HOME > レビュー > オーディオに適した“部屋の残響時間”とは?「アコースティックオーディオフォーラム」潜入レポート

【特別企画】「オーディオルームの響きについて」をテーマに開催された試聴会に潜入

オーディオに適した“部屋の残響時間”とは?「アコースティックオーディオフォーラム」潜入レポート

公開日 2015/10/23 12:31 編集部:小野佳希
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■「どんなに良い機器をもってきても部屋のクセが影響してしまう」

楽曲ジャンルと部屋の響きとの関係性について鈴木氏は、「最近の、パソコンで色々加工したような音源はデッド気味な部屋のほうが意外とよく聴こえる。一方でアコースティック楽器の演奏などはライブ気味なほうがいいと言われている」と説明。

その場で実際に測定を行うデモも披露。左がエタニ電機社製のオーディオインターフェース。右が小型マイクロフォン。機材も小型化し、手軽に測定することが可能となった

しかし一方で「吸音率を正確に0.2にするであるとかを、そこまでシビアに考える必要はない」ともコメント。むしろ注意するべきなのはブーミングやフラッターエコーであり、人間はそれらが突出した部分が気になってしまうようにできているという。

そして、共振が固まって鋭くならないように、共振する周波数を分散させるように部屋を設計することで、「すっきりした響きになる」とコメント。「部屋そのものを意識しないようになる、そんな部屋づくりが肝心。そのためには部屋の形、プロポーションが重要ですよということが今日のテーマで言いたいことだ」と言葉を続けた。

なお、会場となった同社ショールームは「まさに今回のテーマを実現したような部屋になっている」とのことで、「振動する場合はきちっと跳ね返すよう高剛性なつくりにしている」と説明。「部屋の場合は単純に剛性を高めればよいというわけではなく、部屋の形も重要ではあるが、高剛性、振動抑制というのはオーディオ機器とも共通するものがある」と、集まったオーディオファンにも身近に感じられるような説明を行った。

会場となった同社ショールームの残響時間の測定結果。右上が残響時間、左下が平均吸音率の表。低音域の残響が長めで、高音に行くに従って短くなっているのがわかる

鈴木氏はまた、きちんと響きを意識して部屋を設計することで、カーペットや各種ルームチューニングアイテムでの“味付け”が活きてくると説明。

「現代のオーディオ機器は非常に優秀になっていて、音量を上げても歪まない。ただ、部屋にクセがあると、どんなに良い機器をもってきてもそのクセが影響してしまう」とし、「部屋のつくりによっては、反射音の影響が大きくなって飽和感を感じるようになる。その対策としては、床や壁が振動しないようにガッチリつくることが必要だ」と、オーディオ機器を鳴らす大元となる部屋の重要性に改めて言及した。

なお、同社では次回の「第24回Acoustic Audio Forum」を10月30日(金)・31日(土)に開催。次回のテーマは「防音工事をすると音が良くなる」で、オーディオ&ホームシアター展(音展)で同社が行ったセミナー内容をより深く掘り下げるという。

30日は19時から、31日は13時からと16時からの2回のセッションを用意。公式サイトのメールフォームから参加申し込みを受け付けている。

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE