【特別企画】アコースティックラボ主催「第52回Acoustic Audio Forum」密着レポート
スピーカーが“生き生きと鳴る”「AL式オーディオルーム」の魅力とは?部屋づくりのプロが徹底解説
「オーディオルームの音響アラカルト」パートで主に扱われた話題が「部屋の響きのバランス」について。
「響きは低中高の音域ごとの周波数のバランスによって決まる」(同社 鈴木代表)とし、スピーカーを生き生きと鳴らすには、部屋の響き、つまり残響時間をどれくらいにするべきなのかといったことが解説された。
なお、現代の日本では平均吸音率が0.2〜0.3ほどである部屋が一般的。これに対しAL式オーディオルームでは、低音域があまり吸音されないようにして残響時間を若干長くなるよう設計する。実際に同社ショールームの蔵前ヴィレッジも、低音の残響が中音域に比べて1.5倍ほど長いつくりになっている。
鈴木氏は「低音の響きが長いとブーミーになるのではと不安に思う人もいるかもしれない。しかし、どんなジャンルを聴くのでも低音が少し盛り上がっていたほうが比較的聴きやすくなる」と解説(ただし一方で、その低音の盛り上がりが定在波の重なりによって生じたものでない場合、つまり定在波が分散分布している場合」という条件での話であることも強調)。「実際、この部屋で音出しデモを体験してみて、低音の響きだけが特別に長い印象は受けないのでは?」と参加者に語りかけた。
■スフォルツァートの新ネットワークプレーヤーをデモ
注目機器の試聴パートには、スフォルツァートのネットワークプレーヤー新モデル「DSP-Pavo」が登場。製品の開発者でもあるスフォルツァートの小俣社長もイベントに参加し、製品の特徴を紹介した。
DSP-Pavoは、DACチップにES9038Proをチャンネルごとに1つずつモノラルで使用。アコースティックラボがリファレンス機器として導入している「DSP-03」などの次世代モデルということもあり、今回のイベントでの登場となった。
当日は通常の音出しデモに加えて、ファームウェアアップデートで追加された2つの新機能「ノーオーバーサンプリング」と「LAN DAC」もテスト。こうした機能の効果を参加者ほぼ全員が実感した様子だったが、これは蔵前ヴィレッジがわずかな音の変化もちゃんと感じ取れる部屋につくられていることも一助となったのだろう。
また、小俣氏は軽妙なトークでネットワークオーディオを基礎レベルから解説。部屋の重要性を体感できるとともに、ネットワークオーディオについても理解を深めることができる、一粒で2度おいしいイベントとなった。
■注目機誕生にAL式オーディオルームが貢献
さらに、スフォルツァートが製品開発のために使用している試聴室についても紹介。実はこの試聴室、アコースティックラボが設計したもの。試聴室以外の部屋を賃貸物件として貸し出していることもあり、通常よりも高い遮音性能を実現させている。
小俣氏は「夜中でも気にせずに音をガンガン出せる」と、製品開発に没頭できる部屋が完成したことを紹介。それに対しアコースティックラボの鈴木氏が「スフォルツァートさんから素晴らしい製品が登場したのも、我々が良い音の部屋をご提供したからかもしれない(笑)」とジョークを交わす一幕も見られた。
なお、スフォルツァート試聴室も“AL式オーディオルーム”として響きを長めに設計。「だからといって変な音の響きを伴わず、正確に心地よく音を聴ける部屋に仕上げている」とのことで、メーカーの開発用試聴室としての用途にもAL式オーディオルームは充分に適しているとアピールした。部屋の響きが長めであることが、細部の微小音を聴き取りにくくなることにつながらないことは、蔵前ヴィレッジ試聴室でも同様であることがわかる。
次回の「Acoustic Audio Forum」は8月31日(金)・9月1日(土)に開催。テーマは「部屋におけるスピーカーのセッティングについて」で、会場は本記事で紹介している蔵前ヴィレッジ。
同社では「定在波分布が理想的な部屋は、比較的スピーカーのセッティングが楽だと言われているが、それでもスピーカー位置によって優劣の差があることは事実」だとし、スマートフォンアプリによる音響測定をしながら、最良の位置をいっしょに考えるという。
両日とも基本的な内容は同一。参加はもちろん無料で、公式サイトから申し込みを受付けている。
・日時:
8月31日(金)18時〜20時(17時開場・自由試聴時間)
9月1日(土)14時〜16時(13時開場・自由試聴時間)
・会場:同社蔵前ヴィレッジ
(台東区柳橋2-19-10 第二東商センタービル2号館B棟1階)
・参加申し込み受付メールフォーム
【問い合わせ先】
アコースティックラボ
担当:草階(くさかい)氏
TEL/03-5829-6035
E-mail/kusakai@acoustic-designsys.com
(特別企画 協力:アコースティックラボ)