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公開日 2006/06/29 11:08
【コピーワンスを考える】<読者放談会>わたしたちはコピーワンスに反対です!(前編)
「AVレビュー」4月号では、「デジタル放送のコピーフリー化は可能か」「『誰がためのテレビ?』コピーワンス問題をめぐって」と題し、ユーザーに大きな負担を強いているコピーワンス問題に対しての記事を掲載すると共に読者諸氏からの意見を募集した。フリーアンサー形式にも関わらず、読者諸氏からは熱いメッセージが届いた。今回は、実際にお答え頂いた読者代表4名での座談会を実施した。
複雑な要素が絡み合うコピーワンス問題に対し、録画で、ハイビジョン映像でいろいろな考えをお持ちの読者に、自分のスタイルを活かすという前提でいろいろ語って頂いた。今回の一連の報告と言う意味もあるが、実際にこう考えている人がいると言うことを感じて頂ければと思う。また今回の企画は専門誌として何ができるかの試金石である。(AVレビュー編集部)
<司会・進行 波瀬洸一>
デジタル放送に掛かっているコピーワンス問題を考える
波瀬: 今回は、デジタル放送にかかっている「コピーワンス」問題を考えてみたいと思います。
編集部: コピーワンスのせいでDVDレコーダーの普及が遅れているという意見が多いですね。この問題をなんとか解決して、正しい方向へと導いていきたいと僭越ながら考えています。
波瀬: では、まず簡単にAVライフを交えて自己紹介をしていただきたいと思います。
河島: ちょっと緊張しますね。住まいは横浜で弱電関係の仕事をしています。昨年「AVレビュー」さんの読者プレゼント企画で運よくDVDレコーダーを頂戴しまして、それでエアチェックさせていただいております。録画するときはムーブをしているんですが、どちらかというと、残しておきたい番組に関してはHDDよりもDVDに直接録画することが多いです。
波瀬: それはムーブで失敗する恐れがないからですか?
河島: 個人的にムーブでの失敗は僕自身ないのですが、一応失敗したときのことを考えてCPRMのDVD-RWで保存しています。
堀: 私も河島さんと同年代です。今はD-VHSでエアチェックしていまして、テープが200本ぐらいあるんですけど置き場所に困っています。DVDレコーダーをそろそろ買おうとは思っています。ただ次世代を待った方がいいのか、と考えると難しくて…。
波瀬: テープにしろディスクにしろ、なかなか最終形が見えませんからね。
堀: そうなんです。悩んだ挙句、結局は買えないまま困っている状態です。
近藤: 私は退職していますが、仕事のストレスがなくなってからは専ら映画鑑賞にいそしんでいます。HDDレコーダーは買いましたが、ハイビジョンの画質にこだわっています。
波瀬: DVDには落とさないんですか?
近藤: あまり気が進みませんね。保存をしたい番組はD-VHSに録るようにしています。今のストックは120本です。
MM: 私は、エアチェック歴はS-VHSが長いですね。今年になってようやくDVDレコーダーを購入しました。今までS-VHSで録画した映像資産をDVDにダビングする、という途方もなく時間のかかる作業をしている最中で、悪戦苦闘しているところです。ただ、よく考えるとDVDよりも、次世代レコーダーに移した方がいいんじゃないかな、と考えるときもあります。
波瀬: 本題に入る前に、まずオーディオの話から始めることにしましょうか。皆さん、1994年に実施されたシリアルコピーマネジメントシステム(※1)のことをご存知ですか?
編集部: 当時もコピーに対する議論が噴出しましたよね。
波瀬: そうでしたね。結果的には割とうまく治まった例ですね。
河島: 通常のCDではデジタルコピーは1回認められていますよね。
編集部: コピーしても元が残りますから。そこがデジタル放送の場合と異なりますよね。
河島: デジタル放送のコピーに関しては、HDDからDVDへムーブするとダウンコンバートされて、解像度が落ちますよね。それならばコピーフリーにするべきだと思います。ハイビジョンのまま次世代ディスクに記録するときには、バックアップの利くコピートワイスにすべきだと私は思います。
波瀬: なるほど。
河島: つまり、次世代ディスクにハイビジョンのまま録画されたディスクはもうそれ以上コピーができない。アナログでできたことがデジタルでできないという理由で、デジタルレコーダー導入に踏みきれないユーザーの方にも受け入れられると思うですが…。
堀: デジタル放送の場合は、オーディオと違って、余計に話が複雑になっているようですね。
近藤: デジタル放送のバックアップを取りたいとは思いますが、オーディオCDをコピーしようとはあまり考えないですね。コピーしたいと思うほどのCDもそんなにありませんから(笑)。それと、輸入盤でかなり安く手に入りますからね。音質にそれほどこだわらないものは、今のところパソコンのコピーでほとんど用が足りています。
波瀬: クオリティが高いオーディオフォーマット、SACDやDVDオーディオは、コピー回数はゼロなんですよ。パソコンに持っていこうが何をしようが、解凍ソフトを新たに作らない限りコピーはできません。DVD-ROMがそれと同じようにコピーの回数はゼロと定められています。
近藤: クオリティが高ければ高いほどコピーに対しての規制が厳しくなりますね。映像も音声も同じです。
波瀬: さて、放送の場合、コピーを全く認めないと、タイムシフトが事実上できなくなるのでレコーダーの実用性に矛盾が出てきます。ということで、1回だけはOKにしたんです。実は、放送局が考えたコピーワンスは保存する為ではなく、タイムシフトの為なのです。
近藤: しかし、こういうさまざまな制限を付けることが結果的には販路を狭めていると率直に思いますね。利用者の方でコピーをすることによってCD、DVDの売り上げが落ちるという懸念は、ほとんどないはずです。
河島: そうですよ。
近藤: CDがコピーのせいで売り上げが悪くなったわけではないでしょう。もっと別のところに原因があるのではないかという気がするんですけれども。むしろ、大いにコピーを認めて需要を喚起して、多くの人が簡単に利用できるようにしたほうが、よほど業界全体が活性化するのではないかと思います。暴論でしょうか?
河島: そんなことはないと思いますよ。
パッケージにならない放送番組をどうするか?
波瀬: ハイビジョン放送が普及し、コピーフリーにしてしまうと、海賊版が作られてDVDソフトの寿命が短くなってしまう、という考え方は確かにあるようですね。だから、コピー制限は必要だと。
編集部: 主張はわかるんですが、デジタルAV機器の普及を遅らせている要因なのも事実です。
波瀬: 確かに。そのコピーワンスは何のために用いられているかというと、タイムシフト用途のためです。それを元のクオリティのままアーカイブする為には、BDやHD DVDが必要になりますよね。
編集部: ええ。
波瀬: では、なぜBD、HD DVDはフルスペック保存が可能かといいますと、大容量であることももちろんですが、AACS(※2)という保護システムが確立されたことがポイントなのです。つまり、コンテンツ制作サイドも納得できるディスクがBD、HD DVDということなんですね。要するに、海賊版が出回る可能性がほとんどないというのがAACSの考え方なのです。
編集部: しかし、少数の不心得者のせいで、一般ユーザーが迷惑するのは不当な話ですね。
波瀬: 皆さんのコピーワンスに対するご意見をお聞かせください。
河島: デジタル放送の信号形態は1080iで流されてはいますが、実際には4対3のSD画質で放送されている番組も非常に多いですよね。こんなクオリティの低い番組になぜコピー制限をかける必要があるのかと思うこともあります。
波瀬: コピーする価値がないような番組に、制限をかけてもしょうがないですよね(笑)。もっともなご意見です。
河島: 実際に「ワイド」と書いておきながら、番組タイトルだけワイドのハイビジョン画質で、あとは全部SDというヒドイものもあります。
波瀬: なるほど(笑)。
MM: でも、NHKハイビジョンは質が高いですよね。演劇もそうですし、音楽とか、ドキュメンタリーが圧倒的にいいですね。他の放送局と比べると、「これは同じテレビなのか!」と思ってしまうことがありますね。
堀: だから、全部の番組に対して同じコピーワンスをかけること自体、非常にばかげたことなんですよ!
近藤: 特殊な制限をしない方がいいと思うんです。この際、今後5年間は全ての番組を無料にして、コピーは何回でもできるようにするべきです。今はまずデジタル放送の土壌を広げるのが一番大事なはずですから。それと、もっと良心的な番組をつくるべきですよ。
堀: なんで日本だけこういう制限をしているのでしょう? アメリカは制限がないのに…。
波瀬: 日本人は「まじめ」だからという説もあるようですが(笑)。
(後編に続く)
※1)シリアルコピーマネジメントシステム(SCMS)
デジタル録音の最大のメリットは、データの劣化をおこさないことだが、コピーの増殖を防ぐため、DATやMDなどの各種デジタルオーディオ機器間では、著作権保護の立場から「デジタル信号をデジタル信号のままで録音する」場合のコピーを「1世代まで」に規制している。この技術をシリアルコピーマネジメントシステム(=SCMS)という。
※2)AACS
「Advanced Access Content System License Administrator(AACS LA)」によって策定されたPCや家電向けのデジタルコンテンツ管理技術の仕様。再生専用光ディスクに対するコンテンツ保護だけでなく、契約の許諾に従って記録型光ディスクにコンテンツを記録することもサポートしている。さらに、AACSにより、オフラインまたはネットワーク環境内におけるコンテンツのアクセス、コントロールや、相互操作性を通じた伝送が向上する。AACSは、高度で実績のある暗号化方式によって他のコンテンツ保護技術と連携し、次世代光ディスクの無断複製や無断配布を防止すると共に、エンドユーザは契約で許諾された範囲内で再生専用映画タイトルをホーム メディア サーバーのハード ドライブや記録型メディアに保存できる。
【ご参加いただいた読者の方々】
河島 寿正さん
AV歴28年、オーディオ歴も含めると32年のキャリアを持つヘビーユーザーの河島さん。AVをはじめたきっかけは、高校生の時、アルバイトで貯めたお金で購入したVHSの初号機から。幸運にも弊誌のプレゼント企画でDVDレコーダーをゲットし、主に格闘技やオリンピックのスポーツ番組を録り溜めているという。録画方法はHDDではなく、ダイレクトにDVDメディアに保存、映画はほとんどパッケージソフトを購入している。
堀 隆史さん
AV歴25年、大学の頃に購入したβデッキからのめり込む。当時は、保存して残すというよりも、観たい番組(『なるほど!ザ・ワールド』)をタイムシフトして活用していたという。ご自宅にハイビジョン番組を録画した200本ものD-VHSテープをコレクトするエアチェックマニア。現在、次の保存先として次世代レコーダーを待つべきか、ハイビジョン対応のHDD&DVDレコーダーをつなぎとして買うべきか、堀さんの苦悩は続く。
近藤 承神子さん
DVD600枚(LDも同数保有していたが処分)、録り溜めたD-VHS120本、CDとアナログレコード各1200枚を保有するオーディオ歴47年、AV歴20年の大ベテランの近藤さん(もっぱら映画を録画)。ハイビジョン番組の録画はHDD&DVDレコーダーとD-VHSで使い分けている。退職後の現在は、ソニーのフルHDプロジェクターVPL-VW100と7.1chサラウンドが稼動する極上のホームシアターで映画三昧の日々を送っている。
MMさん
高校生の頃からオーディオに興味を持ち、大学生時代購入したボーズのスピーカーシステムは現在4代目、LDプレーヤー、ビデオデッキは4台とライフスタイルに合わせて機器をバージョンアップ。LDソフトはダンボール4箱分を二年前全て処分し今はDVDを蒐集中。S-VHSのエアチェック歴が長かったが、最近ようやくHDD&DVDレコーダーを購入。S-VHSで録り溜めたソースをHDDに移し、さらにDVDに落す悪戦苦闘が続いている。ハイビジョン放映を毎日楽しんでいるが、DVDに落としきれずにいる。
<月刊「AVレビュー」7月号所収記事を転載しました>
複雑な要素が絡み合うコピーワンス問題に対し、録画で、ハイビジョン映像でいろいろな考えをお持ちの読者に、自分のスタイルを活かすという前提でいろいろ語って頂いた。今回の一連の報告と言う意味もあるが、実際にこう考えている人がいると言うことを感じて頂ければと思う。また今回の企画は専門誌として何ができるかの試金石である。(AVレビュー編集部)
<司会・進行 波瀬洸一>
デジタル放送に掛かっているコピーワンス問題を考える
波瀬: 今回は、デジタル放送にかかっている「コピーワンス」問題を考えてみたいと思います。
編集部: コピーワンスのせいでDVDレコーダーの普及が遅れているという意見が多いですね。この問題をなんとか解決して、正しい方向へと導いていきたいと僭越ながら考えています。
波瀬: では、まず簡単にAVライフを交えて自己紹介をしていただきたいと思います。
河島: ちょっと緊張しますね。住まいは横浜で弱電関係の仕事をしています。昨年「AVレビュー」さんの読者プレゼント企画で運よくDVDレコーダーを頂戴しまして、それでエアチェックさせていただいております。録画するときはムーブをしているんですが、どちらかというと、残しておきたい番組に関してはHDDよりもDVDに直接録画することが多いです。
波瀬: それはムーブで失敗する恐れがないからですか?
河島: 個人的にムーブでの失敗は僕自身ないのですが、一応失敗したときのことを考えてCPRMのDVD-RWで保存しています。
堀: 私も河島さんと同年代です。今はD-VHSでエアチェックしていまして、テープが200本ぐらいあるんですけど置き場所に困っています。DVDレコーダーをそろそろ買おうとは思っています。ただ次世代を待った方がいいのか、と考えると難しくて…。
波瀬: テープにしろディスクにしろ、なかなか最終形が見えませんからね。
堀: そうなんです。悩んだ挙句、結局は買えないまま困っている状態です。
近藤: 私は退職していますが、仕事のストレスがなくなってからは専ら映画鑑賞にいそしんでいます。HDDレコーダーは買いましたが、ハイビジョンの画質にこだわっています。
波瀬: DVDには落とさないんですか?
近藤: あまり気が進みませんね。保存をしたい番組はD-VHSに録るようにしています。今のストックは120本です。
MM: 私は、エアチェック歴はS-VHSが長いですね。今年になってようやくDVDレコーダーを購入しました。今までS-VHSで録画した映像資産をDVDにダビングする、という途方もなく時間のかかる作業をしている最中で、悪戦苦闘しているところです。ただ、よく考えるとDVDよりも、次世代レコーダーに移した方がいいんじゃないかな、と考えるときもあります。
波瀬: 本題に入る前に、まずオーディオの話から始めることにしましょうか。皆さん、1994年に実施されたシリアルコピーマネジメントシステム(※1)のことをご存知ですか?
編集部: 当時もコピーに対する議論が噴出しましたよね。
波瀬: そうでしたね。結果的には割とうまく治まった例ですね。
河島: 通常のCDではデジタルコピーは1回認められていますよね。
編集部: コピーしても元が残りますから。そこがデジタル放送の場合と異なりますよね。
河島: デジタル放送のコピーに関しては、HDDからDVDへムーブするとダウンコンバートされて、解像度が落ちますよね。それならばコピーフリーにするべきだと思います。ハイビジョンのまま次世代ディスクに記録するときには、バックアップの利くコピートワイスにすべきだと私は思います。
波瀬: なるほど。
河島: つまり、次世代ディスクにハイビジョンのまま録画されたディスクはもうそれ以上コピーができない。アナログでできたことがデジタルでできないという理由で、デジタルレコーダー導入に踏みきれないユーザーの方にも受け入れられると思うですが…。
堀: デジタル放送の場合は、オーディオと違って、余計に話が複雑になっているようですね。
近藤: デジタル放送のバックアップを取りたいとは思いますが、オーディオCDをコピーしようとはあまり考えないですね。コピーしたいと思うほどのCDもそんなにありませんから(笑)。それと、輸入盤でかなり安く手に入りますからね。音質にそれほどこだわらないものは、今のところパソコンのコピーでほとんど用が足りています。
波瀬: クオリティが高いオーディオフォーマット、SACDやDVDオーディオは、コピー回数はゼロなんですよ。パソコンに持っていこうが何をしようが、解凍ソフトを新たに作らない限りコピーはできません。DVD-ROMがそれと同じようにコピーの回数はゼロと定められています。
近藤: クオリティが高ければ高いほどコピーに対しての規制が厳しくなりますね。映像も音声も同じです。
波瀬: さて、放送の場合、コピーを全く認めないと、タイムシフトが事実上できなくなるのでレコーダーの実用性に矛盾が出てきます。ということで、1回だけはOKにしたんです。実は、放送局が考えたコピーワンスは保存する為ではなく、タイムシフトの為なのです。
近藤: しかし、こういうさまざまな制限を付けることが結果的には販路を狭めていると率直に思いますね。利用者の方でコピーをすることによってCD、DVDの売り上げが落ちるという懸念は、ほとんどないはずです。
河島: そうですよ。
近藤: CDがコピーのせいで売り上げが悪くなったわけではないでしょう。もっと別のところに原因があるのではないかという気がするんですけれども。むしろ、大いにコピーを認めて需要を喚起して、多くの人が簡単に利用できるようにしたほうが、よほど業界全体が活性化するのではないかと思います。暴論でしょうか?
河島: そんなことはないと思いますよ。
パッケージにならない放送番組をどうするか?
波瀬: ハイビジョン放送が普及し、コピーフリーにしてしまうと、海賊版が作られてDVDソフトの寿命が短くなってしまう、という考え方は確かにあるようですね。だから、コピー制限は必要だと。
編集部: 主張はわかるんですが、デジタルAV機器の普及を遅らせている要因なのも事実です。
波瀬: 確かに。そのコピーワンスは何のために用いられているかというと、タイムシフト用途のためです。それを元のクオリティのままアーカイブする為には、BDやHD DVDが必要になりますよね。
編集部: ええ。
波瀬: では、なぜBD、HD DVDはフルスペック保存が可能かといいますと、大容量であることももちろんですが、AACS(※2)という保護システムが確立されたことがポイントなのです。つまり、コンテンツ制作サイドも納得できるディスクがBD、HD DVDということなんですね。要するに、海賊版が出回る可能性がほとんどないというのがAACSの考え方なのです。
編集部: しかし、少数の不心得者のせいで、一般ユーザーが迷惑するのは不当な話ですね。
波瀬: 皆さんのコピーワンスに対するご意見をお聞かせください。
河島: デジタル放送の信号形態は1080iで流されてはいますが、実際には4対3のSD画質で放送されている番組も非常に多いですよね。こんなクオリティの低い番組になぜコピー制限をかける必要があるのかと思うこともあります。
波瀬: コピーする価値がないような番組に、制限をかけてもしょうがないですよね(笑)。もっともなご意見です。
河島: 実際に「ワイド」と書いておきながら、番組タイトルだけワイドのハイビジョン画質で、あとは全部SDというヒドイものもあります。
波瀬: なるほど(笑)。
MM: でも、NHKハイビジョンは質が高いですよね。演劇もそうですし、音楽とか、ドキュメンタリーが圧倒的にいいですね。他の放送局と比べると、「これは同じテレビなのか!」と思ってしまうことがありますね。
堀: だから、全部の番組に対して同じコピーワンスをかけること自体、非常にばかげたことなんですよ!
近藤: 特殊な制限をしない方がいいと思うんです。この際、今後5年間は全ての番組を無料にして、コピーは何回でもできるようにするべきです。今はまずデジタル放送の土壌を広げるのが一番大事なはずですから。それと、もっと良心的な番組をつくるべきですよ。
堀: なんで日本だけこういう制限をしているのでしょう? アメリカは制限がないのに…。
波瀬: 日本人は「まじめ」だからという説もあるようですが(笑)。
(後編に続く)
※1)シリアルコピーマネジメントシステム(SCMS)
デジタル録音の最大のメリットは、データの劣化をおこさないことだが、コピーの増殖を防ぐため、DATやMDなどの各種デジタルオーディオ機器間では、著作権保護の立場から「デジタル信号をデジタル信号のままで録音する」場合のコピーを「1世代まで」に規制している。この技術をシリアルコピーマネジメントシステム(=SCMS)という。
※2)AACS
「Advanced Access Content System License Administrator(AACS LA)」によって策定されたPCや家電向けのデジタルコンテンツ管理技術の仕様。再生専用光ディスクに対するコンテンツ保護だけでなく、契約の許諾に従って記録型光ディスクにコンテンツを記録することもサポートしている。さらに、AACSにより、オフラインまたはネットワーク環境内におけるコンテンツのアクセス、コントロールや、相互操作性を通じた伝送が向上する。AACSは、高度で実績のある暗号化方式によって他のコンテンツ保護技術と連携し、次世代光ディスクの無断複製や無断配布を防止すると共に、エンドユーザは契約で許諾された範囲内で再生専用映画タイトルをホーム メディア サーバーのハード ドライブや記録型メディアに保存できる。
【ご参加いただいた読者の方々】
河島 寿正さん
AV歴28年、オーディオ歴も含めると32年のキャリアを持つヘビーユーザーの河島さん。AVをはじめたきっかけは、高校生の時、アルバイトで貯めたお金で購入したVHSの初号機から。幸運にも弊誌のプレゼント企画でDVDレコーダーをゲットし、主に格闘技やオリンピックのスポーツ番組を録り溜めているという。録画方法はHDDではなく、ダイレクトにDVDメディアに保存、映画はほとんどパッケージソフトを購入している。
堀 隆史さん
AV歴25年、大学の頃に購入したβデッキからのめり込む。当時は、保存して残すというよりも、観たい番組(『なるほど!ザ・ワールド』)をタイムシフトして活用していたという。ご自宅にハイビジョン番組を録画した200本ものD-VHSテープをコレクトするエアチェックマニア。現在、次の保存先として次世代レコーダーを待つべきか、ハイビジョン対応のHDD&DVDレコーダーをつなぎとして買うべきか、堀さんの苦悩は続く。
近藤 承神子さん
DVD600枚(LDも同数保有していたが処分)、録り溜めたD-VHS120本、CDとアナログレコード各1200枚を保有するオーディオ歴47年、AV歴20年の大ベテランの近藤さん(もっぱら映画を録画)。ハイビジョン番組の録画はHDD&DVDレコーダーとD-VHSで使い分けている。退職後の現在は、ソニーのフルHDプロジェクターVPL-VW100と7.1chサラウンドが稼動する極上のホームシアターで映画三昧の日々を送っている。
MMさん
高校生の頃からオーディオに興味を持ち、大学生時代購入したボーズのスピーカーシステムは現在4代目、LDプレーヤー、ビデオデッキは4台とライフスタイルに合わせて機器をバージョンアップ。LDソフトはダンボール4箱分を二年前全て処分し今はDVDを蒐集中。S-VHSのエアチェック歴が長かったが、最近ようやくHDD&DVDレコーダーを購入。S-VHSで録り溜めたソースをHDDに移し、さらにDVDに落す悪戦苦闘が続いている。ハイビジョン放映を毎日楽しんでいるが、DVDに落としきれずにいる。
<月刊「AVレビュー」7月号所収記事を転載しました>