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IFAのオーディオ展示の特徴を具体的にチェック

<IFA>山之内正が見たオーディオ最新トレンド − 日本メーカーの健闘とネットワーク再生の潮流拡大

公開日 2015/09/10 15:21 山之内 正
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ソニーの「CAS-1」は、USB接続をメイン用途に据えたデスクトップオーディオシステムである。縦型のスリムなセンターユニット、それと高さを揃えた本格的な作りのスピーカーで構成されるが、その3つを載せても机の上にはまだ十分なスペースが残るほど、コンパクトでスタイリッシュなシステムだ。

CAS-1

シンプルな外見に似合わず数多くのこだわりがあるのは既報の通りで、実際の設計は、高級コンポーネントを手がけたソニーの精鋭技術者が手がけている。スピーカー用パワーアンプとヘッドホンアンプの基板を独立させ、両者ほぼ同じ面積を確保している点には特に注目したい。

付帯音が少なく素直な再生音は、まさにハイファイの王道を行くもので、スピーカー再生時の立体的ステレオイメージはサイズや設置スペースの制約を忘れさせてくれる。スピーカーキャビネットの共振対策が行き届いているためか、低音に余分なふくらみがない点にも感心した。小音量再生時のラウドネスは確実な効果を上げるが、強調感を前面に出しすぎるのではなく、ほどよいバランスを確保している。日常的に音楽を聴くライフスタイルが見えてくるような、提案性に満ちた製品として注目したい。

■アナログも今後の展開が楽しみ

参考出品とはいえ、今回最大の話題を呼んだテクニクスのターンテーブルは、今後の展開も含めて最も楽しみな存在である。ブースに展示されていたアームレスの筐体は、アルミを削り出しただけのシンプルな作りながら、そのまま製品化してもらいたいほどの存在感をたたえていた。もちろん実際の製品化の際には形状や仕上げが大きく変わるはずだが、心臓部のモーターとプラッターの構成は今回の試作機に近いものになると想像できる。

テクニクスが参考展示していたアナログターンテーブルは今年冬に詳細が発表される予定

注目すべきポイントは、コアレスモーターのなめらかな回転と、「SP-10Mk2」に相当する巨大なトルクを両立させたという点で、もしその通りならダイレクトドライブの評価を塗り替えるかもしれない。トーンアームやカートリッジの自社開発に踏み切るかどうかも含め、詳細の発表が待たれる。

ティアックもアナログプレーヤーを出展。先ほど紹介したNT-503と同時期に登場予定の「TN-500」である。MDFと大理石を組み合わせた筐体やアクリル製プラッターなど、TN-350からのアップグレードは多岐にわたり、こちらも発売が楽しみだ。

ティアック「TN-500」


そのほか、欧州市場を意識した展開として、ハイレゾ対応のカーオーディオ、ポータブル型から据置型まで多様な製品が急速に増殖中のデジタルラジオなど、興味深い展示が目を引いた。それらについてはあらためて紹介することにする。

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