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公開日 2013/01/09 12:34

【CES】東芝ブースレポート − 本村裕史氏に聞く「4K REGZAの勝算」

4Kを本気で展開。「エンジンでは負けない」
ファイル・ウェブ編集部
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2013 Internatinal CESの東芝ブースは、UHD(Ultra HD、4Kの米国での呼称)を大々的にプッシュする構成となっている。

先日日本メディア向けの説明会で語られたように、東芝は今年上半期、すでに発表していた84型に加え、65型と58型の4Kテレビを投入する計画だ。本項ではブースの内容を紹介するとともに、REGZAの商品企画を行っている東芝の本村裕史氏に4Kテレビにおける戦略を尋ねた。

東芝の本村裕史氏と65型の4Kテレビ

まずブース正面には、84型と65型、58型を各2サイズずつ置いて、Ultra HDへの取り組みをアピール。ネイティブ4Kの表示を行っているのはこのうち3台で、REDのカメラで撮影したものを、同じくREDのプレーヤーで再生するという構成となっていた。残りの3台はBDをアップスケーリングして表示。通常のBDでも高精細な4K映像が楽しめることをアピールしていた。

ブース正面には4Kテレビがずらりと並ぶ

4KネイティブソースはREDのカメラで撮影したものを使用していた

ブースにはまた、「CEVO ENGINE 4K」(国内での名称は「REGZA ENGINE CEVO 4K」)を搭載した84V型の4Kテレビと、フルHDの84V型テレビを並べて置き、4Kアップスケーリング技術の高さをアピール。「デモはどちらも通常のBDを再生していますが、CEVOで処理した4K映像は、元ソースがとてもBDとは思えないとみなさんが驚かれます」(本村氏)。

CEVO ENGINE 4Kと通常のフルHDの映像を比較したデモ。画面は84型

55型のモデルでもフルHDとCEVO ENGINE 4Kの画質比較が行われた

さらに84V型だけでなく、58型でも同様の比較を実施。本村氏は「やはり55型を超えてくると、フルHDでも解像感が足りないという声が増えてきます。50型台でも4Kの恩恵は十分に享受していただけます」と説明する。

現在、REGZA ENGINE CEVO 4Kは、超解像処理や輝き復元など、様々なパラメーターを調整できる段階になったという。「昨年のIFAの段階より、いまの方が格段に画質が向上しましたが、これはまだ始まりにすぎません。これから発売開始に向け、さらに画質を高めていきます」(同)というから頼もしい。

さらに4K関連では、PCの4K対応ゲーム「DART SHOWDOWN」を4K REGZAで遊べるデモコーナーも設置。レースゲームなのだが、遠くの観客までくっきりと見渡せるため、実際の映像を見ているかのような臨場感が味わえる。

ほかには、今年の発売を目指しているという、4K出力対応のdynabook試作機も展示。ニコンのD800で撮影した静止画をdynabookから4K REGZAに出力するというデモも行っていた。

4K対応ゲームの試遊コーナーも置かれている

現在開発中という4K出力対応dynabookの試作機


グラスレス3Dの最新版も展示。視差がこれまでの9からさらに増え、より自然でデッドポイントの少ない3D映像が表示できるようになった

BtoB事業への4Kディスプレイの活用も検討。写真は4Kディスプレイを縦にしたものを2枚並べ、窓のように見えるというもの

■クラウドサービスやスマートTVにも注力

クラウドサービスを北米で今春から展開開始することも、今回のCESで発表されたトピックの一つだ。

同社はすでに日本国内で「TimeOn」というサービスを展開しているが、今年春、北米市場でもクラウドサービス「Toshiba Cloud TV Services」を開始する。同サービスのなかの「MediaGuide」機能では、STBをコントロールすることで、放送波やCATV、VODなどを横断的に検索することが可能。また友人へ番組情報をシェアしたり、ネット上の関連サイトへのジャンプなども行える。

「Toshiba Cloud TV Services」のメニュー画面。カレンダーが表示されたりニュースが表示されたりなど、日本とはかなり仕様が異なる

「Toshiba Cloud TV Services」の概要

同サービスを統括する片岡秀夫氏は、「これまではroviのサービスを利用していたが、今回、東芝がサーバーを自前で用意し、番組情報をそこに貯め込むことで、組み込み型では行え内様々な独自機能を利用可能にする」と説明する。

またクラウドを使うことで、番組の推薦機能も進化する。サービス開始時は新着番組、人気ランキング、関連情報など、全ユーザーを対象とした番組リコメンドが利用できるが、将来的には視聴経験などを組み合わせ、ユーザーに合わせた番組リコメンドを可能にするという。

片岡氏によると、開発は日本を中心に、世界中の5箇所で行っているという。「各国ごとに市場や環境が異なるので、要求してくるサービスも異なる。これを調整しながら一つのプラットフォームとして展開するのは苦労もあるが、各地域が独自に色々なサービスを展開してしまっては混乱するばかり。ネットサービスはもともとグローバルなものであるべきと考えており、この信念に基づいて日夜開発を行っている」。


「Smart TV Alliance」での成果も展示している
同社のクラウドサービスは「TimeOn」を含めてHTML 5ベースで書かれたウェブサービスだが、同社は「Smart TV Alliance」にも参加しており、パナソニックやTP Visionなどとともに、HTML 5を用いたスマートテレビ開発環境の整備も行っている。最新版のSDKでは、よりリッチで軽快な動作が行えるようになったという。

■「東芝の4Kの強みは映像エンジン。画質では負けない」

本村裕史氏に時間をいただき、4Kテレビ戦略に関するインタビューを行うことができた。

ーー東芝の4K戦略を改めて教えてください。

本村氏:いま、薄型テレビの市場は大画面にシフトしています。国内市場はいま、若干停滞気味ですが、ちょうど今頃から、2005年〜2006年に薄型テレビを買われた方の買い替え時期がやってきます。この時期に買われた方は、薄型テレビとは何かをすでに理解されています。また、良いものにはしっかりと投資するというお考えもお持ちの方が多いことも特徴です。

買い替えの際には、いまより大きなテレビを欲しいという方が多いのですが、画面が大きくなると画素が見え、精細感があまりないね、というお声があったのは事実です。我々はこういった声にお応えし、大画面で高画質を楽しむためには4Kが必要、4Kがベストなんだということをアピールしていきたい。あくまで大画面化が進展している状況に対応すべく4Kを加速させているのです。

ーー65型や58型を今年上半期に出されることはすでに発表されていますが、機能はどうなりますか。

本村氏:タイムシフトマシン機能やざんまいプレイ、またクラウド機能「TimeOn」はすべて搭載する予定です。4Kという画質だけでなく、機能面においてもREGZAの最上位機種となります。

ーー価格についても「1インチ1万円以下」というアナウンスがあったことから、ユーザーだけで無く他メーカーからも注目を集めています。

本村氏:まだ価格は言えませんが、「買える価格、買いたくなる価格」を目指したいと思います。

ーーこれまでも4Kテレビを発売されていましたが、ほかのテレビとはカテゴリーが異なるというイメージがありました。

本村氏:仰るとおりで、いままでは「4Kは別物」という捉え方をされていたかもしれません。今後は「最高画質のREGZAを買ったら、たまたま4Kだった」というふうにしたいですね。とにかく、4Kというスペック面だけをことさら強調するのではなく、実際のお客様の体験を豊かにすることを目指したいのです。

ーーとは言え、他社も4KテレビをCESで続々と発表しています。他社と差別化する要素は何ですか。

本村氏:我々のアドバンテージは、他社に先駆けて4Kテレビを投入したことです。ですから技術的もかなり先行しています。

特に映像エンジンについては、数年かけて開発を行ってきました。「55X3」を発売したのが2011年末ですが、すでにその頃、REGZA ENGINE CEVO 4Kの開発に着手していました。SoCを作るのはけっこう時間がかかります。

REGZA ENGINE CEVO 4Kは超解像をはじめ、様々な独自の映像処理技術を満載しています。この作り込みについては、他社さんに絶対に負けない自信があります。

ーー少し質問を変えます。今回のCESでは、4Kだけでなく有機ELテレビにも大きなスポットライトが当たっています。このデバイスについてどうお考えですか。

本村氏:有機ELはとても良いデバイスだと思っています。次世代の有力デバイスだと考えています。ですが、我々はパネルを自社で作っていません。今後性能や価格面が折り合えば、ということになるでしょう。特に価格については、お客様に実際に買ってもらえる値段になるまでは、まだもう少し時間がかかるのではないでしょうか。

ーー最後に気になる発売時期についてです。4Kテレビを今年上半期に発売すると発表されましたが、日本ではいつ頃発売されますか。

本村氏:各国で発売タイミングは異なりますが、商戦期にぶつけるというのが基本的な戦略です。そう考えると、日本は夏商戦のあたりになるのではないでしょうか。

ーー本日はありがとうございました。

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