パナソニック/日立をチェック
平成シェーバー探検記(後編)刃の駆動方式や肌当たり、洗浄/消臭機能など進化した各社製品
■日立
日立のシェーバー“ロータリージーソード”は、独特な方式を取っている。回転型といえば回転型なのだが、網刃の中に、縦方向に回転するドラム刃が入っている。このドラム刃であるが、見た瞬間、どうやって作ったのかが見当も付かない。それ位独特なのだ。日立ではロータリー方式と呼んでいる。
日立がこの方式を採用した理由は「安全カミソリと同じ使い方ができるシェーバー」を作るため。安全カミソリは基本的に上下に動かすが、その時々でいろいろな方向に動かすことができる。しかも下から上に剃り上げると、深剃りもできる。
刃物は切る対象はもちろんのこと、人の動きに則して設計される。例えばノコギリは和と西洋で、ひいた時に切れるか押した時に切れるかの違いがあるが、それは人の動きを考慮した結果である。それを考えると、安全カミソリと同じ動きでイイと言うことは、楽に剃ることが可能と言うわけである。
驚いたのは、逆剃り。安全カミソリなら深剃りなのだが、ロータリージーソードも見事に深剃り。これはひげに対する回転方向が変わるからなのだが、初めての時はちょっとビックリだった。
ポイントはもちろん、ドラム刃。これは総合家電メーカーの日立だからこそ実現できるものだ。日立金属のYSSヤスキハガネを日立マクセルが加工するという、グループ2社の組合せ。オーディオファンなら昔マクセルのカセットテープなどを使った人もいると思うが、日立マクセルは独自の精密加工技術でも名を馳せている。この総合力が日立の強みだ。
しかも刃は微振動。同じように微振動する電動包丁がシュークリームをも切断できるように、刃を微振動させることにより、切断抵抗を下げるとともに、普通だと押し圧で逃げてしまうようなコシのないひげも切ることができる。当然他社と同じようにヘッドも肌の凹凸を追従する。ロール刃なのでヘッドも小ぶり。接触面もそんなには大きくないので使い勝手もイイ。
実際に使うと、安全カミソリと似た感じで一層深剃りが効く感じ。ちなみに、ロータリージーソードはドラム刃を回転させることによる洗顔料の泡立て機能も付いている。ドラム刃の使い道の幅広さには感心させられる。
それから日立の技術で面白いのは、光コートとLEDを使った消臭、そしてそれに熱を加えた乾燥・除菌・防臭機能。消臭機能は本体に、乾燥・除菌・防臭機能は、RM-LX2Dに付属のLED光乾燥機に備わっている。光を照射すると特定の化学反応をおこし、前述の機能が出るわけだ。
これがイイのは簡便性と見た目。簡便というのは、光はLEDなので、省エネなうえ非常に小さい。このためシェーバー本体にも入るし、当然LED光乾燥機はとても小さい。通常の洗浄機は洗浄液を入れるため、かなり大きく場所をとる。洗面所に置いたら奥さんに文句を言われたという人もいるのでは? そんな人には是非と勧めたくなるシェーバーともいえる。
見た目というのは、青色LEDを使っていること。これがキレイ。オーディオで言うと、マッキントッシュのアンプの美しさ。しかし、形はどことなくガンダムを思い起こさせる。シンプルにして最新技術だ。
■シェーバーを選ぶときに気をつけたいこと
シェーバーという同じカテゴリーながら、各社は全く違うアプローチをしている。オーディオでいうとヘッドホンやイヤホンのようだ。しかしヘッドホン/イヤホンとは異なり、店頭で試して実際に使い心地を体験するのはかなり難しい。
清潔なサンプルで、どんなモノか試すことができれば、ユーザーにとってよりよい選択ができるのではと思う。ただ一部の店では、試し剃りができるようになっているとか。シェーバーを選ぶときは、店員さんに話し、是非自分で試してみることをお勧めしたい。