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最新バージョン1.7も公開

“総合音楽鑑賞ソフト”Roonの「いま」と「これから」を、創業者とのやりとりから紐解く

公開日 2020/03/02 06:40 逆木 一
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――TIDALとQobuz以外のストリーミングサービスとも連携する予定はありますか?

Vandermeer まず、2015年のローンチの話からさせてください。

Roonが連携するストリーミングサービスはTIDALから始まりましたが、それは当時、TIDALが唯一CDクオリティで音源を提供するサービスだったからです。Roonの顧客にとって、「少なくともCDクオリティであること」は重要でした。

またRoonでは、Roonとストリーミングサービスを統合するにあたって、ユーザー・エクスペリエンスをより良いものとするために、サービス側と密接に連携し、さまざまなデータをもらう必要がありました。

次にRoonと連携させたストリーミングサービスはQobuzでした。市場で2番目にスタートしたロスレス/ハイレゾストリーミングサービスだったからです。(筆者註:Roonは2019年1月、バージョン1.6へのアップデートでQobuzに対応)

私たちはよく、SpotifyやApple Musicといった “ロッシーな” サービスもRoonと連携させて欲しいと言われます。しかし、Roonのユーザー層にとって、それは正しい選択だとは考えていません。

将来的なストリーミングサービスとの連携にも積極的だが、あくまでクオリティを重視した上で進めるという考えを持っている

Roonの市場が広がった現在では、各地域のユーザーにいま以上にコミットするために、その地域のサービスと連携するのも有効だと考えています。

以上の理由から、日本ではmora qualitasがローンチした後、Roonとの連携に向けて話をしています(筆者註:mora qualitasは2019年10月24日から先行無料体験を開始)

Roonとしては、単にストリーミングサービスのパートナーを増やすだけでなく、その地域の音楽コンテンツに関する豊富な情報(メタデータ)を得ることが重要です。mora qualitasと話をするなかで、日本の音楽コンテンツを扱うことの複雑さについても学びました。このような取り組みは、他の市場でも同様に続けていきます。



とりあえず、RoonはTIDALとQobuz以外のストリーミングサービスとも連携を進めていく姿勢であることは間違いないようだ。

ただし、ストリーミングサービスならなんでもいいというわけではなく、オーディオファンでも品質に満足できるように「ロスレスの」サービスであること、そして優れた音楽体験を実現するために、豊富な音楽情報が同時に必要という認識が示された。例えば日本には音楽情報データベースの「CDジャーナル」があり、そうしたサービスの存在も今後重要になるだろう。

Roon上ではさまざまな情報に触れることができるが、それも豊富なメタデータと連携しているからこそ可能となる。日本の楽曲のメタデータの充実は、今後の大きな課題にもなっているという

「その地域ならではのサービス」として、日本ではmora qualitasとも話を進めているという。今後どのような展開になるかは分からないが、日本に住み、日本の音楽を聴いている身として、日本のサービスがRoonと連携する未来には大きな期待を抱かざるを得ない。

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