【連載】佐野正弘のITインサイト 第21回
Xperia 5 IVで変わったカメラ。最上位「1シリーズ」大型センサー搭載の布石か
秋が近づき、冬の商戦期を見越したスマートフォンの新機種発表が相次いでいる。そうした中、国内メーカーで最初に動きを見せたのがソニー。昨日9月1日に、新スマートフォン「Xperia 5 IV」を発表した。
「Xperia 5」シリーズは、Xpeiraの中でもフラグシップモデル「Xperia 1」シリーズの機能や性能を可能な限り維持しながら、よりコンパクトで持ちやすいサイズ感を実現している点が特徴となっている。それゆえXperia 5 IVも、発売済みのフラッグシップモデル「Xperia 1 IV」の特徴を引き継ぎながらも、従来のXperia 5シリーズと大きく変わらないコンパクトさを実現しているのが最大のポイントだ。
実際Xperia 5 IVの機能・性能を見ると、Xperia 1 IVとの大きな違いはあまり見当たらない。Xperiaシリーズで力を入れているカメラに関しても、全てのカメラにXperia 1 IVと同じ120fpsの高速読み出しが可能なイメージセンサーを採用。どの画角でも秒間20コマかつAF/AE対応の高速連写ができるなど、ソニーが力を入れている、被写体への高速追従が可能なカメラ性能を実現している。
また映像撮影に関しても、やはりXperia 1 IVと同様に新しい動画撮影アプリ「Videography Pro」を搭載。YouTubeなどへのライブ配信に対応するなど、ライブ配信サービスの人気の高まりを意識した機能の充実が図られている。
さらに性能に関しても、やはりチップセットにハイエンド向けとなるクアルコム製の「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載するなど、Xperia 1 IVとの統一化が図られている。こうした内容を見れば、Xperia 5 IVは確かに従来のモデルから順当な進化を遂げたといえるのだが、細かな性能を見ていくと、実は大きな変化が起きていることに気が付く。
それはコンパクト化によって、Xperia 1 IVからスペックダウンがなされた部分と、そうでない部分の違いだ。従来のXperia 5シリーズでも、画面の解像度がXpeira 1シリーズの特徴である4K画質ではなくフルHD+に落とされるなど、コンパクト化の影響によって性能を引き下げていた部分はいくつかあったのだが、Xperia 5 IVではそのメリハリの付け方が大きく変わっているのだ。
とりわけ大きく変わったと感じさせるのは、カメラである。従来のXperia 5シリーズでは、カメラの撮影体験を共通化するため、Xpeira 1シリーズと同じ性能のものを搭載することを重視してきたのだが、Xperia 5 IVでは望遠カメラの性能に明らかな違いが出ている。
Xperia 1 IVの望遠カメラは、焦点距離が35mm判換算で85〜125mm相当の光学ズームができることが大きな特徴となっている。だがXperia 5 IVの望遠カメラにはその機構が採用されず、焦点距離は60mmの固定となっている。カメラにこだわるソニーが、Xperia 5 IVでカメラ性能を落とすというのはやや意外な印象も受ける。
その一方、スペックダウンがなされなかったのがバッテリー容量である。Xperia 5シリーズはサイズが小さいだけに、Xperia 1シリーズよりバッテリー容量が少ない傾向にあったのだが、Xperia 5 IVはコンパクトさを維持しながらも、Xperia 1 IVと同じ5,000mAhのバッテリーを搭載しているのだ。
なぜこのような変更がなされたのかといえば、一つには、コンパクトモデルの利用者から不満が挙がりがちな、バッテリー容量の問題を解消したい狙いがあったためだろう。そしてもう一つは、Xperia 1 IVの望遠カメラを、Xperia 5 IVのボディにそのまま搭載することが難しいと判断したためではないかと考えられる。
というのもXperia 1 IVの望遠カメラは、レンズが動いて焦点距離が無段階に可変するという複雑な構造となっており、その分通常のカメラと比べて搭載するハードルも高いことから、コンパクトなXperia 5 IVに搭載するのは難しかったのではないかと考えられる。であればいっそ、望遠カメラは必要十分なものに抑え、その分バッテリー容量を増やすことでユーザーの満足度を高めることに注力したのではないだろうか。
そしてこのことは、ソニーがXperia 1シリーズとXpeira 5シリーズのカメラ性能を、必ずしも一致させなくてもよいと判断したことを示し、それが今後のXperiaシリーズのあり方にも大きな影響を与えるのではないかと筆者は見ている。より具体的に言えば、「Xperia 1シリーズのカメラが、今後大きく変わる可能性があるのではないか」ということだ。
Xperia 5シリーズと性能を合わせるという前提がなくなれば、より本体サイズが大きいXperia 1シリーズに搭載するカメラの自由度が高まる。それはカメラのレンズ、そしてイメージセンサーに、より大型のものを採用しやすくなることにもつながってくるわけだ。
そこで期待されるのは、やはり1インチサイズのイメージセンサーの搭載であろう。Xperiaシリーズでも既に、Xperia 1シリーズより上位の「Xperia PRO-I」で1インチセンサー搭載を実現しているし、最近ではシャープの「AQUOS R7」のように1インチセンサーを搭載した機種も徐々に増えてきている。
しかも、1インチセンサーを搭載したXiaomi(シャオミ)製の「Xiaomi 12S Ultra」(日本未発売)は、ソニー製の1インチイメージセンサー「IMX989」を搭載していることが明らかにされており、既にソニーはスマートフォン向けの1インチイメージセンサーを開発・提供している実績もある。こういった背景から、その1インチイメージセンサーを、カメラの大型化がしやすくなった次のXperia 1シリーズに搭載することが大いに期待される。
ただソニーはXperiaシリーズにおいて、被写体への高速追従などに強いこだわりを見せており、それを理由に高画素のイメージセンサーをあえて採用しないなど、スペックよりもバランスを重視してイメージセンサーを選ぶ傾向にある。
そうしたことから、性能だけで1インチのイメージセンサーを搭載するとは限らないが、Xperia 5シリーズとの共通化という前提が崩れた今、搭載の可能性が高まったことは確かといえるだろう。
※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」のオリジナル記事を読む
「Xperia 5」シリーズは、Xpeiraの中でもフラグシップモデル「Xperia 1」シリーズの機能や性能を可能な限り維持しながら、よりコンパクトで持ちやすいサイズ感を実現している点が特徴となっている。それゆえXperia 5 IVも、発売済みのフラッグシップモデル「Xperia 1 IV」の特徴を引き継ぎながらも、従来のXperia 5シリーズと大きく変わらないコンパクトさを実現しているのが最大のポイントだ。
実際Xperia 5 IVの機能・性能を見ると、Xperia 1 IVとの大きな違いはあまり見当たらない。Xperiaシリーズで力を入れているカメラに関しても、全てのカメラにXperia 1 IVと同じ120fpsの高速読み出しが可能なイメージセンサーを採用。どの画角でも秒間20コマかつAF/AE対応の高速連写ができるなど、ソニーが力を入れている、被写体への高速追従が可能なカメラ性能を実現している。
また映像撮影に関しても、やはりXperia 1 IVと同様に新しい動画撮影アプリ「Videography Pro」を搭載。YouTubeなどへのライブ配信に対応するなど、ライブ配信サービスの人気の高まりを意識した機能の充実が図られている。
さらに性能に関しても、やはりチップセットにハイエンド向けとなるクアルコム製の「Snapdragon 8 Gen 1」を搭載するなど、Xperia 1 IVとの統一化が図られている。こうした内容を見れば、Xperia 5 IVは確かに従来のモデルから順当な進化を遂げたといえるのだが、細かな性能を見ていくと、実は大きな変化が起きていることに気が付く。
順当進化の裏に潜む、大きな変化
それはコンパクト化によって、Xperia 1 IVからスペックダウンがなされた部分と、そうでない部分の違いだ。従来のXperia 5シリーズでも、画面の解像度がXpeira 1シリーズの特徴である4K画質ではなくフルHD+に落とされるなど、コンパクト化の影響によって性能を引き下げていた部分はいくつかあったのだが、Xperia 5 IVではそのメリハリの付け方が大きく変わっているのだ。
とりわけ大きく変わったと感じさせるのは、カメラである。従来のXperia 5シリーズでは、カメラの撮影体験を共通化するため、Xpeira 1シリーズと同じ性能のものを搭載することを重視してきたのだが、Xperia 5 IVでは望遠カメラの性能に明らかな違いが出ている。
Xperia 1 IVの望遠カメラは、焦点距離が35mm判換算で85〜125mm相当の光学ズームができることが大きな特徴となっている。だがXperia 5 IVの望遠カメラにはその機構が採用されず、焦点距離は60mmの固定となっている。カメラにこだわるソニーが、Xperia 5 IVでカメラ性能を落とすというのはやや意外な印象も受ける。
その一方、スペックダウンがなされなかったのがバッテリー容量である。Xperia 5シリーズはサイズが小さいだけに、Xperia 1シリーズよりバッテリー容量が少ない傾向にあったのだが、Xperia 5 IVはコンパクトさを維持しながらも、Xperia 1 IVと同じ5,000mAhのバッテリーを搭載しているのだ。
なぜこのような変更がなされたのかといえば、一つには、コンパクトモデルの利用者から不満が挙がりがちな、バッテリー容量の問題を解消したい狙いがあったためだろう。そしてもう一つは、Xperia 1 IVの望遠カメラを、Xperia 5 IVのボディにそのまま搭載することが難しいと判断したためではないかと考えられる。
というのもXperia 1 IVの望遠カメラは、レンズが動いて焦点距離が無段階に可変するという複雑な構造となっており、その分通常のカメラと比べて搭載するハードルも高いことから、コンパクトなXperia 5 IVに搭載するのは難しかったのではないかと考えられる。であればいっそ、望遠カメラは必要十分なものに抑え、その分バッテリー容量を増やすことでユーザーの満足度を高めることに注力したのではないだろうか。
そしてこのことは、ソニーがXperia 1シリーズとXpeira 5シリーズのカメラ性能を、必ずしも一致させなくてもよいと判断したことを示し、それが今後のXperiaシリーズのあり方にも大きな影響を与えるのではないかと筆者は見ている。より具体的に言えば、「Xperia 1シリーズのカメラが、今後大きく変わる可能性があるのではないか」ということだ。
Xperia 5シリーズと性能を合わせるという前提がなくなれば、より本体サイズが大きいXperia 1シリーズに搭載するカメラの自由度が高まる。それはカメラのレンズ、そしてイメージセンサーに、より大型のものを採用しやすくなることにもつながってくるわけだ。
Xperia 1シリーズに期待される機能・性能
そこで期待されるのは、やはり1インチサイズのイメージセンサーの搭載であろう。Xperiaシリーズでも既に、Xperia 1シリーズより上位の「Xperia PRO-I」で1インチセンサー搭載を実現しているし、最近ではシャープの「AQUOS R7」のように1インチセンサーを搭載した機種も徐々に増えてきている。
しかも、1インチセンサーを搭載したXiaomi(シャオミ)製の「Xiaomi 12S Ultra」(日本未発売)は、ソニー製の1インチイメージセンサー「IMX989」を搭載していることが明らかにされており、既にソニーはスマートフォン向けの1インチイメージセンサーを開発・提供している実績もある。こういった背景から、その1インチイメージセンサーを、カメラの大型化がしやすくなった次のXperia 1シリーズに搭載することが大いに期待される。
ただソニーはXperiaシリーズにおいて、被写体への高速追従などに強いこだわりを見せており、それを理由に高画素のイメージセンサーをあえて採用しないなど、スペックよりもバランスを重視してイメージセンサーを選ぶ傾向にある。
そうしたことから、性能だけで1インチのイメージセンサーを搭載するとは限らないが、Xperia 5シリーズとの共通化という前提が崩れた今、搭載の可能性が高まったことは確かといえるだろう。
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