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公開日 2012/11/14 18:20

【Inter BEE 映像編】ソニーなど4K展示を本格化、次世代コーデック「HEVC」関連展示も

民生用も視野の新フォーマット「XAVC」も
ファイル・ウェブ編集部
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国内外の放送機器、映像機器、音響機器、照明機器、周辺アプリケーションやソリューションが一堂に会する国際展示会「Inter BEE 2012」が、本日より幕張メッセで開幕した。本項では、コンシューマーにも関連の深い4K関連の映像技術や、新時代の映像コーデック「HEVC」関連展示を紹介していく。

会場は幕張メッセ

■ソニーは4Kカメラ/モニター/フォーマットなど環境整備に注力

ソニーは例年通り、数あるメーカーの中でも最大規模のブースを構え、さらにメッセージとして大々的に「4K」を打ち出していた。

4Kを大々的に押し出したソニー

SRMASTERによるワークフローの利便性もアピールした

ブースの目立つ場所に「Sony 4K Evolution」というスローガンを大きく掲げ、本日発表されたばかりのCineAlta 4Kカメラ「PMW-F55」「PWM-F5」や、すでにおなじみの8K CMOSセンサー搭載CineAlta 4Kカメラ「F65」などを展示。さらに、これも本日発表されたばかりの30型4K液晶モニター「PVM-X300」も展示し、4K映像を投映していた。また、その脇には同社初の民生用4Kテレビ「KD-84X9000」のデモも行われていた。

4K対応CineAltaを展示

KD-84X9000も出展

PMW-F55は、4Kスーパー35mm CMOSイメージセンサーを搭載した4Kカメラ。発売は2013年2月1日、価格は2,887,500円、映像記録は「16bit リニアRAW」のほか「MPEG-4 SStP」「MPEG HD422」に対応。さらに今回同社が新たに開発した、4:2:2カラーサンプリングや10bit諧調、イントラフレーム圧縮を採用し、4K/60p記録が可能なフォーマット「XAVC」にも対応した。

記録媒体はSxSメモリーカードに対応、4K XAVCやハイフレームレート撮影など大容量データの高速書き込みに対応した新開発の「SxS PRO+」も利用できる。なお、16bit リニアRAWの場合のみ、新開発のAXSメモリーカードを使用し、RAWレコーダー「AXS-R5」に記録する。

30型4K液晶モニター「PVM-X300」は2013年2月発売予定で、価格は2,520,000円(税込)。

画素数は4,096×2,160ピクセルで、各色10bit駆動。バックライトはLED。パネル表示フレームレートは48/50/60Hz。

3G/HD-SDI ×4入力、HDMI×4入力、ディスプレイポート×2入力を装備。多彩な入力ソースに対応する。またHDMIでは、4Kカメラ「PMW-F55」との組み合わせにより、HDMIケーブル1本で4K/60pの伝送が可能となる。これはHDMI 1.4をベースに独自拡張した伝送方式を利用したもので、色信号を4:2:0(8ビット)とすることで60p伝送を実現したという。

そのほか業務用モニターでは、先日エミー賞受賞がアナウンスされた25型有機ELモニター「BVM-E250」も出展。ファームウェアアップデート Ver 1.21により、CRTとのカラーマッチングをサポートしたほか、色温度自動調整ソフトの追加、起動時間の短縮などが行われたことをアピールしていた。

■アストロデザインも4Kソリューションを積極提案

4K関連の展示がブースの大半を占めていたのがアストロデザインだ。

まずモニターでは、同社がラインナップしている28/32/56/60インチの4K液晶モニターを紹介していた。パネル解像度はいずれも3,840×2,160ピクセルで、パネル方式は28インチのみIPS、ほかの3サイズはVA。4.096×2,160ピクセルの映像を入力した場合は、センター、右寄せ、左寄せ、スケーリングの4通りの表示方法が選べる。

56インチの4K液晶モニター

2013年1月発売予定の9.6インチ 4K液晶モニター「DM-3409」

そのほか、4K映像をJPEG 2000を使って約6分の1程度に圧縮する「4K圧縮レコーダー」、4K映像にリアルタイムでテロップを挿入できる「4Kテロップシステム」など、様々な4K映像関連システムを出展。

また会場内のキヤノンブースで、“CINEMA EOS SYSTEM”「EOS C500」でRAW撮影した4K映像を、アストロデザインのブース内へライブ中継するデモも実施。この中継システムには、アストロデザインのEOS C500対応現像処理プロセッサー「HB-7513」が使われ、現像処理と映像調整が行われていた。

キヤノンブースからアストロデザインブースに4K映像をライブ伝送するデモも

4K圧縮レコーダー

さらにアストロデザインブースでは、4Kの次の映像フォーマットとして期待される8K、SHVの対応機器群も紹介されていた。

SHV対応SSDレコーダー「SR-8422」は、ストレージにSSDを採用し、秒間6GBの転送レートを実現。SHVの録画を行いながらハイライト編集や任意速度のスロー再生が実行できる。

SHV対応SSDレコーダー「SR-8422」

またSHV対応のカラーグレーディング装置も出展。SHVのカラーグレーディング処理に加えて、自由度の高い輪郭補正、イメージセンサーのキズ補正、幾何学歪み補正、色収差補正などをすべてリアルタイムで実行できる。

ブース内には85インチのSHV対応液晶ディスプレイを使ったシアターも設けられ、超高解像度な映像の魅力をアピールしていた。

4Kビデオウォール

■キヤノンは30インチの4Kモニターを参考出展

キヤノンは、30インチの4K液晶モニターを参考出展した。2013年発売を目指し、価格は「一般的なマスモニ価格程度を見込んでいる」(同社)とのこと。

キヤノンが参考出展した30インチの4K液晶モニター

広色域、高精度なユニフォーミティ、正確な階調表現を目指して開発しているとのことで、CINEMA EOS「EOS C500」とペアで使用するディスプレイを想定しているという。4K/24pと4K/30pの入力が行えることは確実だが、4K/60pの入力に対応するかは検討中とのこと。

そのほかキヤノンブースでは、4Kが撮影できるカメラ「EOS C500」や、「EOS 1Ds」など、豊富なカメララインナップを展示。実際に撮影し、表示するデモンストレーションも行われていた。

「EOS C500」

EOS C500を使った撮影体験も行える

また富士通は、リアルタイム4Kエンコーダー/デコーダー「IP-9610」を出展。10月に行われたスカパー! の4K映像ライブ伝送実験でも、このエンコーダー/デコーダーが使われたという。

リアルタイム4Kエンコーダー/デコーダー「IP-9610」

「IP-9610」によるリアルタイム4Kエンコードデモ

■次世代コーデック「HEVC」関連展示も多数

MPEG-4 AVC/H,264の次の世代の映像コーデックとして期待されている「HEVC」(H.265)関連の展示も多く見られた。来年1月には正式規格として規定されるものと予想されている。

HEVCでは符号化するブロックサイズを四分木構造によって可変させられる

イントラ予測も高精度化。これによってエッジ再現性も改善する

HEVCは、MPEG-4 AVCと比べて約2倍の圧縮効率を持つ映像コーデック。同等の画質であれば半分のビットレートで記録できる。また、同じビットレートであればより高解像度の映像にも対応できることから、4K映像を効率的に記録し、伝送するためのコーデックとして期待されている。

Roviは、2013年第2四半期に発表するMainConcept コーデック SDKによって、HEVCに対応する予定。SD映像の場合、48fpsという高速エンコードが可能という。またMainConcept SDKは、ソニーの新フォーマット「XAVC」にも対応する。

Roviは2013年第2四半期にHEVCのソフトウェアエンコーダーを提供する予定

NECは1080/60iの映像を、MPEG-4/AVCとHEVCでそれぞれ3.5Mbpsに圧縮した映像をデモし、HEVCでは同程度のビットレートでも圧縮によるノイズが少ない映像を実現できることをアピール。また同様に、7MbpsのMPEG-4/AVCと3.5MbpsのHEVCの映像比較も行い、画質差が少ないことも強調していた。

NECのMPEG-4 AVCとHEVCとの比較デモ

なお1080/60i映像のHEVCのエンコードは、実時間の1,600倍かかったとのこと。これは高速化などを全く考慮していないためで、アルゴリズムを最適化するなどすれば、さらに速いエンコードが可能になるという。

またNECは、HEVCのリアルタイムソフトウェアデコーダーも展示。Core i7を使ったUltrabookを使って、720/30pのHD映像をデコードしていた。なお720/60pまではリアルタイムデコードできることを確認しているという。

富士通は、1080/30p、1MbpsのHEVC映像を、同じビットレートのMPEG-4 AVCと比較するデモも出展。デコードのデモは行っていなかったが、「お金をかければすぐにできる」(同社説明員)と説明していた。

富士通のHEVCデモ

InterBEE会場内の、そのほかの注目展示を写真で紹介していく。

JVCの4K対応メモリーカムコーダー「GY-HMQ10」

GY-HMQ10を使った4Kの非圧縮伝送システムをデモしていた


池上通信機は31.5型の4K液晶モニターを参考出展していた

NECは前後2フレームずつ、計5フレームを参照する超解像技術をデモ


NECの超解像処理を行うメニーコアプロセッサー。50コアのプロセッサーを2基搭載しているという

東芝は超解像技術をAdobe Premereのプラグインとして提供する


パナソニックは「AVCULTRA」を大々的にアピールしていた

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