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公開日 2007/09/06 16:25
「iPod touch」にタッチしてきました − “電話機能なしiPhone”の完成度は?
待ち望んでいた方も多いだろう。「iPhoneから電話機能を省いた新型iPodが出る」という話は以前から様々なサイトで紹介されていたが、本日発表されたiPod touchは、その噂通りの仕様で登場した。都内で行われた新製品披露会で製品を触ってきたので、早速その印象を報告しよう。
iPod touchは、一見したところ、iPhoneと非常にデザインが似通っているが、サイズは微妙に異なる。iPod touchは61.8W×110H×8Dmmで、iPhoneは61W×115H×11.6Dmm。質量はiPod touchの120gに対してiPhoneは135g。iPod touchが一回り小さく、軽い。実際に手に取ってみると、予想以上にコンパクトにまとまっているという印象を受けた。もちろん、52.3W×69.8H×6.5Dmmの新iPod nanoと比べたらはるかに大きいわけだが。
デザインについても、iPhoneはサイドのシルバーメッキが前面まで回り込んでいるが、iPod touchは前から見るとほとんど黒一色(実はエッジ部がうっすらとシルバーで塗装されているが)で、よりシンプルな印象を受ける。サイド、裏面はシリーズおなじみの鏡面仕上げで、指紋が付きやすいのも相変わらず。神経質な方はクロスを一緒に携行するのが良いだろう。Dockコネクターとヘッドホンジャックは本体底部に装備している。
画面サイズと解像度はiPhoneと同じで、3.5インチ、320×480ドット。本体のほとんどを占める巨大なディスプレイは“未来”を感じさせる。解像感は高く、動画や静止画の表示品位も上々だ。
使用しているOSはMac OS Xで、GUIもほぼ同じ。メニュー画面へは、本体下部のホームボタンを押すと、どこにいても即座に戻ることができる。
メニュー画面は上部に各種アプリケーションを表示し、下部に「ミュージック」「ビデオ」「写真」「iTunes」など、音楽・映像再生関連のメニューが並ぶ構成。なお、上部の各種アプリは、現在のところ、「Safari」「YouTube」「カレンダー」「連絡先」「時計」「計算機」「設定」の7つ。まだまだスペース的には空きがあるだけに、今後の新アプリ登場にも期待したいところだ。
音楽再生時は、曲単位、アルバム単位、アーティスト単位などでリストを表示。ディスプレイの上に指を添え、軽く滑らすと画面がスクロールする。右側にはアルファベットが表示され、タップするとその文字部分にリストを移動できるが、文字サイズが非常に小さいため、正確にタップするのが難しい。指を置いた際、Mac OS Xの「Dock」のように、自動的にアイコンが大きくなるなどのギミックが欲しいところだ。
ジャケット写真をずらりと並べ、3D風に表示する“CoverFlow”機能にも、もちろん対応。本体を横向きにすると加速度センサーで検知し、自動的にCoverFlow表示に切り替わる。画面サイズが大きく、かつ解像度も高いため、この機能の実用性は高い。
なお、本機は音楽再生以外にも様々な機能を搭載しているため、当然のことながら、バックグラウンドで音楽再生が可能。バックグラウンド再生時に、現在流れている曲の情報が見たくなったり、スキップ再生などを行いたくなったら、ホームボタンをダブルクリックすると、前面に音楽プレーヤーのミニウィンドウがオーバーレイ表示される。
なお、本機はIEEE802.11b/gのWi-Fi機能を備えており、無線LANを経由し、本体のみでiTunes Storeの楽曲購入が行えるが、残念ながらまだWi-Fi用のiTunes Storeが準備中で、日本版の画面を確認することはできなかった。
動画再生も試してみた。リスト表示の際、サムネイルが大きく表示するので、目的の動画を探しやすいのが好印象。再生時も、横向きにすると画面が大きい本機のメリットを最大限活かすことができる。
写真再生に関しては非常に好印象を受けた。サムネイル表示時のスクロールが軽快で、スライドショー再生時は、指で写真を左右に弾くと、前後の写真に移動できる。この移動時のアニメーションは、動き始めは少しゆっくりしており、そして止まるときには少し戻るなど、慣性を感じさせるもので、癖になる気持ちよさだ。そして、iPhoneでユーザーを驚かせた、画面を2本指で押さえて広げると拡大、逆側に動かすと縮小する機能は、本機も踏襲。拡大後は、指を動かすと任意の位置へ画像をスクロールできる。この一連の操作は非常に高速に動き、携帯機器で写真を見ていることを感じさせない。
「Safari」を使ったウェブブラウジングもレポートしよう。まず全体的な印象は、すでにiPhoneのレビューなどで書かれている通り、ポータブル機器としてはキビキビとページ表示を行い、かつ前述の写真と同じスムーズな動作で画面の拡大・縮小が行えるので、ブックマークしておいたページをチェックする程度なら、かなり便利に使えるだろう。ただし、頻繁に検索を行ったり、文字入力を行ったりする場合は、ソフトウェアキーボードの使い勝手が問題になる可能性がある。
キーボードの使い勝手の評価は個人差が大きく、かつ慣れの問題もあるだろうが、縦画面でキーボードを使う場合は、横幅が狭いので、目当てのキーをタッチするのが非常に困難だ。説明員に教えられたとおり、一度画面を指で押さえ、間違えたらそのまま指を滑らせて目的のキーを押さえ直し、さらに離すという操作を行えば、タイプミス自体は減るが、これまで体験したことのない操作間隔で、当然ながらキーの打鍵感もないため、少々ストレスを感じる。
iPhoneは北米のみでの発売のため、日本語入力はできなかったが、iPod touchでは当然のことながら対応している。予測文字入力機能も備える。変換ソフトはアップル伝統の「ことえり」ではなく、別のものとのことだが、製造元などは非公表とのこと。日本語入力は英語入力よりさらに難しい。キーを選択した際のアニメーションが無いので、果たしてキー入力が正確に行えたのか、どこまで文字を打ったのかがわかりづらい。しかも、予測文字列は黒バックに白地で表示されるのだが、これが非常に視認しづらく感じた。なお、iPhoneは文字列をコピー&ペーストすることができないが、これはiPod touchでも同様だ。
ただし、今のところiPod touchにはメーラーもなく、また文書作成ソフトも用意されていない。長文を打つアプリケーションが用意されていない以上、文字入力機能はこの程度でも許容範囲と言えるかもしれない。だが、将来的にこれらのアプリケーションが用意されるとしたら、コピー&ペーストにも対応する必要が出てくるだろうし、この文字入力機能は改善が必須となるだろう。
そのほか、カレンダー機能やアドレス帳などは、画面の大きさが利便性につながるソフトだけに、iPod touchではさらに使い出があるだろう。また、個人的に気に入ったのが電卓機能。ボタンサイズや表示部などの大きさが本物の電卓と同程度なので、まったく違和感なしに使うことができる。
iPod touchのファーストインプレッションを駆け足でお伝えした。文字入力機能には少々不満を覚えるが、各機能の完成度は高く、さらに画面の拡大縮小機能などはこれまでに体験したことのない新鮮さを感じる。先進のユーザーインターフェースをいち早く体験したいという方や、iPhoneの国内発売を待ち焦がれていたユーザーには非常に魅力的な製品だろう。
ただし、たとえばウェブブラウジングは、今やたいていの携帯電話やゲーム機などで行うことができる。スケジュールや連絡先の管理なども同様だ。洗練されたGUIやキビキビとした動作など、iPod touchならではの付加価値にどれだけお金をかけられるかが、購入を検討する際の判断基準になるだろう。これらの付加機能を省いたiPod nanoとの価格差が大きいだけに、iPod touchがどれだけユーザーに受け入れられるか、大変興味深い。
(Phile-web編集部・風間)
iPod touchは、一見したところ、iPhoneと非常にデザインが似通っているが、サイズは微妙に異なる。iPod touchは61.8W×110H×8Dmmで、iPhoneは61W×115H×11.6Dmm。質量はiPod touchの120gに対してiPhoneは135g。iPod touchが一回り小さく、軽い。実際に手に取ってみると、予想以上にコンパクトにまとまっているという印象を受けた。もちろん、52.3W×69.8H×6.5Dmmの新iPod nanoと比べたらはるかに大きいわけだが。
デザインについても、iPhoneはサイドのシルバーメッキが前面まで回り込んでいるが、iPod touchは前から見るとほとんど黒一色(実はエッジ部がうっすらとシルバーで塗装されているが)で、よりシンプルな印象を受ける。サイド、裏面はシリーズおなじみの鏡面仕上げで、指紋が付きやすいのも相変わらず。神経質な方はクロスを一緒に携行するのが良いだろう。Dockコネクターとヘッドホンジャックは本体底部に装備している。
画面サイズと解像度はiPhoneと同じで、3.5インチ、320×480ドット。本体のほとんどを占める巨大なディスプレイは“未来”を感じさせる。解像感は高く、動画や静止画の表示品位も上々だ。
使用しているOSはMac OS Xで、GUIもほぼ同じ。メニュー画面へは、本体下部のホームボタンを押すと、どこにいても即座に戻ることができる。
メニュー画面は上部に各種アプリケーションを表示し、下部に「ミュージック」「ビデオ」「写真」「iTunes」など、音楽・映像再生関連のメニューが並ぶ構成。なお、上部の各種アプリは、現在のところ、「Safari」「YouTube」「カレンダー」「連絡先」「時計」「計算機」「設定」の7つ。まだまだスペース的には空きがあるだけに、今後の新アプリ登場にも期待したいところだ。
音楽再生時は、曲単位、アルバム単位、アーティスト単位などでリストを表示。ディスプレイの上に指を添え、軽く滑らすと画面がスクロールする。右側にはアルファベットが表示され、タップするとその文字部分にリストを移動できるが、文字サイズが非常に小さいため、正確にタップするのが難しい。指を置いた際、Mac OS Xの「Dock」のように、自動的にアイコンが大きくなるなどのギミックが欲しいところだ。
ジャケット写真をずらりと並べ、3D風に表示する“CoverFlow”機能にも、もちろん対応。本体を横向きにすると加速度センサーで検知し、自動的にCoverFlow表示に切り替わる。画面サイズが大きく、かつ解像度も高いため、この機能の実用性は高い。
なお、本機は音楽再生以外にも様々な機能を搭載しているため、当然のことながら、バックグラウンドで音楽再生が可能。バックグラウンド再生時に、現在流れている曲の情報が見たくなったり、スキップ再生などを行いたくなったら、ホームボタンをダブルクリックすると、前面に音楽プレーヤーのミニウィンドウがオーバーレイ表示される。
なお、本機はIEEE802.11b/gのWi-Fi機能を備えており、無線LANを経由し、本体のみでiTunes Storeの楽曲購入が行えるが、残念ながらまだWi-Fi用のiTunes Storeが準備中で、日本版の画面を確認することはできなかった。
動画再生も試してみた。リスト表示の際、サムネイルが大きく表示するので、目的の動画を探しやすいのが好印象。再生時も、横向きにすると画面が大きい本機のメリットを最大限活かすことができる。
写真再生に関しては非常に好印象を受けた。サムネイル表示時のスクロールが軽快で、スライドショー再生時は、指で写真を左右に弾くと、前後の写真に移動できる。この移動時のアニメーションは、動き始めは少しゆっくりしており、そして止まるときには少し戻るなど、慣性を感じさせるもので、癖になる気持ちよさだ。そして、iPhoneでユーザーを驚かせた、画面を2本指で押さえて広げると拡大、逆側に動かすと縮小する機能は、本機も踏襲。拡大後は、指を動かすと任意の位置へ画像をスクロールできる。この一連の操作は非常に高速に動き、携帯機器で写真を見ていることを感じさせない。
「Safari」を使ったウェブブラウジングもレポートしよう。まず全体的な印象は、すでにiPhoneのレビューなどで書かれている通り、ポータブル機器としてはキビキビとページ表示を行い、かつ前述の写真と同じスムーズな動作で画面の拡大・縮小が行えるので、ブックマークしておいたページをチェックする程度なら、かなり便利に使えるだろう。ただし、頻繁に検索を行ったり、文字入力を行ったりする場合は、ソフトウェアキーボードの使い勝手が問題になる可能性がある。
キーボードの使い勝手の評価は個人差が大きく、かつ慣れの問題もあるだろうが、縦画面でキーボードを使う場合は、横幅が狭いので、目当てのキーをタッチするのが非常に困難だ。説明員に教えられたとおり、一度画面を指で押さえ、間違えたらそのまま指を滑らせて目的のキーを押さえ直し、さらに離すという操作を行えば、タイプミス自体は減るが、これまで体験したことのない操作間隔で、当然ながらキーの打鍵感もないため、少々ストレスを感じる。
iPhoneは北米のみでの発売のため、日本語入力はできなかったが、iPod touchでは当然のことながら対応している。予測文字入力機能も備える。変換ソフトはアップル伝統の「ことえり」ではなく、別のものとのことだが、製造元などは非公表とのこと。日本語入力は英語入力よりさらに難しい。キーを選択した際のアニメーションが無いので、果たしてキー入力が正確に行えたのか、どこまで文字を打ったのかがわかりづらい。しかも、予測文字列は黒バックに白地で表示されるのだが、これが非常に視認しづらく感じた。なお、iPhoneは文字列をコピー&ペーストすることができないが、これはiPod touchでも同様だ。
ただし、今のところiPod touchにはメーラーもなく、また文書作成ソフトも用意されていない。長文を打つアプリケーションが用意されていない以上、文字入力機能はこの程度でも許容範囲と言えるかもしれない。だが、将来的にこれらのアプリケーションが用意されるとしたら、コピー&ペーストにも対応する必要が出てくるだろうし、この文字入力機能は改善が必須となるだろう。
そのほか、カレンダー機能やアドレス帳などは、画面の大きさが利便性につながるソフトだけに、iPod touchではさらに使い出があるだろう。また、個人的に気に入ったのが電卓機能。ボタンサイズや表示部などの大きさが本物の電卓と同程度なので、まったく違和感なしに使うことができる。
iPod touchのファーストインプレッションを駆け足でお伝えした。文字入力機能には少々不満を覚えるが、各機能の完成度は高く、さらに画面の拡大縮小機能などはこれまでに体験したことのない新鮮さを感じる。先進のユーザーインターフェースをいち早く体験したいという方や、iPhoneの国内発売を待ち焦がれていたユーザーには非常に魅力的な製品だろう。
ただし、たとえばウェブブラウジングは、今やたいていの携帯電話やゲーム機などで行うことができる。スケジュールや連絡先の管理なども同様だ。洗練されたGUIやキビキビとした動作など、iPod touchならではの付加価値にどれだけお金をかけられるかが、購入を検討する際の判断基準になるだろう。これらの付加機能を省いたiPod nanoとの価格差が大きいだけに、iPod touchがどれだけユーザーに受け入れられるか、大変興味深い。
(Phile-web編集部・風間)