新責任者のオリバー・メルラン氏が語る
今年のIFAは「CESにない強みを伸ばす」。激動する情勢のなか変わるIFA
世界最大級のエレクトロニクスショー「IFA」が、今年もドイツの首都ベルリンで、9月1日から5日までの5日間開催される。プレスデイは8月30日から2日間を予定する。
IFAは今年から、ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu)と、英国の見本市主催会社であるClarion Events傘下のグループ企業、IFA Managementが主催するイベントになる。展示会・見本市の会場は、従来通りベルリン市内のメッセ・ベルリンのホールがメインだ。
4月末にIFA Management主催によるオンラインプレスカンファレンスが開催され、同社のマネージング・ディレクターであるオリバー・メルラン氏が、現在までに決定しているIFA2023のコンセプトや出展の内容を説明した。
メルラン氏は「IFAはコンシューマーエレクトロニクスの分野で、世界で最も強い影響力を持っている。gfuとIFA Managementは今後もそのポジションを守り続ける」と宣言した。
周知の通り、毎年初にはアメリカのラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催されている。メルラン氏は「CESはIFAのライバル」であるとしながら、IFAの強みは「その年のクリスマスシーズンまでに発売を迎える商品やサービスを網羅するグローバルトレードショーであることと、一般来場者とも一体になった “フェスティバル” としての色彩をより強く持つイベントであること」を挙げた。そして「今年はエレクトロニクス分野の “イノベーション” を掘り下げる。世界中から多くのスタートアップが出展するイベントにしたい」と意気込みを語った。
IFAは2020年から世界に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、以降2度に渡ってオンラインプラットフォームを活用したり、従来と違う形でイベントを開催してきた。昨年は久しぶりに軸足をリアル開催にシフトしたが(IFA2022開幕のニュース)、当時はまだ日本を含む世界各地で海外への渡航制限があり、さらにロシアによるウクライナ侵攻の情勢不安定が折り重なったことから、IFAの開催期間中にベルリンまで足を運ぶことが困難だった。筆者もIFA2022の取材を断念した1人だ。
現在、パンデミックの方は落ち着きを見せてきたことから、今年は久しぶりにIFAの開催に合わせてベルリンに足を運べる可能性が高まりそうだ。
そうなると、IFA2023のコンテンツや出展する企業の顔ぶれが気になるところだ。オンラインプレスカンファレンスでは、IFAの概要が以下の通り発表された。
メルラン氏によると、IFA2023に出展を決めている参加社の数と、契約済み展示スペースの規模は、予約時点で既に2022年のそれを超えたという。大手企業では、BSH(ボッシュ/シーメンス)、ミーレ、LGやサムスンが出展に向けた最終調整に入った。日本から出展を予定する企業の名前はまだ明らかにされていない。なおIFAヘ新規出展する企業の割合は、昨年の22%から30%に拡大する。
ドイツ国外からIFA2023に出展を見込む海外企業の数は、中国やトルコ、米国のほか欧州近隣国が多い。中国の出展企業が多い背景としては、IFAの同時開催イベントである「IFA Global Markets」に多くのサプライヤー、OEM/ODM企業が集まるからだ。2023年もメッセ・ベルリンの会場内、もしくは近隣のイベントスペースでIFA Global Marketsの開催が予定されている。
展示の内容は従来通り、IT通信、オーディオビジュアルからホームアプライアンスまで、エレクトロニクスを幅広くカバーする。ほかにもゲーミングにAI、サステナビリティ、Women in Techなどにも積極的に領域を広げる。また、IFA2023には新たに「Gaming & eSports Arena」「House of Robots」「Digital Content」など特定のテーマに絞り込んだ展示エリアが加わる。
新規のテーマ展示スペースとして「Sustainability Village」もメッセ・ベルリンの会場内「ホール2」に設けられる。家電メーカーや関連する様々なサービスプロバイダーによる、エネルギーマネージメントへの取り組みが多数集まるようだ。
最先端のエレクトロニクスのトレンドについて、業界のリーダーを集めて、セミナーやパネルセッションなどカンファレンス形式のイベントを集中開催する「IFA+SUMMIT」は、名称を「IFA Leaders Summit」に変更する。既にAIやロボティクスなどの領域における欧州のキーパーソンが参加を決めている。欧州の人気YouTuberも登壇を予定する。
トレードビジターの来場を促進するため、サービスの質も高める。会場南側エントランスには、トレードビジターやジャーナリストがスムーズに入場できるよう、優先入場口を設ける。BtoBビジターが興味あるIFAの展示を素早く回れるように、テーマごとのガイドツアーも実施する。トレードビジターのためのラウンジスペースも従来通り用意される。
世界のスタートアップ企業が集まる「IFA NEXT」は、メッセ・ベルリンのなかで最も新しくキャパシティも大きい「ホール27」で開催する。アムステルダムに拠点を構えるベンチャー支援企業、The Next Webが、勢いのあるスタートアップを今年のIFA NEXTに呼び込むという。またドイツ・テレコム主催によるスタートアップのイベント「Berlin Start up Night」が、IFAにあわせて9月1日から開催されるようだ。ほかにもIFAの開催期間中は、Berlin Tech Weekとして、市内の様々な場所でプライベートイベントやコンサートが行われる予定だ。
IFAの運営体制が変わり、本格的なフルサイズ開催になることで、最先端のエレクトロニクスに関わるテーマがどう発信されるのか。参加する出展社、キーノートのプログラムなど、引き続きイベント本番に向けて明らかになる情報に注目したい。
IFAは今年から、ドイツ民生通信エレクトロニクス協会(gfu)と、英国の見本市主催会社であるClarion Events傘下のグループ企業、IFA Managementが主催するイベントになる。展示会・見本市の会場は、従来通りベルリン市内のメッセ・ベルリンのホールがメインだ。
4月末にIFA Management主催によるオンラインプレスカンファレンスが開催され、同社のマネージング・ディレクターであるオリバー・メルラン氏が、現在までに決定しているIFA2023のコンセプトや出展の内容を説明した。
■CESにはない「IFAの強み」を伸ばす
メルラン氏は「IFAはコンシューマーエレクトロニクスの分野で、世界で最も強い影響力を持っている。gfuとIFA Managementは今後もそのポジションを守り続ける」と宣言した。
周知の通り、毎年初にはアメリカのラスベガスで世界最大のエレクトロニクスショー「CES」が開催されている。メルラン氏は「CESはIFAのライバル」であるとしながら、IFAの強みは「その年のクリスマスシーズンまでに発売を迎える商品やサービスを網羅するグローバルトレードショーであることと、一般来場者とも一体になった “フェスティバル” としての色彩をより強く持つイベントであること」を挙げた。そして「今年はエレクトロニクス分野の “イノベーション” を掘り下げる。世界中から多くのスタートアップが出展するイベントにしたい」と意気込みを語った。
IFAは2020年から世界に拡大した新型コロナウイルス感染症の影響を受け、以降2度に渡ってオンラインプラットフォームを活用したり、従来と違う形でイベントを開催してきた。昨年は久しぶりに軸足をリアル開催にシフトしたが(IFA2022開幕のニュース)、当時はまだ日本を含む世界各地で海外への渡航制限があり、さらにロシアによるウクライナ侵攻の情勢不安定が折り重なったことから、IFAの開催期間中にベルリンまで足を運ぶことが困難だった。筆者もIFA2022の取材を断念した1人だ。
現在、パンデミックの方は落ち着きを見せてきたことから、今年は久しぶりにIFAの開催に合わせてベルリンに足を運べる可能性が高まりそうだ。
■今年のIFAに出展する企業は?
そうなると、IFA2023のコンテンツや出展する企業の顔ぶれが気になるところだ。オンラインプレスカンファレンスでは、IFAの概要が以下の通り発表された。
メルラン氏によると、IFA2023に出展を決めている参加社の数と、契約済み展示スペースの規模は、予約時点で既に2022年のそれを超えたという。大手企業では、BSH(ボッシュ/シーメンス)、ミーレ、LGやサムスンが出展に向けた最終調整に入った。日本から出展を予定する企業の名前はまだ明らかにされていない。なおIFAヘ新規出展する企業の割合は、昨年の22%から30%に拡大する。
ドイツ国外からIFA2023に出展を見込む海外企業の数は、中国やトルコ、米国のほか欧州近隣国が多い。中国の出展企業が多い背景としては、IFAの同時開催イベントである「IFA Global Markets」に多くのサプライヤー、OEM/ODM企業が集まるからだ。2023年もメッセ・ベルリンの会場内、もしくは近隣のイベントスペースでIFA Global Marketsの開催が予定されている。
展示の内容は従来通り、IT通信、オーディオビジュアルからホームアプライアンスまで、エレクトロニクスを幅広くカバーする。ほかにもゲーミングにAI、サステナビリティ、Women in Techなどにも積極的に領域を広げる。また、IFA2023には新たに「Gaming & eSports Arena」「House of Robots」「Digital Content」など特定のテーマに絞り込んだ展示エリアが加わる。
新規のテーマ展示スペースとして「Sustainability Village」もメッセ・ベルリンの会場内「ホール2」に設けられる。家電メーカーや関連する様々なサービスプロバイダーによる、エネルギーマネージメントへの取り組みが多数集まるようだ。
■世界の有力スタートアップが集うIFA NEXT
最先端のエレクトロニクスのトレンドについて、業界のリーダーを集めて、セミナーやパネルセッションなどカンファレンス形式のイベントを集中開催する「IFA+SUMMIT」は、名称を「IFA Leaders Summit」に変更する。既にAIやロボティクスなどの領域における欧州のキーパーソンが参加を決めている。欧州の人気YouTuberも登壇を予定する。
トレードビジターの来場を促進するため、サービスの質も高める。会場南側エントランスには、トレードビジターやジャーナリストがスムーズに入場できるよう、優先入場口を設ける。BtoBビジターが興味あるIFAの展示を素早く回れるように、テーマごとのガイドツアーも実施する。トレードビジターのためのラウンジスペースも従来通り用意される。
世界のスタートアップ企業が集まる「IFA NEXT」は、メッセ・ベルリンのなかで最も新しくキャパシティも大きい「ホール27」で開催する。アムステルダムに拠点を構えるベンチャー支援企業、The Next Webが、勢いのあるスタートアップを今年のIFA NEXTに呼び込むという。またドイツ・テレコム主催によるスタートアップのイベント「Berlin Start up Night」が、IFAにあわせて9月1日から開催されるようだ。ほかにもIFAの開催期間中は、Berlin Tech Weekとして、市内の様々な場所でプライベートイベントやコンサートが行われる予定だ。
IFAの運営体制が変わり、本格的なフルサイズ開催になることで、最先端のエレクトロニクスに関わるテーマがどう発信されるのか。参加する出展社、キーノートのプログラムなど、引き続きイベント本番に向けて明らかになる情報に注目したい。