【特別企画】「第27回 Acoustic Audio Forum」取材レポート
「照明はオーディオ再生に影響を与えるのか?」 をブラインドテスト − “音楽家のための防音会社”による試聴会を突撃取材!
ノイズ発生の有無確認には、小型ラジオを利用。スイッチをオンにした照明などにラジオを近づけると再生音が乱れることから、たしかにノイズが発生していることが確認できた。
そして、参加者による“ブラインドテスト”を実施。布で包んで電灯や各種機器の使用状況が分からないようにし、15秒ごとにオンオフを切り替えながら音楽を再生。両者の状態で違いを感じられるかどうかを試した。
実は音楽再生開始時が電灯等のスイッチオフ、その15秒後にスイッチオン、という順番がテストの正解だったのだが、「小音量時の低音部分に少しだけ歪みを感じた」など、見事に違いを聞き分ける参加者も見られた。
別の参加者からは、LED電球のスイッチオフ時にノイズを感じ、点灯時にそのノイズがなくなったことで音楽の情報量も少なくなったように感じたという意見も。また、参加者全員がすべてのケースで明確に違いを感じたわけでもなく、当たり前だがやはり感じ方は人それぞれ。照明器具等の発する電気的ノイズによるオーディオへの影響は、かなり微量なものであるとも言えそうだ。
なお、初日は照明等のオンオフを15秒ごとに切り替えながら1曲を通して試聴、二日目は曲の冒頭15秒に限定してオンオフを繰り返す方式での試聴方法を採用。二日目のほうが違いが分かりやすいという結果になった。
■エアコンの音や屋内配線の違いも体験
そしてイベントでは、より直接的に家電がオーディオに影響を与える例としてエアコンのオンオフをテスト。室内騒音の評価基準であるNC(Noise Criteria)値を用い、エアコンによって部屋のNC値がどれくらい変わるのかなどを紹介した。
なお、このNC値は音楽スタジオなどを建設する際に活用されるもので、ラジオスタジオや録音スタジオでNC-15、テレビスタジオの副調整室でNC-25〜30、事務室や会議室でNC-35〜40ほどが求められるとのこと。
そして鈴木氏は、同社ショールームはエアコンをオフの状態でNC-20というレベルで作っていることを紹介。「当社が手がけたスフォルツァートさんの試聴室は、エアコンをつけてもNC-20程度の静けさを実現している」と、エアコンをオンにしてもかなりの静けさを保った部屋づくりも可能であると紹介した。
さらに続けて、鈴木氏は屋内配線にも言及。照明や家電よりももっと大元のレベルで考えておくべきポイントがあることを改めて説明した。
屋内配線の違いによるデモは、一般的に多く使われる「VVF」ケーブルと、オヤイデ電気が開発した新導体「102SSC」を採用したケーブルとを比較するというもの。2015年2月に開催された「第16回」の本イベントでのデモ(レポート記事)と同様に、照明のオンオフよりもはっきりとした違いを感じ取ることができた。
エアコンの動作音や風の音への対策、屋内配線ともに部屋の完成後からはなかなか対策を施しづらいもの。オーディオ趣味に適した部屋づくりのためには、部屋の響き以外にも意識しておくべきことも多いと改めて認識させられたイベントともなった。