公開日 2009/06/12 12:20
マランツ、プリメインアンプ「PM-15S2」を発売 − 4年ぶりのモデルチェンジで大幅刷新
上位機種の技術を数多く搭載
マランツ コンシューマー マーケティングは、同社が2005年に発売した「PM-15S1」を約4年ぶりにモデルチェンジ。「PM-15S2」として6月下旬に発売する。価格は157,500円(税込)と据え置かれている。
■HDAM-SA3などの採用で「素顔美人になった」
本機は外観やスペックはPM-15S1とほぼ同様だが、内容は大幅にブラッシュアップが図られており、高級セパレートアンプやPM-11S2などの開発で培われた技術が数多く投入されている。
残念ながら今回は音を聴くことができなかったが、同社のアンプ設計に30年近く携わっている、D&Mホールディングス マランツ・ブランド 音質担当マネージャーの澤田龍一氏は「我々は4年間ただ無為に過ごしていたわけではなく、4年間技術やノウハウを磨いてきた。S1とS2で聞き比べると、一聴してすぐに音質が違うことがわかるはず」と自信を見せる。
最大の進化点は、プリアンプ段とパワー段からオペアンプを排除し、HDAM-SA3とHDAM-SA2を採用したフルディスクリート構成にしたこと。HDAM-SA3は、同社オリジナルの高速電圧増幅モジュール“HDAM”の最新バージョン。またボリュームコントロールICには、今回新たにMICRO ANALOG SYSTEMS社製の「MAS6116」を採用。このデバイスにHDAM-SA3とHDAM-SA2を採用した同社独自の電流帰還型アンプを組み合わせ、「リニアコントロールボリューム」として搭載している。ボリュームは0〜100dBまで、0.5dBステップで調整できる。
澤田氏は「通常のオペアンプではスルーレートが20V/μsec程度だが、HDAM-SA3ではこれが200V/μsec程度になる。トータルの回路スピードが桁違いに向上する」とその意義を強調。また「これまでは段ごとにスピードが異なるなどの問題があったが、今回はトータルでスピードのバランスが取れているため、いわゆる“素顔美人”になった」と前機種との違いを説明した。
■2重シールドのトランスなどノイズ対策を徹底
スピードの向上を音質向上に活かすため、ノイズ対策を徹底。これまでは電源トランスをそのまま配置していたが、今回は1.5mm厚の純アルミケースと、ケース内部のコアリングによる2重シールド構造により封入。トランスそのものの磁束漏洩はもともと少ないが、これをさらに抑えている。なお、トランス内部のリングコアは2段重ねとし、高比重の充填剤で封入。唸り音の発生を低減させている。
さらにケミコンも、容量は15S1と同じ15,000μFだが、本機専用にカスタマイズしたニチコン製の専用品を搭載した。PM-11S2に搭載されたものなどと同様、3分割巻構造を採用。素子固定材で3分割巻した電極箔をストレス無く支えることで、音質のゆとりを高めたほか、幅広のタブで電極箔と端子とを結んでいる。
さらにCD入力端子の直近には、CD専用の入力バッファーアンプを搭載。ここにもHDAM-SA2を採用することで、入力端子からの信号を低インピーダンス化。これによりチャンネル間や入力ソース間のクロストークを抑えている。
パワーアンプ部はこれもPM-11S2と同様に、V/Iサーボ方式の電流帰還型回路を採用。入力回路とDCサーボ回路はHDAM-SA2にさらにトランジスタを組み合わせ、オンボードのHDAM-SA3回路とすることで、PM-15S1と比べて瞬時電流供給能力を大幅に高め、スピーカーの駆動能力を高めている。澤田氏は「『このソースには絶妙に合う』といった製品ではなく、どんなソースでもオールマイティーに聴けるということ」と目指した音の方向性を説明する。
シャーシについては、1.2mm厚の綱板と3.0mm厚の黒塗装綱板からなるダブルレイヤー構造を採用。インシュレーターにはアルミダイキャストを用いている。内部レイアウトもPM-11S2と同じく、マランツ独自の、入力端子からスピーカー端子まで一貫した並行配置を採用。これにより両チャンネルの信号を同じ条件で伝送・増幅でき、チャンネル間のクロストークを低減させている。
■コンスタント・カレントフィードバック型フォノイコを搭載
本機が搭載するフォノイコライザーアンプは、プリアンプ「SA-11S1」と同様、コンスタント・カレントフィードバック型を採用。低域から高域までのNFB量を一定にすることで、音域による音質の変化を抑えた。MM/MC両方式に対応し、フロントパネルのボタンで切り替えが行える。
■AVアンプとのシステム共存も容易に
機能面では、PM-15S1にはなかったパワーアンプダイレクト入力端子を装備したことが特筆できる。これにより、AVアンプのプリアウトから本機の同端子に入力し、2chオーディオとサラウンドシステムでパワーアンプ部を共用することなどが可能となった。なお、逆に本機をプリアンプとして使用できるよう、プリアウト端子も備えている。
また、ディスプレイは蛍光表示管ではなく、液晶ディスプレイを搭載。ノイズの発生が少ないため音質にも有利となる。このディスプレイとブルーイルミネーションは表示を切ることも可能。
同社製品でおなじみの「F.C.B.S.」も採用。高速双方向通信によってシン本機と接続機器をシンクロコントロールし、最大4台、8チャンネルまでを一括制御できるという機能。たとえば本機を2台使ってコンプリートバイアンプとして使用したり、サラウンドシステムのパワーアンプとして本機を使用することなどの使い方ができる。
さらにアクティブフィルター型のトーンコントロール機能、電子式の左右バランス調整機能なども搭載。
全端子に金メッキ処理を施したほか、CD/PHONO入力端子は真鍮削り出し。スピーカーターミナルは独WBT社製を採用している。
【問い合わせ先】
(株)マランツ コンシューマー マーケティング
お客様ご相談センター
TEL/03-3719-3481
■HDAM-SA3などの採用で「素顔美人になった」
本機は外観やスペックはPM-15S1とほぼ同様だが、内容は大幅にブラッシュアップが図られており、高級セパレートアンプやPM-11S2などの開発で培われた技術が数多く投入されている。
残念ながら今回は音を聴くことができなかったが、同社のアンプ設計に30年近く携わっている、D&Mホールディングス マランツ・ブランド 音質担当マネージャーの澤田龍一氏は「我々は4年間ただ無為に過ごしていたわけではなく、4年間技術やノウハウを磨いてきた。S1とS2で聞き比べると、一聴してすぐに音質が違うことがわかるはず」と自信を見せる。
最大の進化点は、プリアンプ段とパワー段からオペアンプを排除し、HDAM-SA3とHDAM-SA2を採用したフルディスクリート構成にしたこと。HDAM-SA3は、同社オリジナルの高速電圧増幅モジュール“HDAM”の最新バージョン。またボリュームコントロールICには、今回新たにMICRO ANALOG SYSTEMS社製の「MAS6116」を採用。このデバイスにHDAM-SA3とHDAM-SA2を採用した同社独自の電流帰還型アンプを組み合わせ、「リニアコントロールボリューム」として搭載している。ボリュームは0〜100dBまで、0.5dBステップで調整できる。
澤田氏は「通常のオペアンプではスルーレートが20V/μsec程度だが、HDAM-SA3ではこれが200V/μsec程度になる。トータルの回路スピードが桁違いに向上する」とその意義を強調。また「これまでは段ごとにスピードが異なるなどの問題があったが、今回はトータルでスピードのバランスが取れているため、いわゆる“素顔美人”になった」と前機種との違いを説明した。
■2重シールドのトランスなどノイズ対策を徹底
スピードの向上を音質向上に活かすため、ノイズ対策を徹底。これまでは電源トランスをそのまま配置していたが、今回は1.5mm厚の純アルミケースと、ケース内部のコアリングによる2重シールド構造により封入。トランスそのものの磁束漏洩はもともと少ないが、これをさらに抑えている。なお、トランス内部のリングコアは2段重ねとし、高比重の充填剤で封入。唸り音の発生を低減させている。
さらにケミコンも、容量は15S1と同じ15,000μFだが、本機専用にカスタマイズしたニチコン製の専用品を搭載した。PM-11S2に搭載されたものなどと同様、3分割巻構造を採用。素子固定材で3分割巻した電極箔をストレス無く支えることで、音質のゆとりを高めたほか、幅広のタブで電極箔と端子とを結んでいる。
さらにCD入力端子の直近には、CD専用の入力バッファーアンプを搭載。ここにもHDAM-SA2を採用することで、入力端子からの信号を低インピーダンス化。これによりチャンネル間や入力ソース間のクロストークを抑えている。
パワーアンプ部はこれもPM-11S2と同様に、V/Iサーボ方式の電流帰還型回路を採用。入力回路とDCサーボ回路はHDAM-SA2にさらにトランジスタを組み合わせ、オンボードのHDAM-SA3回路とすることで、PM-15S1と比べて瞬時電流供給能力を大幅に高め、スピーカーの駆動能力を高めている。澤田氏は「『このソースには絶妙に合う』といった製品ではなく、どんなソースでもオールマイティーに聴けるということ」と目指した音の方向性を説明する。
シャーシについては、1.2mm厚の綱板と3.0mm厚の黒塗装綱板からなるダブルレイヤー構造を採用。インシュレーターにはアルミダイキャストを用いている。内部レイアウトもPM-11S2と同じく、マランツ独自の、入力端子からスピーカー端子まで一貫した並行配置を採用。これにより両チャンネルの信号を同じ条件で伝送・増幅でき、チャンネル間のクロストークを低減させている。
■コンスタント・カレントフィードバック型フォノイコを搭載
本機が搭載するフォノイコライザーアンプは、プリアンプ「SA-11S1」と同様、コンスタント・カレントフィードバック型を採用。低域から高域までのNFB量を一定にすることで、音域による音質の変化を抑えた。MM/MC両方式に対応し、フロントパネルのボタンで切り替えが行える。
■AVアンプとのシステム共存も容易に
機能面では、PM-15S1にはなかったパワーアンプダイレクト入力端子を装備したことが特筆できる。これにより、AVアンプのプリアウトから本機の同端子に入力し、2chオーディオとサラウンドシステムでパワーアンプ部を共用することなどが可能となった。なお、逆に本機をプリアンプとして使用できるよう、プリアウト端子も備えている。
また、ディスプレイは蛍光表示管ではなく、液晶ディスプレイを搭載。ノイズの発生が少ないため音質にも有利となる。このディスプレイとブルーイルミネーションは表示を切ることも可能。
同社製品でおなじみの「F.C.B.S.」も採用。高速双方向通信によってシン本機と接続機器をシンクロコントロールし、最大4台、8チャンネルまでを一括制御できるという機能。たとえば本機を2台使ってコンプリートバイアンプとして使用したり、サラウンドシステムのパワーアンプとして本機を使用することなどの使い方ができる。
さらにアクティブフィルター型のトーンコントロール機能、電子式の左右バランス調整機能なども搭載。
全端子に金メッキ処理を施したほか、CD/PHONO入力端子は真鍮削り出し。スピーカーターミナルは独WBT社製を採用している。
【問い合わせ先】
(株)マランツ コンシューマー マーケティング
お客様ご相談センター
TEL/03-3719-3481
関連リンク
- ジャンルプリメインアンプ
- ブランドMARANTZ
- 型番PM-15S2
- 発売日2009年6月下旬
- 価格¥157,500(税込)
●定格出力(20Hz〜20kHz両ch同時駆動):90W×2(8Ω)、140W×2(4Ω) ●全高調波歪率(20Hz〜20kHz両ch同時駆動、 8Ω負荷):0.05% ●周波数特性(CD、1W、8Ω負荷):5Hz - 100kHz±3dB ●PHONO最大許容入力:MC→15mV、MM→150mV ●入出力端子:PHONO入力1、LINE入力3、RECORDER入力2/出力2、プリアウト1、パワーアンプダイレクト入力1 ●消費電力(8Ω負荷時):220W ●最大外形寸法(本体):440W×123H×444Dmm ●質量(本体):18.5kg