PRビクター「HA-FX150T」を例に解説
【集中連載】イヤホン イコライザー基礎知識:第4回「“Q”とは? 全体を狙うかピンポイントを狙うか」
スマートフォンアプリから音質を細かくイコライジングできることも特徴であるビクターの完全ワイヤレスイヤホン「HA-FX150T」。ただ、イコライザーとは何者なのか? 理解しているようで実は少しあやふやな人もいるのでは? HA-FX150Tを例にとりながら、イコライザーの基礎知識や使いこなすコツを短期集中連載で解説します。
今回は「Q」のイコライジングについて解説。あまり聞き馴染みのない「Q」はどのように調整すればいいのか? ポイントを紹介します。
【関連記事】
・第1回「イコライザーって何?」
・第2回「周波数設定の自由度こそパライコの強み」
・第3回「ゲインを調整すると音はどう変わる?」
パラメトリックイコライザー、略してパライコの設定項目は、HA-FX150Tではそれぞれ、
●周波数=どの周波数を中心に
●ゲイン=どれほどの増減量
●Q=どれほどの周波数幅
です。今回は「Q」を説明していきましょう。
パライコの設定項目で言葉としていちばんわかりにくいのはこの「Q」かもしれません。「周波数」や「ゲイン」なら、パライコの設定項目としての意味はさておき、言葉自体の意味は初見でもわかりますよね。でも「Q」はいきなり一文字「Q」と言われても謎すぎです。
とはいえ「そもそも『Q』という言葉は云々」から説明すると話が長くなりますのでそこはすっ飛ばしまして、ここではいきなり「パライコにおけるQ」を説明します。「Q」とは、指定の周波数を中心にその上下どれくらいの幅の周波数までイコライジングするかの設定です。
「Q」については、変に工夫して言葉で説明しようとするより、最初から実例画面を目で見てもらった方がわかりやすいでしょう。
というわけで「Victor Headphones」アプリを起動。サウンドモード「CUSTOM 1」「CUSTOM 2」をそれぞれ、周波数とゲインは同じでQだけ違う以下のような設定にしてみてください。そしてイコライジングによる変化を示すグラフのカーブを見比べてみましょう。
<CUSTOM 1>
●周波数:3000Hz前後(3kHz前後)
●ゲイン:-6.0dB
●Q:0.6
<CUSTOM 2>
●周波数:3000Hz前後(3kHz前後)
●ゲイン:-6.0dB
●Q:4.0
Qが小さいCUSTOM 1はグラフの谷が広く、Qが大きいCUSTOM 2は谷が狭くなっています。周波数の設定は同じ3kHzでも、「Q:0.6」だと500Hzから10kHz超までの周波数帯が幅広く下げられるのに対して、「Q:4.0」では2kHzから5kHzあたりまでの狭い範囲がイコライジングされるのです。ちなみに同じく谷や山にたとえるなら、ゲインは谷の深さや山の高さ、周波数は谷底や山頂の位置でしょうか。
つまり、「Qとはイコライジングの効果範囲となる周波数の幅の設定」であり、「Qを小さくすればその幅は広く、Qを大きくすればその幅は狭くなる」というわけです。
ではその幅を広める/狭めると実際の音はどう違ってくるのでしょう? YOASOBI「アイドル」を聴きながらCUSTOM 1とCUSTOM 2を切り替えて確認してみましょう。
CUSTOM 1(Q:0.6、幅広)では音楽全体がソフトな雰囲気に変化。対してCUSTOM 2(Q:4、幅狭)では、音楽全体の印象の変化は最小限でありつつ、声や楽器の耳当たりの硬さはちゃんとソフトになる。そのように感じられませんか?
Qを下げて幅を広げると音楽全体の印象を変えやすくなり、Qを上げて幅を狭めるともっとピンポイントに各楽器の感触などを狙ったイコライジングをしやすくなる。そのような大まかな理解で当面はOKです。あと「Qを上げて幅を絞り込むと中心周波数の調整がシビアになるのでそのセッティングは玄人向け」というのも覚えておくとよいかもしれません。
次回はいよいよ最終回。周波数・ゲイン・Qのすべて、そして複数のイコライジングポイントを使っての、総合的なイコライジングの考え方を紹介していきます。
(提供:JVCケンウッド)
今回は「Q」のイコライジングについて解説。あまり聞き馴染みのない「Q」はどのように調整すればいいのか? ポイントを紹介します。
【関連記事】
・第1回「イコライザーって何?」
・第2回「周波数設定の自由度こそパライコの強み」
・第3回「ゲインを調整すると音はどう変わる?」
どれくらいの幅でイコライジングするか
パラメトリックイコライザー、略してパライコの設定項目は、HA-FX150Tではそれぞれ、
●周波数=どの周波数を中心に
●ゲイン=どれほどの増減量
●Q=どれほどの周波数幅
です。今回は「Q」を説明していきましょう。
パライコの設定項目で言葉としていちばんわかりにくいのはこの「Q」かもしれません。「周波数」や「ゲイン」なら、パライコの設定項目としての意味はさておき、言葉自体の意味は初見でもわかりますよね。でも「Q」はいきなり一文字「Q」と言われても謎すぎです。
とはいえ「そもそも『Q』という言葉は云々」から説明すると話が長くなりますのでそこはすっ飛ばしまして、ここではいきなり「パライコにおけるQ」を説明します。「Q」とは、指定の周波数を中心にその上下どれくらいの幅の周波数までイコライジングするかの設定です。
全体を狙うかピンポイントを狙うか
「Q」については、変に工夫して言葉で説明しようとするより、最初から実例画面を目で見てもらった方がわかりやすいでしょう。
というわけで「Victor Headphones」アプリを起動。サウンドモード「CUSTOM 1」「CUSTOM 2」をそれぞれ、周波数とゲインは同じでQだけ違う以下のような設定にしてみてください。そしてイコライジングによる変化を示すグラフのカーブを見比べてみましょう。
<CUSTOM 1>
●周波数:3000Hz前後(3kHz前後)
●ゲイン:-6.0dB
●Q:0.6
<CUSTOM 2>
●周波数:3000Hz前後(3kHz前後)
●ゲイン:-6.0dB
●Q:4.0
Qが小さいCUSTOM 1はグラフの谷が広く、Qが大きいCUSTOM 2は谷が狭くなっています。周波数の設定は同じ3kHzでも、「Q:0.6」だと500Hzから10kHz超までの周波数帯が幅広く下げられるのに対して、「Q:4.0」では2kHzから5kHzあたりまでの狭い範囲がイコライジングされるのです。ちなみに同じく谷や山にたとえるなら、ゲインは谷の深さや山の高さ、周波数は谷底や山頂の位置でしょうか。
つまり、「Qとはイコライジングの効果範囲となる周波数の幅の設定」であり、「Qを小さくすればその幅は広く、Qを大きくすればその幅は狭くなる」というわけです。
ではその幅を広める/狭めると実際の音はどう違ってくるのでしょう? YOASOBI「アイドル」を聴きながらCUSTOM 1とCUSTOM 2を切り替えて確認してみましょう。
CUSTOM 1(Q:0.6、幅広)では音楽全体がソフトな雰囲気に変化。対してCUSTOM 2(Q:4、幅狭)では、音楽全体の印象の変化は最小限でありつつ、声や楽器の耳当たりの硬さはちゃんとソフトになる。そのように感じられませんか?
Qを下げて幅を広げると音楽全体の印象を変えやすくなり、Qを上げて幅を狭めるともっとピンポイントに各楽器の感触などを狙ったイコライジングをしやすくなる。そのような大まかな理解で当面はOKです。あと「Qを上げて幅を絞り込むと中心周波数の調整がシビアになるのでそのセッティングは玄人向け」というのも覚えておくとよいかもしれません。
次回はいよいよ最終回。周波数・ゲイン・Qのすべて、そして複数のイコライジングポイントを使っての、総合的なイコライジングの考え方を紹介していきます。
(提供:JVCケンウッド)