「iPhone 5」は何を変えるのか? − AV関連機能の噂を読み解く
■「AirPlay Direct」が登場?
今回の噂で、筆者が最も注目し、かつ期待しているのが「AirPlay Direct」だ。
AirPlayについては、もはやくわしい説明は不要だろう。同じネットワーク内にあるAirPlay対応デバイスで、iOSデバイス内の音声、あるいは動画をストリーミング再生する技術だ。DockスピーカーやAVアンプなど、対応機器が着々と増えてきている。
AirPlay Directでは、対応機器をネットワークに接続する必要がなく、iOS機器と直接ワイヤレスで接続することが可能になるという。
もしこれが本当なら、これまで少しハードルが高かったAirPlayの導入や設定が劇的に簡便化される。電源ケーブル一本を差し込めば、あとは本体側の設定を行う必要なく、iOSデバイス側から対応スピーカーを探すことが可能になるのだ。いくらWi-Fiが一般化したといっても、ルーターへの接続が必須というのはやはり導入のハードルが高い。価格帯にもよるが、AirPlay Direct対応機器は、Dockスピーカーに替わる、iPhone/iPod対応スピーカーのメインストリームになりうる可能性を秘めている。
直接機器同士をワイヤレスで接続するだけならBluetoothですでに可能だが、AirPlayという名称を継承するとしたら、現在のAirPlayと同様にロスレスコーデックで伝送する、クオリティにも配慮した伝送形式とするはず。Bluetoothでロスレスコーデックの伝送を行うことは無理なので、Wi-Fi技術を使ったP2P技術であるWi-Fi Directが、要素技術として用いられる可能性が高いと考える。
AirPlay Directがもし実現すれば、ホームオーディオだけでなく、カーオーディオ機器に与える影響も大きい。これまではカーオーディオ機器でiPhone/iPodの楽曲を再生する際、ケーブルで直接つなぐ方法が一般的だったが、今後はiPhoneから直接カーオーディオ機器に楽曲を飛ばし、再生するスタイルが広まる可能性がある。しかも楽曲再生や再生先の選択を音声認識技術「Siri」で行えるようにすれば、車内の音楽再生環境の利便性は飛躍的に高まるだろう。