最新バージョン1.7も公開
“総合音楽鑑賞ソフト”Roonの「いま」と「これから」を、創業者とのやりとりから紐解く
「Valence」は機械学習のアルゴリズムや新たなクラウドデータベースを含めたトータルのシステム/技術であり、10万人を越えるRoonユーザーの情報も活用し、ひとりひとりのユーザーに対して完璧にパーソナライズされたレコメンドを実現する。実際にRoonを使うユーザーからすれば、とにかく一気にRoonのレコメンド機能が充実したという認識で問題ない。
バージョン1.7での変化も多岐にわたるが、ここではValenceによるレコメンド機能に絞って紹介する。
Roonのトップ画面では、ライブラリに新規追加された音源の直下、いわばトップ画面の一等地に、「New Releases for You」というスペースが追加されている。
「View All」から一覧を表示してみると、たしかに筆者が興味を持ちそうな音源が並んでいる。
Sortを「Relevance」から「Newest」に変更し、TIDALの「Recommend Albums」と比べてみると、結構な違いがある。もっとも、実際にどちらが筆者の嗜好に合うかは、聴いてみないことには分からないが……。
個別のアルバム画面では、従来同一アーティストの音源が表示されていた一等地に、「Recommended For You」が追加された。
「SEE MORE」でさらに表示を増やせるし、ページを更新すれば別の音源がレコメンドされる仕組みになっている。
もちろん、「Recommended For You」から辿り着いた音源にも、新たな「Recommended For You」が用意されている。こうして、Roonにおける「音楽の繋がり」は音楽史的な意味でも、純粋な個人の楽しみとしても、ますます強固なものとなる。
筆者個人としては、バージョン1.6でQobuzにも対応した時点で、Roonの機能は極まった印象を持っていた。すでに機能は豊富すぎるくらいで、TIDALあるいはQobuzと組み合わせれば、音楽の海を巡るにしても様々なオーディオ機器と連携するにしても、特段の不満や要求はなかった。
しかし、Enno Vandermeer氏とDanny Dulai氏の話を聞く限り、Roonが歩みを緩めることはなさそうだ。新たなストリーミングサービスとの連携しかりValenceしかり、Roonをいままで以上に良いものにしていこうという姿勢が強く感じられた。
音楽へのひたむきな情熱と、弛まぬ技術開発の両輪でもって、Roonは2010年代後半のファイル再生を強力に牽引してきた。そして2020年代、連携するストリーミングサービスの拡充とレコメンド機能の強化を皮切りに、Roonはどのような進化を遂げていくのか。音楽を愛し、オーディオを愛する者として、とても楽しみだ。