【第132回】ミヤザキタケルの気軽にホームシネマ
オダギリジョー主演!『カラオケ行こ!』の山下敦弘監督が描く、壊れかけた男の再生の物語
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2016年公開の『オーバー・フェンス』をご紹介します!
◇
『オーバー・フェンス』(2016年・日本)
(配信: Amazon Prime Video / Hulu / U-NEXT)
『そこのみにて光輝く』『きみの鳥はうたえる』『夜、鳥たちが啼く』など、数々の作品が映画化されている佐藤泰志原作の短編作品を、『苦役列車』『カラオケ行こ!』などで知られる山下敦弘監督が映画化。妻子と別れ故郷・函館に戻り、職業訓練校に通いながら失業保険を頼りに淡々と日々を過ごす白岩(オダギリジョー)。同じ訓練校に通う代島(松田翔太)に誘われ渋々訪れたキャバクラで、鳥の動きを真似する風変わりなホステス・聡(蒼井優)と出会い徐々に心惹かれていく白岩であったが……。
長い人生、上手くいく時期もあれば上手くいかない時期もあり、白岩がそうであるように、ときには後者の時間が延々と続いているかのような感覚に陥ってしまう瞬間が訪れる。そして、そんなときこそ自分自身を見つめ直さざるを得なくなり、その向き合い方次第で歩んでいく道は変わるもの。問題を先延ばしにしつつも、聡との出会いを経て、別れた妻、聡、己自身と向き合い始める白岩。
迷いながらも、揺らぎながらも、自身の心に設けたフェンスを、他者の心に設けられたフェンスを、ありとあらゆるフェンスを飛び越えようと足掻いていく。その不器用で繊細な心模様に共感できるか否かで作品への没入度も変わってくると思うが、人生への行き詰まりを感じてもがいている人にこそご覧いただきたい作品です。きっとその心に寄り添ってくれるはずだから。
(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
『オーバー・フェンス』(2016年・日本)
(配信: Amazon Prime Video / Hulu / U-NEXT)
『そこのみにて光輝く』『きみの鳥はうたえる』『夜、鳥たちが啼く』など、数々の作品が映画化されている佐藤泰志原作の短編作品を、『苦役列車』『カラオケ行こ!』などで知られる山下敦弘監督が映画化。妻子と別れ故郷・函館に戻り、職業訓練校に通いながら失業保険を頼りに淡々と日々を過ごす白岩(オダギリジョー)。同じ訓練校に通う代島(松田翔太)に誘われ渋々訪れたキャバクラで、鳥の動きを真似する風変わりなホステス・聡(蒼井優)と出会い徐々に心惹かれていく白岩であったが……。
長い人生、上手くいく時期もあれば上手くいかない時期もあり、白岩がそうであるように、ときには後者の時間が延々と続いているかのような感覚に陥ってしまう瞬間が訪れる。そして、そんなときこそ自分自身を見つめ直さざるを得なくなり、その向き合い方次第で歩んでいく道は変わるもの。問題を先延ばしにしつつも、聡との出会いを経て、別れた妻、聡、己自身と向き合い始める白岩。
迷いながらも、揺らぎながらも、自身の心に設けたフェンスを、他者の心に設けられたフェンスを、ありとあらゆるフェンスを飛び越えようと足掻いていく。その不器用で繊細な心模様に共感できるか否かで作品への没入度も変わってくると思うが、人生への行き詰まりを感じてもがいている人にこそご覧いただきたい作品です。きっとその心に寄り添ってくれるはずだから。
(C)2016「オーバー・フェンス」製作委員会
※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。
ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。 |