評論家は「曲のどんなポイント」を聴いている?
ジャーニー、LE SSERAFIM、ブルーノ・マーズ……オーディオ評論家が試聴に使った2024年の曲はこれだ!【Part.3】
杉浦先生が執筆したレビュー記事はこちら
2023年を代表するJ-POP試聴曲はYOASOBI「アイドル」でしたが、2024年は間違いなくこれでしょう。1月に公開されるや否や、瞬く間にバズり倒したCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」。他の先生方も同じ楽曲を挙げているだろうことは承知の上で、存在感が強すぎてピックアップせざるを得ません。
リファレンスにする際のポイントは、メインのラップ、コーラス、真ん中に定位するリズムなど各レイヤーのメリハリ。あと強力なキック感と、そこに透明感がある今っぽいJ-POPサウンドの魅力がわかりやすいところ。 2024年のオーディオ試聴の際には、「とりあえずBling-Bang-Bang-Bornから再生しとくか…」という感じで、必ずと言って良いほど聴きました。大変お世話になりました。
2024年10月のリリース直後から世界的に大バズりしている、BLACKPINKのロゼとブルーノ・マーズのコラボ曲。上述の「Bling-Bang-Bang-Born」がそろそろリリースから1年経っちゃうので、その後釜として最近はこの「APT.」をよく再生しています。
ポイントはまず、ロゼとブルーノ・マーズ、トレンド感のある男女それぞれのボーカルを一気に聴けるところ。また、K-POPらしいダンサンブルなビートに、80年代っぽいレトロ感も兼ねているので(実際、元ネタは1981年にヒットしたトニー・ベイジル「Micky」ですし)、そういう“エモいハイブリッド感・グルーヴ感”の表現も聴きどころです。2025年初頭にかけてもずっと聴き続けそう。
「世界一とっつきやすいシューゲイザー」を自称する、2021年デビューの男女デュオ、The Otals(ジ・オタルズ)。個人的に、2024年に超ハマってヘビロテしたグループで、せっかくなら良い音で聴いてみたいので、オーディオ取材中によく再生させてもらっていました(ただの役得)。
元々はアイドルとのコラボ用に制作されたという本曲は、多幸感に満ちた明るいシューゲイザーサウンドのポップソング。しかしそこに響くギターにはどこか懐かしさが漂い、何とも言えずクセになります。そういう“世界観を再現する系”の機材と相性が良いので、そこをチェックしてます。サビで畳みかけてくるギターサウンドの“オルタナ的哀愁”、そしてデュルンと心地よくうねるベースの低音にどれだけ浸かれるかが肝です。