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息を呑む、未体験の精細感

ソニー「α7R IV」レビュー。フルサイズ初の6000万画素超えは伊達じゃない

公開日 2019/09/17 06:15 山田久美夫
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■αシリーズの強みであるAF性能がさらに進化


αシリーズが得意とする分野にAFがある。もちろん、本機にもその血統はきちんと受け継がれている。先代機「α7R III」に比べ、AFの位相差測距点が増え、カバーエリアも広がった。さらに、AF測距点を変更する操作部も改善。大幅に操作しやすくなった背面のジョイスティックや、反応のいいタッチパネル操作も軽快だ。

中でも、捉えた測距点のピントを追い続ける「リアルタイムトラッキング」は、動体撮影に実に便利だ。一度、測距したい部分を指定してしまえば、被写体が移動しても、フレーミングを変えても、その部分のピントを粘り強く追い続けてくれる。そのため、AF測距点を意識することなく、実に心地よく軽快に撮影に集中できる。この機能が動画撮影時にも利用できる点も見逃せない魅力だろう。

進化した「瞳AF」も実に便利だ。今回の試用では、AIを活用した動物対応の瞳AF機能を、動物園で試した。ちなみに動物の瞳検出は一部の動物のみの対応となり、実際に試したところ、鳥や魚などの瞳は検出できないようだ。

だが、トラやレッサーパンダなど、顔の中のパーツの配列が、比較的人間に近い動物であれば、柵越しであっても、動き回っていても、十分に高い確率で、自動的に瞳を捉えてくれる。対応する動物であれば、自分のペットを撮る人にもきわめて有効な機能といえるだろう。


動物対応の「瞳AF」の効果はてきめんだ。対応した動物にこそ限られるが、上の作例のように、フォーカスが迷いやすい柵越しの撮影でも、瞳にしっかりとピントを合わせてくれる。

なお、AF測距ができるレンズの開放F値も、先代機のF8からF11に拡大。これにより、F5.6クラスのズームレンズに、2倍のテレコンバーターを装着しても、AF撮影ができるようになっている。

■高画素機のイメージを覆す軽快な連写性能


連写性能はAF/AE追従で最高秒間約10コマと高速。もちろん有効約6100万画素の高解像で、コンティニュアスAF、瞳AF、リアルタイムトラッキングを駆使した高速連写ができるわけだ。ここまでの性能を備えていれば、大半のスポーツ撮影でも対応できるだろう。

しかも、先代機に比べ、バッファーメモリーが約1.5倍に大容量化しており、高画素機にもかかわらず、RAW+JPEG(圧縮)時でも、最大約68コマも連続撮影できるのは、結構心強い。

ちなみにファイルサイズはRAW撮影で1コマ約60MB、 JPEG撮影で1コマ約20MB程度のため、連写撮影を行うとSDカードへの書き込みにはそれなりの時間がかかる。そのため、高速連写を繰り返すような撮影では、高速なUHS-II規格のSDカードをぜひ利用したい。

ただ、バッファーメモリーの容量は十分にあるので、通常のスナップ程度なら、UHS-I規格のSDカードでも、さほど不便を感じることはない。また、ファインダー内に、SDカードへの残り記録枚数も表示されるので、意外に待たされ感は少ない印象だ。


SDカードスロットはデュアルスロットを採用。先代機は片方のみUHS-II対応だったが、本機は両スロットがUHS-II対応となった。また、先代機は下側がメインスロットだったが、本機では上側がメインスロットに変更された。細かな変更ではあるが、使い勝手を高めてくれる改善点だ。

また、本機は5.5段分の補正効果を謳う「光学式5軸ボディ内手ブレ補正」も搭載。確かに有効約6100万画素もの超高解像度となると、微細なブレが画質に大きく影響するので、もう必須の機能といってもいい。ただ実際に試用した感触としては、効果は明確に感じられたものの、やや控えめという印象を受けたのも事実。おそらくこれは、画素数が上がったことで、相対的に微細なブレが目立ちやすくなったことも関係しているのだろう。

■一方、EVFや背面液晶の色差にはやや課題も…

ファインダーはカメラの命。一眼レフの時代もそうだったが、ミラーレスの時代になり、さらにその感を強くしている。本機のEVF(電子ビューファインダー)は、クラス最高576万ドットの解像度となる有機ELファインダーを搭載。先代機が369万ドットだったため、その解像度は一気に約1.5倍となったわけだ。

実際に覗いてみると見え味は悪くない。周辺部まで、さほど歪みを感じることもない。ただ、スペック値ほどの高精細さは感じられない。ただこれは、出荷時設定で、EVF表示の設定が「標準」になっているのが原因。設定を「高画質」に切り替えると、かなり印象が変わり、細部まできちんと表示されるようになる。

おそらく、バッテリー寿命(撮影枚数)を少しでも多くするためだと思われるが、誤解してしまう人も多いだろう。そのため店頭などで本機のEVFをチェックする時は、ぜひ、この設定を変えてから試していただきたい。

一方、個人的に一番気になったのは、撮影画像と背面液晶、そしてEVFの色や明るさの違いだ。今回のデモ機では、わずかではあるがグリーン方向に表示色が寄っており、筆者はいまひとつ安心して撮影ができなかった。

もちろん、背面液晶とEVFの両方とも、明るさと色温度をそれぞれ個別に調整することは可能だ。だが、調整は横軸(ブルー/アンバー)方向のみで、縦軸(マゼンタ/グリーン)方向がないため、その差を埋めることができなかった。デバイスの個体差もあるので一概には言えないが、できれば、より緻密な色調整機能の追加を、今後のファームアップで実現してほしい。


背面には、「タッチフォーカス」、「タッチパッド機能」に対応した、144万ドットの液晶モニターを採用。他社の最新モデルでは210万ドットの液晶モニターの採用例も増えおり、細部の表示はやや見劣りしてしまう。高額なモデルだけに、もうワンランク上の液晶モニターを採用してほしかったというのが正直なところだ。

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