレビュー記事で報告したい。