解散から17年、再始動
復活のNUMBER GIRL、「ガッサガサのロック」を聴くならレコードがアツい
NUMBER GIRLを聴いていると、ジミ・ヘンドリクスやレッド・ツェッペリンを初めて聴いたときの「違和感」が蘇る。「これがロック?」「ポップスとは違うんだね」「ヤバイよ」「こんなの好きになったら“普通”に戻れないって」という、ヤク中で年増でテクニック抜群の商売女に引っかかったような、ダメとわかっていてもそこに向かっていってしまう気持ちである。
それこそが「真性のロック」だ。誰の中にもそういう衝動はあるが、みんながそれを爆発させていたら社会の秩序は乱れてしまう。「それを逃すために芸術やスポーツはある」とも言えるのに、音楽はそれとは逆の、当たり障りないものばかりになってしまっている。
向井秀徳は「日常の中にある狂気」で「日常を粉砕にかかる」天才だ。そしてNUMBER GIRLは研ぎ澄まされた鍬を持って草木も生えないような荒野を目指すのだ。
素晴らしい。
彼のロックには希望がある。こんな時代だからこそ聴きたい「ガッサガサのロック」なのだ。
■NUMBER GIRLスタジオアルバムのアナログ盤が発売中
再結成を祝して、彼らが残した3枚のスタジオ・アルバムのアナログ180g重量盤が8月にリリースされた。99年7月の『SCHOOL GIRL DISTORTIONAL ADDICT』、00年7月の『SAPPUKEI』、そして02年4月の『NUM-HEAVYMETALLIC』である。
青春の焦燥がリアルなファースト、バンドとしての到達点が見えたセカンド、それに甘んじずにさらなる高みを目指したサードとも傑作で、甲乙つけがたい。アナログ盤としての極上の音質なので、彼らの功績を再評価するには最高のものになった。
11月3日の「レコードの日」には、02年のライブ・アルバム『感電の記憶』のアナログ盤と、7インチ・シングル「DISTRUCTION BABY」の発売も決まり、12月14/15日の豊洲PITを皮切りとする全国11箇所・12公演のツアーも発表になっている。
解散から17年を経て再び動き出したNUMBER GIRLが「どこまで行くか」は見ものである。