カーオーディオの音質が次の領域に入った
国内最高峰のカーオーディオが集結!コンテスト優勝カーなど「オートメッセ大阪2023」の注目車両をレポート
アウディ「RS Q3」 tuned by AV Kansai
イタリアのaudisonやフランスのBLAMを扱うトライムは、アウディ「RS Q3」を展示した。ソース機器にiBasso AudioのDAP「DAP300APEX Ti」、audisonのDSP内蔵アンプ「AF M12.14bit」を使い、フロント3ウェイ、トゥイーターはBLAMの「TSM25MG70HR」、ミッドレンジは「MS3 Multix」、ミッドバスは「WS8 Multix」。さらにセンタースピーカー「MS3 Multix」とアウディ純正のリアスピーカーを駆動している。
ちなみに、audisonのBluetoothレシーバー「B-CON」を追加しており、スマホ等からワイヤレスで接続できる手軽さもポイントだ。
トライムスタッフの石井さんによると、本車両のコンセプトは、60Wx12chを実現したaudisonの新型DSPアンプ「AF M12.14bit」を利用して、スピーカー(合計10個)を鳴らすこと。アンプ内蔵DSPというコンパクトなモデルで、BLAMのフラグシップスピーカーをしっかりと駆動することも目標としたそうだ。
BLAMの20cmミッドの「WS8 Multix」をドアにインナーバッフルで取り付けているのもポイントだという。インストールを行ったのはAV Kansaiの宝塚店で、初めて本格的なカーオーディオに触れるユーザーさんにも喜んでもらえるようにサウンドチューニングしたそうだ。
本車両ではJ-POPや洋楽のポップスを中心に聴いた。クセのない帯域バランスを基軸としながらも、高域と低域のレベルをあえて若干上げ、陽性で楽しい音に仕上がっていた。もちろんセンター定位するボーカルの音像やサウンドステージの左右バランスなどの基本はきっちり押さえながらも、リズム感など音楽性の高さも印象的な車両だった。
BMW「M3」 tuned by AV Kansai
イタリアのクワトロリゴを扱うフェリース・ソニードは、BMW「M3」を展示。ソース機器には iBasso AudioのDAP「DAP300APEX Ti」を使用。DSPはBRAX「BRAX DSP(BLACK)」、トゥイーターはクワトロリゴの「Tempo 10」、ミッド/ミッドバスは「Tempo 35」、サブウーファーはaudison「ASP10D」。それぞれアンプは「Explorer one」×2 、「Heritage two」×2、「Heritage three」×2で駆動している。
インストールショップはこちらもAV Kansai。フェニース・ソニード代表の西川さんに当車両の音のコンセプトを聞くと、ひと言でいうと“普遍的な音を狙った”とのこと。「クワトロリゴのスピーカーが持つ素直な音をありのまま引き出すことを狙っています。アンプはミドルクラスの製品を中心に、AB級モデルとA級モデルを組み合わせて使っています」と語ってくれた。
本車両の出音だが、中高〜中音域の音に伸びがあり、オーディオ的尺度の性能だけではなく音楽性の高さも印象的だった。クリアでヌケのよいサウンドでありながら、しっかりとした厚みのある音色で、製作者のセンスの良さを感じた次第である。
三菱アウトランダーPHEV tuned by マリノサウンド
morelやARC audioを取り扱うジャンライン&パートナーズは三菱「アウトランダーPHEV」を展示した。
機材構成は、ソース機器にDAP SONYの「NW-WM1ZM2」、オーディオテクニカ「AT-HRD500」を介し、8チャンネルのDSP内蔵アンプARC audio「PS8-50」を使用する。スピーカー構成はフロント3ウェイでリアシートサイドにもウーファーを追加。トゥイーターはmorelの「ELATE CARBON ALTO」、ミッドレンジは「ELATE CARBON MM3」、ミッドバス/ウーファーに「ELATE CARBON MW6」、リアシートサイドのウーファーは、参考出品の「ELATE CARBON SW6」という構成である。
インストールは福井県敦賀市のマリノサウンドが担当している。数年前の「ヨーロピアンサウンド カーオーディオコンテスト」において彗星のように登場し話題をさらったショップである。インストーラー兼代表の岩崎潤一さんによると、アウトランダーは純正オーディオのクオリティが高いという。
「装着されているディスプレイオーディオの音がフラットで癖がなく、印象が良かったんです」と岩崎さんは嬉しそうに語ってくれる。アウトランダーはドア周りのスピーカーケーブル施工以外はインストールにおける苦労も少なく、オーディオが施工しやすい車両とのこと。
人気スピーカーメーカーのmorelのデモカーということで、同社のアイデンティティである「音楽を解き放て」をイメージして伸び伸びとした音を狙ったそうだ。「morelの音って時代時代で少し違うんです。以前は音色がウォームでゆったりとした音だったんですが、今は音が速くてリアリティも上がっているので、その音を表現することを狙っています」と岩崎さん。
実は本車両の完成は搬入日のギリギリ手前だったそうで、岩崎さんは取材前日の夜中までDSPをセッティングしていた。実際のサウンドクオリティについては、少し荒削りなところがあるものの、S/Nや分解能の高さを感じ、さらにセンター定位の明瞭さや音の飛び出しなど印象に残る部分も多かった。ダイナミックで堂々としたサウンドは岩崎さんの音作りの良さであり、本車両の将来も期待できそうだ。
今年もカーオーディオコンテストのシーズンが始まった。カーオーディオは装着するスピーカーやアンプなどのハードウェアに加え、音質を決めるチェックポイントに挙げられるのが、インストーラーの腕である。
今年のカーオーディオ市場のイントロダクションを担う大阪オートメッセは、注目のDSPを積んで新次元の音の領域に到達したジャガーF-TYPE クーペと、圧倒的な完成度のBMW X6が共演。多くの魅力的な車両の音が聴けた、大満足のイベントとなったことを報告したい。