最新バージョン1.7も公開
“総合音楽鑑賞ソフト”Roonの「いま」と「これから」を、創業者とのやりとりから紐解く
――TIDALとQobuz以外のストリーミングサービスとも連携する予定はありますか?
Vandermeer まず、2015年のローンチの話からさせてください。
Roonが連携するストリーミングサービスはTIDALから始まりましたが、それは当時、TIDALが唯一CDクオリティで音源を提供するサービスだったからです。Roonの顧客にとって、「少なくともCDクオリティであること」は重要でした。
またRoonでは、Roonとストリーミングサービスを統合するにあたって、ユーザー・エクスペリエンスをより良いものとするために、サービス側と密接に連携し、さまざまなデータをもらう必要がありました。
次にRoonと連携させたストリーミングサービスはQobuzでした。市場で2番目にスタートしたロスレス/ハイレゾストリーミングサービスだったからです。(筆者註:Roonは2019年1月、バージョン1.6へのアップデートでQobuzに対応)
私たちはよく、SpotifyやApple Musicといった “ロッシーな” サービスもRoonと連携させて欲しいと言われます。しかし、Roonのユーザー層にとって、それは正しい選択だとは考えていません。
Roonの市場が広がった現在では、各地域のユーザーにいま以上にコミットするために、その地域のサービスと連携するのも有効だと考えています。
以上の理由から、日本ではmora qualitasがローンチした後、Roonとの連携に向けて話をしています(筆者註:mora qualitasは2019年10月24日から先行無料体験を開始)。
Roonとしては、単にストリーミングサービスのパートナーを増やすだけでなく、その地域の音楽コンテンツに関する豊富な情報(メタデータ)を得ることが重要です。mora qualitasと話をするなかで、日本の音楽コンテンツを扱うことの複雑さについても学びました。このような取り組みは、他の市場でも同様に続けていきます。
とりあえず、RoonはTIDALとQobuz以外のストリーミングサービスとも連携を進めていく姿勢であることは間違いないようだ。
ただし、ストリーミングサービスならなんでもいいというわけではなく、オーディオファンでも品質に満足できるように「ロスレスの」サービスであること、そして優れた音楽体験を実現するために、豊富な音楽情報が同時に必要という認識が示された。例えば日本には音楽情報データベースの「CDジャーナル」があり、そうしたサービスの存在も今後重要になるだろう。
「その地域ならではのサービス」として、日本ではmora qualitasとも話を進めているという。今後どのような展開になるかは分からないが、日本に住み、日本の音楽を聴いている身として、日本のサービスがRoonと連携する未来には大きな期待を抱かざるを得ない。