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自動車・AV機器両方に明るい評論家、会田肇氏がレポート

トヨタ/ソニー/Amazonらの注目展示に“空飛ぶタクシー”も。CESで見えた「5G時代のオートモーティブ」

公開日 2020/01/21 06:40 会田 肇
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自動運転の実現に欠かせないセンサーとして各社が開発を急いでいるのが3D-LiDARだ。パイオニアの子会社であるパイオニアスマートセンシングイノベーションズ(PSSI)は、500mもの遠距離計測を可能とした次世代3D-LiDARセンサーを開発し、そのモックアップを出展した。この次世代遠距離モデルを加えることで、セキュリティ、交通監視用途、路側センサーのモニタリング用途、自動運転車両における遠距離計測など、さまざまなニーズに対応できる。さらに同社は乗用車などへ後付けできる「3D空間データ収集LiDAR kit」を出展して注目を浴びた。

パイオニアの子会社であるPSSIは、500mもの遠距離計測を可能とした次世代3D-LiDARセンサーを開発。写真はそのモックアップ

また、長距離LiDARは世界最大の自動車部品メーカーであるボッシュも出展した。発表されたLiDARはすべて今後の主流になると見られる、耐久性に優れ、量産性が高いソリッドステート型。ソニーがVISION-Sの発表を通したLiDARもこのカテゴリーの製品だ。ライバル同士の競争も激しさを増しており、これまで価格面を主な理由に搭載が遅れていたLiDARが一気に普及する可能性が出てきた。

世界最大の自動車部品メーカーであるボッシュも長距離LiDARの開発に乗り出した。競争の激化で一般車両に搭載されるのも近い?

ボッシュが開発した次世代サンバイザー「バーチャルバイザー」。インテリジェントなアルゴリズムを用いて、太陽のまぶしさを遮断しながらドライバーの前方視界を確保する

■“空飛ぶタクシー”の実現に向けた動きが相次ぐ

未来の交通サービスも注目のテーマとなる中で、“空飛ぶタクシー”の実現に向けた動きが「CES 2020」で相次いだ。新しいコンセプトモデルを発表した大手ヘリコプターメーカーであるベルや、自動車メーカーとして初めて参入したヒュンダイが、揃って都市のモビリティとして新たなエコシステムを構築しようする動きを見せたのだ。その核となるのが電動垂直離着陸(eVTOL)機である。

ヒュンダイが発表したeVTOL機。Uberが率いる空飛ぶタクシーのプロジェクト「Uber Elevate」と共同開発した「S-A1」で、8つのローターを搭載する4人乗り

ベルは完全電動のコンセプトモデル「Nexus 4EX」を発表。合わせて単に機材を開発するだけでなく、スマートシティのエコシステムの一部として、その運行管理システムやメンテナンスなども提供することで、実際の運用する設計図を具体化した。一方のヒュンダイは、自動車メーカーならではの圧倒的な大量生産で強みをハックすることをアピール。発表した機体もUberが率いる空飛ぶタクシーの実現化に向けたプロジェクト「Uber Elevate」との共同開発によって生まれたものだ。

CES 2020の終了後である1月15日には、トヨタもeVTOLの開発を進めるJoby Aviationに3.94億ドルを出資して、空のモビリティ事業に本格参入することを発表。都市部の渋滞や環境負荷の低減、過疎地域の輸送手段として早期実現を目指す考えを表明した。少し前までベンチャー企業が手掛ける夢物語としてだけ語られていた世界だったが、これら大手メーカーの参入により、いよいよ現実性を帯びてきたと言っていいのかもしれない。

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